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学校にiPadを導入する8つのデメリット

子育て&教育

12 9月
iPadを学校で使うデメリット

イギリスの小学校では、低学年から授業でiPadを使う。アプリでやる算数の宿題もある。先日、iPadを授業で使うことのメリットについて考えてみた。

しかし、頭では「なるほどね」とは思っても、なんだか心がザワザワする。やっぱり、授業にiPadやタブレットを持ち込むことに違和感を覚えるからだ。そして、色々調べて考えて、やっぱりメリットを上回るデメリットがあると思うに至った。

今日は、前回の「学校にiPadを導入する7つのメリット」に対応させて、デメリットについて考えていきたい。

コンテンツ

  • 「楽しい」だけで学んでない
  • iPadはマルチタスクに不向き
  • 情報の選別が難しい
  • 気が散る要素満載
  • 教科書に書き込みがしずらい
  • コストが高い
  • 子どもを「スクリーン漬け」にする
  • 創造性を奪い、思考力を低下させる
  • ITと教育、今後の課題
    • Related posts:

「楽しい」だけで学んでない

イギリスではiPadを授業に導入するようになって、子どもたちは「楽しく、より集中して学ぶようになった」という。それは、間違いないと思う。子どもにとってiPadを使うことは、遊び感覚だからだ。

しかし、長期的、かつ大規模な学力調査による科学的な検証はまだなされていない。例えば、「2+3」「11-5」のような単純な計算問題ならば、iPadで効果的に楽しく学習できるかもしれない。しかし、「3957-2998」というような繰り下がりのある計算は、暗算でやるのは難しいためiPadには不向きだ。また、漢字なども紙の上でないときれいに書けない。

紙の上で計算する

手を使って書くことで、正しい計算が出来る。ユウのクラスでは計算が苦手な子はスマホの電卓機能を使って計算しちゃうんだって!!

iPadの学習によって、単純な計算問題の正解率は上がるかもしれないが、複雑な内容の学習は、やはり鉛筆とノートという古典的なやり方のほうがずっとやりやすいはずだ。

最近のイギリスはもっぱら”Child-centered society” (子ども中心社会)。学習もまた、“Student-centered learning”(学習者中心教育)。もちろん、子どもの視点にたって授業することはとても大事。モンテッソーリ教育の神髄は正にそこにある。

しかし、子どもの視点にたって学びを構築することと、子どもの喜ぶことなら何でも取り入れる、というのは似て非なるものだ。ゲームアプリを使いながら小学生にiPadで学習させるというのは安易すぎるし、子どもに迎合しすぎではないだろうか?

iPadはマルチタスクに不向き

iPadに限らず、コンピューターというのはマルチタスクに不向きだ。複数のウインドウを開けながら考えたり、作業したりするのは、一度に全体を見比べられないため不便である。

しかし、紙媒体の場合、広い机に広げられるため一度に参照できる。我が家のユウは小さな頃から、歴史の本や世界地図やら何やらを何冊も引っ張り出してきて、あーだこーだ調べるのが好きだ。

紙媒体だからこそできる総合学習
この間は、第一次世界大戦のことを詳しく調べていた。

本人は、勉強しているつもりはこれっぽっちもなくて、純粋に好奇心がそうさせている。学びの醍醐味は、そういった総合学習的な発展にあることを考えると、iPadには物理的な制約が多すぎる。

情報の選別が難しい

iPadが手元にあれば、すぐに検索が出来る。これは確かに便利なのだが、ネット上には真偽が不確かな情報もたくさん出回っている。

現代は個人が誰でもブログで情報発信できる時代。不確かな情報や単なる私見も散乱している。(え?霧立のブログはどうなんだって?一応、色々慎重に調べていますけどね…「単なる私見」だらけ?!)

霧立が大学院生の時、ソースをWikipediaから引っ張ってきたら、教授や研究仲間にドン引きされた。みなさんの困惑気味の冷たい視線…。い、痛い…。

まあ、今考えれば「学問の世界にそんな不確かなソース持ってくるなっ!」というのは当たり前なのだが、20そこそこのアホな霧立には分からなかったワケですよ!(開き直り)

そうであれば、子どもが情報の峻別をするのはなおのこと難しい。

気が散る要素満載

iPadやタブレットは、インターネットに接続している状態で使うわけで、気が散る要因も満載!具体的に言うなら、ゲームをしたり、関係ないサイト見たり…。 iPadがあれば、教師の目を盗んで古典的な「メモ回し」をせずとも友達とチャットするのは朝飯前!

#pripara #tvtokyo

授業中にメモ回し‥‥やったな。 pic.twitter.com/XZZ9JVk9D0

— らっぱくん (@rappakun) March 28, 2017

また、そんなつもりはなくても、検索しているうちに気が付いたら大して重要でもないサイトを読みふけっていた…ということもある。教師にとって、40人の生徒がiPadで何をやっているか一度に把握するのは、不可能に近い。

また、ディバイス上で読書をすることも、集中力をそぐ原因になる。指一本で他のサイトにアクセスできる環境があるからだ。

落ち着いて何かに取り組むには、スクリーンより断然、昔ながらの紙媒体と鉛筆が適している。

教科書に書き込みがしずらい

教科書は、書き込みをすることで「自分だけの参考書」になっていく。それがiPadだとやりずらい。特にそれが学校で貸し出されるiPadの場合、書き込みは不可能だ。

コストが高い

iPadは2019年現在、1台5万円前後。た、高い…!!!

最近、イギリスの学校では音楽の授業予算がカットされた。州にもよるが、アメリカでは音楽教育の予算がゼロなので、PTAの募金で音楽の教師を雇っているとカリフォルニア州に住む友人から聞いた。

イギリスの学校ではかろうじて音楽の授業はあるが、ユウの学校に置いてあるピアノはボロボロ。「あんなオンボロのピアノは見たことがないヨ。それにピアノのいすはオフィスチェアだから動いて弾きにくいんだよ」とユウ…。

どんだけ音楽教育予算ないのよー!

それにひきかえ、授業でiPadを使う時は1人1台。なんともいびつな予算配分…。iPad2台分で、十分まともな中古ピアノと椅子が買えるのに…と思わずにはいられない(イギリスはピアノも安い)。

日本も教育予算が減らされている。このような状況で高価なiPadを導入したら、どこかにしわ寄せがいく。

子どもを「スクリーン漬け」にする

ただでさえ、スクリーンタイムが多い現代の子どもたち。 子どもと保護者のメディアに関する調査(2017年) によると、12~15才の子どもの99%は1週間に21時間、オンラインに費やしている。

十代の子どものオンライン、スマホ使用状況

つまり、99%の子どもは、1日平均3時間もオンラインに費やしているということだ!これ以上、学校でまでiPadを与えて子どもをスクリーン漬けにしてどうするのか??視力の低下にもつながる。

創造性を奪い、思考力を低下させる

新しいアイデアはどこから生まれるだろうか?多くの人が、「それは机やPCに向かっていない時だ」という。

私もそれはよく分かる。シャワーを浴びている時、散歩をしている時、人と話している時に、よいアイディアが浮かぶことがとても多い。じっとPCに向き合っていては、思考の煮詰まりを感じる。

iPadなどのIT機器は、外部を遮断する。そして、スクリーンに目が吸い寄せられ、アクティブな思考が低下する。

また、「学び」は人間関係の中で起こるもの。iPadのスクリーンに顔をうずめながら教師や他の生徒の話を聞くのと、実際にその人の目を見て聞くのとでは、理解度が違うと思う。

ITと教育、今後の課題

「iPadは百害あって一利なし」という気はない。前回書いたように、iPadのメリットもある。でも「子どもが喜ぶから」とか「時代の流れだから」という理由で教育方針を決めてしまうのは、安易ではないだろうか?

これからは、プログラミングの技術やITスキルも重要になってくるのは確か。それを学校教育に取り入れるのも、個人的には賛成だ。しかし、少なくても高校からでいいと思う。

また、板書の一部をデータ化したり、宿題やプリントをメールで送信するのは便利だ。しかし、問題を解いたり、考えたり、漢字やスペリングの練習をしたりするにはやはり紙と鉛筆が最適。

iPadやタブレットの問題点をしっかり把握した上で、慎重に利用していくことが求められていくと思う。

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Comments

  1. エラちゃん腎臓病の疑い says

    2019-09-17 at 8:52 PM

    お久しぶりです。日本に帰国していたり体調が悪かったりで、コメント欄から遠ざかっていました。ブログは相変わらず読ませていただいています。

    うちも娘がキンダーに入ったときから、学校でのテクノロジーの進み具合におおーっと驚かされてきました。黒板とか白板ではなく、スマートボードという大きなスクリーンがキンダーのクラスでは使われていました。それの活用によって統計が簡単に取れたり、先生にとっては便利で子供にとっては楽しいディバイスだと思いました。

    学年が進むと、うちのある学区でも私の職場のある学区でもクロームブックが使われています。いろんなアプリを使ってプロジェクトをしたり楽しそうだし、将来オフィスで働く人にはいい実践経験だと思います。

    中学高校では宿題をオンラインで提出も結構あるので、親が子供がちゃんと提出した華道家を把握するのにも役立っているようです。

    ただ、霧立さんがおっしゃっているように気が散る要素満載。悪さをして罰として携帯は取り上げたけれど、コンピューターで宿題をしていると思ったらソーシャルメディアをのぞいていた、ネフレックスを見てたなど親から嘆きの声をよく聞きます。

    うちではiPadを使える時間1日40分に限っていて、その時間がくるとロックがかかります。そのシステムを使う前に娘がこっそり1日2ー3時間iPadを使っている時がありました。親がしっかり管理しないといけないですね。

    • Akari says

      2019-09-18 at 8:55 AM

      エラちゃん肝臓病の疑い(!?)様へ

      コメント、ありがとうございました。
      それから、エラさんもなんだか体調が悪いみたいで大変ですね。
      お二人とも(?)早くお元気になりますように。

      アメリカの学校でのIT事情、興味深く読みました。
      確かにメリットもたくさんありますよね。
      私達の時代は、そういう教育がほとんどなかったので、大人になってから苦労してます。

      テクノロジーは便利だしそれがない生活は考えられないのですが、自分の経験から言うとオンラインで物を考えると「思考が浅くなる」という感じがします。
      それにやはり集中力も落ちますね。
      特に読書中に、スマホが近くにあるだけで、私は集中力が落ちます。
      すぐに何かチェックしたくなってしまうんですよ。
      iPadで読書したら、なおさらですね。

      iPadの時間制限ロックは必須ですね!
      親も知識がないと、簡単に子どもに「抜け穴」を探されてしまうので、常日頃知識のアップデートが欠かせませんね。

      霧立灯

A little about me…

こんにちは。霧立灯(きりたち あかり)です。夫(マナブ)、小学生の息子(ユウ)と愛犬(みかん)とイギリスで暮らしています。家にいるのが好きなので、家を心地よい空間にしたいと思っています。 Read More…

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