
有給休暇取得率は96%のイギリス
イギリス人は、無類のホリデー好き!
有給休暇は、年間5,6週間。そして、その取得率は96%という驚異的な熱の入りよう。つまり、ほとんどすべての人が年間5~6週間はたっぷり休むというわけだ。
イギリスの学校のホリデーは、夏休み(7~8月)、秋休み(10月)、クリスマス休暇(12月)、スキー休暇(2月)、イースター休暇(3~4月)とざっとこんな感じ。子供がいる家庭の場合、学期が始まったかと思うと、すぐまた次のホリデーに突入ということの連続で一年が終わる。
クリスマス休暇は、それぞれの実家で過ごす人が多いが、特に学校の休みが長い夏休み(6週間)とイースター休暇(2~3週間)は国内外に旅行に出かける人たちが多い。
そして、半年以上前からホリデーの予約をする。中には2年も先のホリデーまで予約済みの人たちもいるのだからもうこれは半端ない。まさに、「ホリデーのために生きている」という感じだ。
そして最低でも1~2週間は貸別荘などでゆったりくつろぐ。日本人のように1,2泊で帰るという発想は皆無だ(ちなみに南ヨーロッパの国々では大人も夏休みを1か月取るというから、もうスケールが全然違う)。
ちなみに日本の有給休暇は年間20日あるものの、その取得率は52.4%(2018年)。平均日数に直すと、たったの9.4日だ。
イギリスでは年間5,6週間休むのが当たり前であるのに対して、日本では10日も休めない。 これはかなりの衝撃。
毎年ホリデーに100万円
もちろん、家族で何週間もどこかに出かけていれば、結構な出費になる。ある調査によると、イギリス人は平均年間2回ホリデーをとり、1回につき1人当たり£855かかっているという。
4人家族の場合、だいたい1回の旅行で50万円となる。
つまり年間100万円がホリデーに使われる計算だ。
イギリスの家庭では共働きが圧倒的に多いが、みんなこのホリデーのために働いているのか?と思うことすらある。
かたやベネッセの調査によると、平均的な日本の家族旅行は以下のようなもの。
・日数:1泊~2泊(78.4%)
・費用:10万円以下(58.3%)
日本の人はあれだけ働いているのに、休暇にかける時間もお金も悲しいほど少ないことがお分かりいただけると思う。休暇だけとってみても、生活レベルの差は歴然としている。
因みにイギリスと日本の働き人の年収は、為替にもよるが、じゃっかん日本の方が多いくらいだ。日本の平均年収は約440万円なのに対して、イギリスでは約29,000ポンド(約400万円)。
実際、霧立の友人にも「来年は地中海のビーチホリデーを予約しちゃったから、頑張って働かないといけないの」と言っていた人がいた。決して家計に余裕のある家庭ではなかったが、そうまでしてホリデーに行く人たちが珍しくないのがイギリスである。

学校までホリデー優先のスコットランド
さて、「イギリス」と一口にいっても、スコットランドとイングランドでは法律も違うし文化も違う。
なんとスコットランドでは、学校を休ませてホリデーに行くことが可能である。表向きは、「学期中はホリデーに行かないでください」と言われているが、校長にはそれを止める権限はない。
我が家のユウが通っていた小学校でも、学期中にホリデーに行ってしまう家族は珍しくなかった。クリスマス前は特に顕著で、12月に入るともうさっさと休暇に行ってしまう家庭がチラホラ出てくる。
インドにルーツを持つある子どもは、親戚の結婚式があるからと、11月の下旬からインドへ行ってしまった(帰ってきたのは1月)。公式には12月22日あたりからがクリスマス休暇なので、その1ヶ月くらい前から休んでしまうという大胆さ!日本では考えられないことである。
学校もそれを予期してか、12月に入るともう勉強モードではなくなる。毎日、やれクリスマス会だの、映画鑑賞会だの、クリスマスの合唱コンサートだのイベントが目白押しになる。子どもたち12月は半分は遊びに学校に行っているようなものである。
また、学校が始まってもホリデーから帰ってこない家族もいる。しかし教師は眉をしかめるどころか、「そりゃ、ホリデーを取る権利は誰にだってありますからね!1週間くらい多く休んだって、責められませんね」という寛大さ(?)。
コロナウィルスの休校で夏休みの短縮?
今回、コロナウイルスで3月23日から休校が続いているスコットランドの学校。世界中の学校が夏休みの大幅な短縮を余儀なくされたという中で、スコットランドの学校もさすがにホリデーを削らなければならなくなった。
で、どれくい短くなったかって?
たったの1週間ですよ!
6週間が5週間になっただけ!
しかし、スコットランド人の友人たちは「残念だけど、もう仕方ないわよね~」「1週間も早く学校が始まるんだ」とちょっと不満げ。
この期に及んで、どんだけ休めば気が済むんですかっ!と突っ込みたくなった霧立である。
スコットランド人にとって、ホリデーは「聖域」なのだ。
ホリデーを削るのは、最後の手段。
日本人の「休めない体質」はどこからくるのか?
ついでに言うと、休みを重要視するのでスコットランドのユウの小学校では、金、土、日は宿題が出なかった。夏休みなどの長期休暇で宿題が出ないのは当たり前。

日本の学校では、「休みこそ勉強しろ」という通念がある。だから宿題は週末だろうが、祝日だろうが、長期休みだろうが必ず出る。今、ユウが通っている日本の学校では、宿題をやってこないと休み時間にやらされるそうだ。
有給取得率が異常に低い日本。
子どもの頃から「休み」を返上して勤勉に励む姿が、20年後の疲れた大人と重なった。
霧立は、スコットランドの学校のゆるさは決していいとは思わない。学校は、子どもたちの才能を伸ばすために十分なサポートをしているとは言いがたいからだ。
でも、日本社会は忙しすぎる。
ホリデーのために生きるのもどうかと思うけれど、家族でホリデーをゆっくり楽しむという発想は、学校教育の段階から始まっているのだと思った。日本は有給休暇取得率をあげるために罰則まで設けて必死だが、子どもの頃から培われている「休まない文化」を変えない限り、難しいのではないだろうか。
日本は有給を取るのにも窮屈な思いをして取らないといけない場合が多いですよね。権利なのに大変ですね。私がいるアメリカの州では今年度中にとらないと有給消化できないから1週間ほど休むねって、当たり前にやっています。私の上司がまさにそれを今月やります。毎年やってます。7月から新しい財政年度が始まるから。私は有給のないパートタイム社員なので、許す限り適当に無給を取り、休んだ分をどこかで穴埋めしないといけませんが。
うちの学区はホリデーのために学校を休むのはいい顔してくれません。習い事のために30分ほどの早退を7回ぐらいしたら、校長先生からおとがめの手紙が来ました。もっとしたら児童保護局に通報される恐れも。
南欧のように1ヶ月ほどバケーション行ってくるねーってやってみたいです。
エラはお年寄りさん
コメントありがとうございました!
パートタイムは無給なんですね。イギリスでは、確かパートタイムも有休ありました(働く時間数とかによると思いますが)。
あとで穴埋めしないといけないのは、大変ですね。
イギリスで風邪で病欠したらどうなるの?と友人に聞いたら、「別にその分の穴埋めは求められないよ」と言っていて結構ビックリしました。
日本だと病気で休んでも結局あとで取り戻さないといけないので、おちおち休んでいられない感じだったのを覚えています。
私も日本で働いていた時、結局有休なんて全然とりませんでした。
学校だったので、誰かに授業頼むなんて、しょせんできないことでした。
みんな自分の授業をするので精一杯なのを知っていたので、そんなことを頼むという気すらおきませんでした。
受験生なんて受け持っていると、なおさらでしたね。
まあ、普通の会社勤めの人より夏休みは長めだったので、いいのですが!
学校の休暇は、イングランドでは違法でしたね。
スコットランドはちょっとリラックスしすぎなのかもしれません。
習い事のために30分早退しただけでお咎めなんですね。
うーん。
学校と家庭の領域のせめぎあいですね。
先日韓国人の友人とこの話になって、「そういえば韓国では、学校が10時まで(夜ですよ!)あった。そう言われてみれば、ゆっくりできる時間なんてなかった。当時はそれが当たり前だと思っていたから、何も疑問に思わなかったけれど」と言っていました。
家庭の時間など、ないに等しいですね。
学期中にホリデー行くのは確かに問題なんですが、中には経済的にピーク時の旅行費が出せない家庭もあるんですよね。
うちは、お天気があまりに良かったらどうしてもキャンプに行きたくて(スコットランドではレアなので)、2日学校を休ませたことがあります。
担任に恐る恐る前日話したら
「ぜひぜひ行ってきてください!明日、あさっては絶好のキャンプ日和ですから!ぜひ!」
と言われました(笑)。
実際、あの二日間ほどの晴天はその後なく、行って正解でした。
霧立灯