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イギリス英語ーアクセントと階級の関係

文化の交差点

27 7月
Last updated on 2019/10/15

イギリス英語

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  • イギリス英語ーアクセントと階級の関係
    • 「標準語」は事実上存在しないイギリス英語
    • イギリス英語はなぜ多様なのか?
    • まとめー言葉は自分そのもの

イギリス英語ーアクセントと階級の関係

「標準語」は事実上存在しないイギリス英語

イギリス英語は非常に多様だ。一般化するのは難しい。特にアクセントとなると、驚くほど人によって違う。一応「標準語」(Received Pronuciation=RP) という概念はある。伝統的に南イングランドで話されてきた英語のアクセントであり、王族、富裕層、エリート教育機関の中で使われてきた。

しかし、実際にこの標準語を使っているのは人口の2%に過ぎないという。BBCはもはやこの標準語に固執せずに、他の地域のアクセントも取り入れている。オックスフォード大学での英語も厳密には違うし、クイーンの英語はとても独特で標準語とも異なるそうだ。(くわしくはこちら。)

現在この標準語は、外国人にイギリス英語を教える時に採用されているために広く周知されているが、実際にイギリスではほとんど使われていない発音なのだ。なんとも皮肉な話だ。

そのため、生粋のイギリス人よりも外国人のほうが標準語のアクセントで話す人が出てきたというおかしな現象も起きているという。しかしネイティブではないので、やはり母語のアクセントも残っている。上流階級の気取ったイギリス標準語を、外国人が自国のアクセントを混ぜて使うので、滑稽に聞こえるとの声もある。

人口の2%しか使わない「標準語」。これはもう、事実上イギリスに標準語はないと言っても過言ではないだろう。

イギリス英語はなぜ多様なのか?

アクセントチューナー

無数にあるアクセント

霧立が住んでいるのはスコットランドだ。スコットランドのアクセントはまた独特で、いわゆる「標準語」とはかけ離れている。引っ越してきた初めの一年は本当に苦労した。

それでも教育を受けている人の英語は一番分かりやすい。標準語に近い英語だからだ。しかし、水回りの職人さんや電気技師など家の修理に来てくれる人たちの英語は初めはちんぷんかんぷんだった。発音が違うだけでなく、文法もかなりいい加減だからだ。

今では霧立の耳の中に「アクセントチューナー」のようなものが出来上がり、相手と話し始めて5秒でそのチューナーをセットできるようになった。霧立の「アクセントチューナー」はだいたい5局ある。今でも「アクセント5」の人の英語を聞き取るのは大変だ。

ちなみにお隣りに住むおじいさんは、この最強のアクセントで話す人だ。「ハロー!」と挨拶すると「アイアーイ!」 と返ってくる。一度それ以上の会話を試みたが、さっぱり分からないのでで、それ以来は顔を合わせば、

「ハロー!」

「アイアーイ!」

だけの関係。とっても親切なおじさんなだけに残念だ。我が家では彼のことを親しみを込めて「アイアイのおじさん」と呼んでいる。

友人のビクトリアは、アクセントに非常に敏感な人だ。彼女曰く、「自分は5マイル(8km)ごとのアクセントの違いを識別できる」そうだ。

霧立の耳にはそこまでは分からない。しかし、エディンバラとグラスゴー(車で1時間の距離)のアクセントが全然違うことはよく分かる。想像するなら、東京と横浜のアクセントが全然違うといった感覚だ。

しかし、なぜこんなに人によってアクセントが違うのだろう?アメリカにいた時は感じなかったことだ。もちろんアメリカは広大な国だから、地域によって自然と独特のアクセントや単語が生まれてくることはある。西海岸、東海岸、南部の州のアクセントの違いはある。

しかし、カリフォルニア州より小さいイギリスという一国の中で、どうしてここまで無数のアクセントが生まれるのだろうか?

歴史的背景

一つの理由は、イギリスの歴史にある。

1930年代まで、人々の交流は自分の住む町の中に限られていたため、方言が発達していった。そしてこれらの方言は、自分たちのアイデンティティーとして大切に保持されてきた。他の英語圏の国々は、イギリスから移住した多様なグループの人々によって発展してきた。そのため、方言は広まらず、全ての人が分かるように言葉は一般化していった。(拙訳)

Jack Hill, St. Albans

確かにアメリカやオーストラリア、ニュージーランドは、イギリス各地からの移民によって形成された歴史の浅い国々だ。生まれ育った町の方言を、アイデンティティーとして保持するのは現実的ではなかったはずだ。

現代では、イギリス国内で人々の移動も進み、ロンドンを始めとする大きな都市では外国人の割合も増えてきた。だから、国際都市ではアクセントや方言は少なくなってきている。

しかし、「Dundee(スコットランド中東部の街)の人は一生Dundeeから出ない」と冗談で言う人もいるほど、生まれ育った街で一生を過ごす人たちも日本と比べてまだまだ多いようだ。たぶん、日本ほど全てが大都市に一極集中していないことと関係していると思う。

階級と言語

イギリスに限らず、どこの国にも方言はある。そしてその方言は、地理的な分布で認めることが出来る。例えば、東北弁は東北地方に住む人たちに広く話されている言葉やそのアクセントである。東北生まれ、東北育ちの人は日常的にみんな東北弁を話す。

しかし仕事や公の場で外部の人間と話す時は標準語を話す、といった切り替えが出来る人が多い。もちろん、多少東北弁のアクセントが残っていることもあるが、少なくとも普段使う東北弁と切り替えている。

イギリスに固有だと思うのは、地理的な要因とは別な要因がアクセントに大きく関わっている点である。それは「階級」である。

例えばスコットランドで生まれ育っていても、階級によってアクセントが全く違うのである。高い教育を受けたミドルクラス以上の人達は、スコットランドアクセントがほとんどない。

しかもそれは東北の人達が状況に応じて東北弁から標準語に切り替えられる、というのと違って彼らは日常的にスコットランドのアクセントで話さないのだ。というより、そもそもスコットランドアクセントを習得していないのだ。

そして、労働者階級になればなるほど、そのアクセントは強くなる。先日、みかんの散歩をしている時に工事現場に通りかかった。三人の男性が働きながら何やら大きな声で話している。

(もう五年も住んでいるんだもん。分かるようになったかな?どれどれ…。)

という好奇心から注意深く、耳をそばだてて、ゆっくり近くを歩いてみたが…

分からなかった…。一言も…。

これはかなりのショックだったし悔しかった。

そして、日本で方言を使う人たちと大きく違うのは、このようなアクセントを持つ人たちは状況に応じて標準語のアクセントに切り替えることは出来ないということだ。

どうりで標準語を話す人たちが人口の2%しかいないわけだ。

イギリスでは階級ごとに住む地域がはっきりと分かれている。使うスーパーも違う。政府は、階級が混ざり合うような学区域を腐心して作り出している。

しかし、口を開けば誰がどの階級で、どのような教育を受けてきたのかすぐに分かってしまうこの国では、階級が違えば自然と親同士の間に距離が生まれてしまう。子どもを学校に迎えに行くと、階級ごと、人種ごとの親のグループが自然と出来上がっているのだ。なんとなく悲しく思うが、それが現実だ。

また、ミドルクラス以上の教育熱心な家庭では、子どもを私立へ行かせることも多い。そこで話されているアクセントは、限りなく標準語に近い。地域のアクセントとは無縁の世界だ。

こうして同じ街で暮らしていながら、階級が違えば知り合うこともなく、それぞれ別のアクセントで話すようになるというイギリス独特の現象が生まれるのである。

まとめー言葉は自分そのもの

力強いスコットランドのアクセント

日本では、「標準語」は国民を束ねるために明治時代に江戸弁をベースに人工的に作られた言語である。そして日本全国津々浦々で同一の言語を使用させるために、「国語」という科目が義務教育課程で設置された。国語教育は明治の一大国家事業だったわけだ。(詳しくは、こちら。『「国語」という思想』)

「標準語」が政策として打ち出されたとたんに、「方言」という概念が生まれ、方言蔑視という風潮が生まれた。アメリカ英語を「標準」とし、それ以外の英語を「訛り」と表現する日本人の感覚は、そういうところからきているのかもしれない。

他方、イギリスは「標準語」を制定したものの、具体的に公教育現場でそれを推進することはしなかった。だから「標準語」はいつまでたっても一部のエリート達のもので、大多数の国民にとっては自分とは関係ない言葉なのだ。

イギリスでは「標準語」は「鼻持ちならないアクセント」と嫌われることすらある。また、方言が恥ずかしいとかそういう意識はあまり見られない。良くも悪くも、自分の言葉は自分そのもの(出身地、階級、教育)なのだ。

日本語では霧立自身は無味乾燥な標準語しか話せない。方言のある地域で初めて暮らしてみて、方言の持つ底力というかその血の通った言葉に圧倒されている。

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「イギリス英語」から見えてくるイギリス文化

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