
霧立一家は、4年くらい前までごく普通にお肉を食べていた。しかしある時、食事に招いたベジタリアンの友人からこんな聞を聞いた。
家畜に与える飼料を育てるのには、膨大な水や土地、エネルギーを使っている。そこで生産された穀物は、世界で飢えている人の食料をまかなうのに十分な量があるのに、家畜のエサになってしまっているんだよ。もし、みんなが肉を食べるのを止めれば世界の飢餓問題はなくなるんだ。
動物愛護の観点からベジタリアンになる人がいるのは知っていた。しかし、飢餓問題が理由でベジタリアンになるという話は初耳だった。
今日は、食肉と飢餓問題の関係、また今現在の霧立家の取り組みについて書いていきたい。
飢餓問題と食肉の関係
飢餓問題の現状
飢えに苦しむ人々は8億2100万人、そして1億5000万人以上の子ども達が発育阻害にあり、飢餓撲滅の目標達成が厳しいものとなっています。
2018年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書によれば、世界の飢餓は過去三年間増加をし続け、状況は10年前に逆戻りしているという。9人に1人が今この瞬間も飢餓で苦しみ命を落としている。
一方、肥満も増えている。その割合は8人に1人。北米ではもちろんのこと、最近ではアジアやアフリカでも肥満が増えているという。
飢餓で死んでいく人がいる一方で、肥満が問題になっている。この異常なまでの世界の不均衡は一体なんだろう?
今後ますます人口は増え、必要な食糧は増えると言われている。
なんと牛肉1キロあたり生産するには、野菜に比べて約50倍の水が必要になる!
ナッツは意外に多くの水を必要とすることが分かったが、ナッツを一食で1キロ食べる人はいないだろう。ナッツの1日の摂取量は28~30gが望ましいとされている。30g分のナッツに換算すれば、必要な水はたった272ℓだ。
一方、標準的なステーキの一人分のビーフが200gとすると、必要な水の量は3,083g。ナッツ一人分に比べてやはり10倍以上の水が使われていることが分かる。
土地
- 世界の80%の農耕地=食肉用家畜の放牧地+家畜のエサを育てる畑
- 世界の農作地の1/3=食肉用家畜のエサを育てる畑
- 世界の氷で覆われていない土地の26%=世界の食肉用家畜の放牧地
- 伐採されたアマゾンの熱帯雨林の80%は、ビーフの生産に使われている!
家畜が地球上で一番土地を使っているそうだ。「環境保護に関心があるなら、まずはビーフを食べないことだ」と言えちゃうほどの環境負荷である。
穀物
- 世界で生産されている穀物の1/3は家畜のエサになっている。
- 牛肉1キロを生産するために、8キロのトウモロコシが必要。
- トウモロコシの年間生産量6億トンのうち、4億トンは家畜のエサになっている。(詳しくはこちら。)

飢えた人がいるのに、多くの水と土地を使って生産された穀物はその人たちの飢えを満たすためではなく、家畜のエサになっている。そして、その家畜を食べているのが私たちなのである。ようするに、お肉を食べることはおそろしく非効率で、飢餓に直結する問題だということが分かる。
我が家の決断
友人からこういう話を聞いて、なかったことには出来なかった。彼はまだ20代で、スポーツマンだった。お肉ももちろん大好きだったという。肉を断つのは大変だったはずだ。
ならば自分たちもやめるべきではないか?と思わされ、4か月くらいかけて、段階的にお肉の消費量を減らしていった。現在はお肉がなくても全く困っていない。
子供が好きなハンバーグなどは、フェイク・ミートを使って作っている。カレーにはブラウンマッシュルームを大きめにカットして入れると、満足度が高くなる。

初めは「お肉なしのメニューが思いつかないのでは?」と心配したが、ベジタリアン用のレシピ本は結構充実していて、しかも美味しい!ダイエットなどせずとも太らないのもいいところ。
しかし、誰かのうちに食事に招待されて、お肉がメインで出た場合には食べるようにしている。(近い友人は霧立がお肉を食べないことを知っているので、ベジタリアンデッシュや魚料理にしてくれるのだが。)
というのも、食事は社交の場だと考えているからだ。「私たちはお肉を一切食べません」と言って一口も手をつけなかったら、招いてくれた人との間に壁を作ることになってしまう。
このような立場を「フレキシタリアン」(Flexitarian)という。日本語では「準菜食主義者」というようで、イギリスでは最近増えている。
でも、私たちは機会を見つけて自分たちのスタンスを話すようにしている。相手の肉食を批判するような調子ではなく。
フレキシタリアンのすすめ
霧立のこのブログ読んで、いや~な気持ちになった肉好きの読者がきっといることだろう。「聞きたくないこと聞いちゃった…」みたいな。でも、少しずつ段階的に肉食を減らしていくのは、難しいことではないのだ。
実はマナブ(夫)もユウ(8歳男児)も「お肉大好き!」の人だった。でも、肉を減らし野菜を増やしていく過程で「肉の味が前ほどおいしく感じられなくなった…」と言っていた。
その時はちょっと悲しそうだったのだが、慣れとは不思議なもの。最近は「お肉なんて全然必要ない」と言っている。
ユウは魚大好き。成長期の子どもから魚まで取り上げたらかわいそうなので、我が家では魚と乳製品は食べている。(漁業の方法にも問題があることは知っているのだが。)
乳製品は動物愛護の観点で実は大きな問題がはらんでいる、と最近知った。霧立は、自分はビヴィーガンになることはないと思っているが、乳製品をどうすべきか今真剣に考えている。
【追記】2019/09/25
霧立一家は、段階的に乳製品をへらしていき、今はなんとオサラバすることができました!冷蔵庫から牛乳やチーズがなくなる日がくるとは、正直思っていませんでした。
お魚を食べる回数も激減。自分は、哺乳類と比べると魚介類に対する同情が薄いと感じています。卵を食べるペースは確実に減りました。さて、今後どうなるのか?考えながら歩んでいきたいと思います。
【もっと肉食について知りたい人へ】
参考資料としてはこちらが詳しくおススメです。