BGMは料理のスパイス
週末は家でゆっくりおいしい食事を食べたい!というのは多くの人が願うことだろう。そこで普通は、お気に入りのレシピブックを引っ張り出すか、レシピ検索に向かうことだろう。
しかし、今日は新しいレシピに挑戦するのではなく、作りなれた食事を音楽(BGM)というスパイスでとびきりおいしくする方法を考えてみたい。「えー、音楽で味が変わるの?」と懐疑的な人もいるだろう。まあまあ、ちょっと読んでみて欲しい。
音楽と食
BGM(Back Ground Music)と聞くと、音楽はムードを演出するくらいの認識しかないかもしれない。しかし、音楽と食の関係はとても深い。
霧立は、カフェに行くのが好きだ。しかし、どんなにコーヒーの味が美味しかったとしても、BGMがうるさすぎるカフェでは集中して味わうことが出来ない。結果的にコーヒーは美味しく感じられない。
また、パエリアを食べるときは、村治佳織さんの「SPAIN」を聴くのが好き。ノスタルジックなクラシックギターの音を聴いただけで、心はスペインに飛んでいく!耳と舌で味わうスペインのおかげで、パエリアが一段と美味しく感じられるのである。
メキシコ料理には、レゲエ。霧立は映画『クール・ランニングス』のサントラCDが好き(ふ、古すぎる…)。一気に陽気な気分になって、ビールがすすむ!
と、BGMが料理をおいしくする例は枚挙にいとまがない。
BGMは単なるムード作りではなく、料理の味を変える力を持っている。BGMという「音の調味料」は食事の味をアップさせるのだ。
BGMの具体的な効果
偉大なシェフは、装飾から音楽まで、多岐に渡ることに精通している。ただ料理が上手なだけなら、そこまで到達できないだろう。
こう言ったのは、イギリスの料理評論家のWilliam Sitwellである。BGMのチョイスは、料理の味をアップさせもするし、台無しにもし得る。適切なBGMを選ぶことは、「芸術」の域なのだ。
では一体どんなことに気を付ければいいのだろう?BGMの具体的な効果について書いてみたい。
テンポ・ビートの数
テンポが早く、1分あたりのビートの数が多い方が、人は早く食べるという。ビートやテンポに合わせて食べたり飲んだりするからだ。
だから、客をさっさと出して回転率を上げたいレストランは早いテンポの曲を使う。反対に、客にゆっくりしていって欲しいレストランでは、ゆったりとしたBGMを流すそうだ。
確かに、体は音楽に反応するから、アップビートな曲ならパクパク食べてしまいそうだ。もしかしたらこれはダイエットに応用できるのでは?とちらっと思ったりした。痩せたい人は、スローなBGMをかけたらどうだろう?
クラシック
クラシック音楽がBGMの場合、客の滞在時間は長くなると言われている。BGMとしてのクラシックは落ち着きがあり、万人受けするからではないだろうか?
音量
大きすぎるのはダメ。BGMが大きすぎると聴覚に神経が集中させられるため、味覚が鈍るのだ。食事中の会話の妨げにならず、かすかに聴こえてくるくらいがよい。
料理する時のBGM
普通「BGM」と言ったら、食事をするときに流す音楽を指す。しかし、「料理をするときにもBGMが欠かせない」といっているシェフたちがいることを知った。これには霧立も驚いた。
音楽なしで料理するなんて、そんなのは塩気のない料理みたいなものだ。
こう言ったのは、Mob Kitchen(シンプルな材料で手軽に出来るレシピを提案している料理サイト)の創設者Ben Lebusである。彼によると、料理には音楽同様リズムがある。料理も踊りながら作るものらしい…。いやあ、なんだか楽しそう。
そして、彼の今一番のお気に入りは、ロッシーニの「泥棒かささぎ」。ど、泥棒?!一体どんな曲なのよ?ということで調べてみた。
舞台はイタリアの田舎。お祝いの宴会準備から始まるこのオペラは、確かに陽気で踊りながら料理をしたくなるのもちょっと分かる気がする。霧立は一発で気に入った。包丁でトントンと野菜を切るのでさえ、楽しくなりそう!(聴いてみたい人はこちら。)
料理を作るときにもBGMをかける、というのは霧立にとって新鮮な発見だった。というのも、年がら年中キッチンに立って料理している霧立にとって、残念ながら料理はワクワクするものではなくなってしまっていたからだ。
特に忙しかったりすると、「やらなきゃいけないからやる」というレベルに失墜している料理。そんな現状にも気付かされ、結構はっとさせられた。
料理にあったBGMを聴きながら料理すると、楽しいだけでなくとても前向きに料理できるのではないだろうか?
「SPAIN」を聴きながらパエリアを作ったら、きっと心は地中海。味付けが変わるかどうかは分からないが、盛り付け方やテーブルセッティングなんかは確実に変わると思う。あとは、一品くらいなにか増える可能性も。
「偉大なシェフは、装飾から音楽まで、多岐に渡ることに精通している」というように、料理は調理だけでなく、空間作り、音響にまで及ぶというのがよく分かる。
料理するときのBGM―。丁寧に料理をするきかっけになりそうなことは間違いない。今度から試してみよう!と思わされた。
実際の選曲
「そんなこと言ったって、料理する前に選曲している時間なんてないヨ!」というのがリアリティー。
ここは霧立流になってしまうが、料理別にいくつかBGMを選曲してみた。
パスタ&ピザ
三大テナーによる「オーソレミオ」。この録音は傑作!赤ワインを常温でゆっくり飲みたくなりますな!
なに?ワインどころじゃない?それじゃ食べ終わらないうちに曲が終わっちゃうって?
霧立もそれは思った…。そんじゃ、とりあえずカンツォーネ聴いておいて!
スペイン料理
やっぱり村治佳織さんの「SPAIN」でしょ!ああ、でもかなり昔のリリースで現在廃盤らしい。でも中古品ならまだ手に入る。
メキシコ料理
4分じゃ食べ終わらん!という人は、レゲエ!レゲエかけといて!
週末の朝食
森の中でさわやかな朝をどうぞ。
えっ、好物の肉じゃがはどうなるかって?
ごめんなさい。そこまで知恵が回りません…。
みなさん、どうぞお好きな曲を選んでみてください。あとお気に入りが探せたら、プレイリスト作るのはおススメです!食事中にいちいち立ち上がって選曲するのはイヤですものね。
食は文化体験。その国の音楽を背景に加えると、その文化体験はもっと豊かなものになりそうですね。ぜひ時間に余裕がある週末にでも試してみてください。
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