住宅地でも薪ストーブを楽しむために大切な3つのこと
霧立は、薪ストーブのある暮らしがずっと夢だった。だからイギリスで家を買う時も、「暖炉があること」を最重要条件にしたほどだ。
暗く長い北国の冬。ゆっくりと揺れる炎を見ているだけで、身も心も温まる薪ストーブ。しかし、霧立は住宅地に住んでいるので、気を配らなければいけないこともある。
それは、煙と臭いである。今日は、この問題をクリアーして住宅地で薪ストーブを楽しむために大切な3つのことについて書いていきたい。
煙の出にくい薪ストーブ
イギリスでこそ、昔はみんな暖炉や薪ストーブを使っていた。しかし、ロンドンなどの大都市では暖炉から出る煙が深刻な公害問題になった。
そのため、現在は都市(Smoke Control Areas)では行政から認可された薪ストーブしか使用出来ない。霧立一家が住んでいるエディンバラも、Smoke Control Area なので、認可されている薪ストーブを使っている。
実際、どれくらい煙や臭いは抑えられるのか?
薪ストーブは焚き初めに、どうしても少しは臭いが出る(室内では全く問題にならない)。煙突からの煙はうっすらと見える程度だ。
しかし、ひとたびちゃんと燃え始めると煙は全く見えない。臭いもほとんどしない。風向きによって、時々臭いがすることもあるが、問題になるレベルではない。しかもこれは主観によるが、決して「臭い匂い」ではなく、木の香ばしい香りだ。
煙突の高さや場所を工夫すれば、洗濯物に臭いが付くレベルでは決してないと思う。
*霧立家の薪ストーブはいわゆる「無煙薪ストーブ」ではなく、煙の少ない鋳物のストーブ。
煙突掃除
1年に1度の煙突掃除は重要だ。煙や臭いの問題だけでなく、ススの溜まった煙突を使い続けていると火災などの原因にもなるという。

「ブログに載せるよ」と言ったら、「おれは、日本で有名になるのかい?」とデイヴィッド。
霧立は毎年秋になると、おなじみの煙突掃除屋さん、デイヴィットに来てもらう。イギリスでは信頼できる業者を選ぶのが難しいが、彼は誠実で親切。(写真を見ればお分かりの通り。このピンクの頬っぺたで悪人はいるまい。)
煙突掃除は£35(約5000円)。これはかなり親切な値段設定だ。しかも、他の小さな仕事もサービスでやっていってくれる。
今回は、暖炉のドア内側に付いている耐熱ロープが消耗していた。そうしたら、
「取り替えてあげようか?」
といってささっと交換してくれた!
プロが教えてくれた耐熱ロープ交換方法
- ドアを取り外しマイナスドライバーなどで、古いロープを完全にはがす。
- ロープのあった溝をブラシや掃除機などを使って、きれいにする。
- 耐熱用の粘着剤を流し込む。最後に溝内に粘着剤が均等に行き渡るようにマイナスドライバーなどを使って伸ばす。
- 新しい耐熱用ロープを、指で軽くトントン押しながら溝に埋め込む。この時、ロープを引っ張らない!
- ドアをストーブに戻す。一度ドアを閉めて、ロープをしっかり固定させる。

耐熱粘着剤を流しこんでいるところ。

新しい耐熱ロープを溝に入れこんだところ。
去年自分たちでやった時は、何度も失敗してやり直す羽目になったが、やっぱりプロはすごい。
「おれには簡単だよ!」
と言っている通り、ささーっと10分くらいでやってくれた。デイヴィット、ありがとう!
ちなみに煙突掃除のほうは、屋根には上らず、先っぽにブラシを付けた長い棒を薪ストーブの内側から突っ込んでススを取る。家がススだらけにならないように、ストーブの前面に布をかけておく。

棒の先にブラシをつけている。

「きれいになったヨ!」満足げなデイヴィット。
エディンバラは寒いので、薪ストーブは10月~5月までほぼ毎日使う。8か月分のススの量はこれくらい…。
これを見ると、「やっぱり煙突掃除は毎年必要だなあ」と思う。これで、今年もクリーンな暖炉が使える!
薪の種類と湿度
住宅地の中で薪ストーブを使うなら、薪の種類と薪の湿度にも配慮しよう。
薪の種類
ハードウッド(Hardwood)は、ソフトウッド(Softwood)より煙が出にくい。その理由は、ハードウッドのほうが木の密度が高いため、高温でゆっくり燃焼するからだ。
高温で燃焼させる=煙が少ない
もちろん、スターターとしてはソフトウッドの方が扱いやすい。しかしひとたび火がつけば、ハードウッドを使ったほう高温になり、煙が出にくくなる。
ハードウッド
白樺、オーク、楓、ブナ、クルミなど。
ソフトウッド
パイン、トウヒ、シダーなど。
湿度
木の種類よりもっと重要なのが、薪に含まれている水分の量である。
ベストな薪は湿度20%かそれ以下だ。
湿度が低ければ低いほど、煙が出ない。正確な湿度は、薪の湿度計を使って測れる。しかし、そこまでしなくても、慣れてくれば感覚で分かるようになる。
乾燥している薪の特徴
- 二つの薪を叩き合わせた時に、「パーン」と澄んだ音がする。「ボコっ」と鈍い音がするのは湿度が高い。
- 薪の断面が白っぽい。
- 年輪部分にクラックが入っている。
- 重さが軽い。
- 触った時に冷たくない。
まとめ
無煙薪ストーブ、ストーブのメインテナンス、よく乾燥したハードウッドの使用、ということに気を付ければ、煙や臭いの問題はほとんど解決できる。
冬の楽しみは、薪ストーブといっても過言ではない。使い方次第で、住宅地でも心おきなく薪ストーブが使えることをぜひ知ってほしい。
今日は霧立家にも薪の配達が来る。煙突掃除も済んだし、今週末は薪ストーブを焚いてゆっくり家族で過ごすのが楽しみだ。
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