ハリーポッター・スタジオに行って、ちょっとガッカリした話
ハリーポッター・スタジオに先週行ってきた。もちろん面白かったのだが、かなり楽しみにしていたせいかちょっと期待外れでがっかりした。ネットで見ると「楽しかった!」という反応が目白押しなだけに、ちょっと恐縮なのだが…
この記事は、
- ハリーポッター・スタジオには興味あるけど、行こうか迷っている人
- ハリーポッター・スタジオに興味はあるけれど、わざわざロンドンまでは行きたくないから話を聞くだけでいい、という人
に向けて書いていきたい。
ハリーポッター・スタジオって?
そもそも「ハリーポッター・スタジオ」って何なの?というところから始めよう。正確には“Warner Bros. Studio Tour London”。
これは「ハリーポッター」の映画を製作した、ワーナーブラザーズが「どうやってハリーポッターの映画を撮ったか?」というのをエンターテイメント風に展示している場所である。
具体的に言うと、
- 特撮方法のタネあかし
- 実際に使ったセットや小道具の公開
といったところだ。
場所はWatfordという、ロンドンのEuston駅から電車とバスで45分くらいの場所にある。
期待が最高にふくらむ…!
霧立一家はハリーポッターファンだ。今回のイングランド旅行で一番楽しみにしていたのが、このハリーポッタースタジオ。
駐車場からこの入り口を見たとたん、一気にボルテージは上がる!
「いこ、いこ、いこいこいこ!!」
となぜか走ってしまう霧立一家。
セキュリティを抜けると、まるで空港のような長い通路。両側には「忍びの地図」の壁紙と、ハリーポッターに出てくる名ゼリフや呪文が。ユウはすでに、魔法の杖を振るふりをしながら、
‘Wingardium Leviosa!’
とブツブツ呪文を唱えている…。(物を宙に浮かす呪文ね。)
一気に萎えたダイニングホール
ワーナーブラザーズにしたら、これはかなり「ドラマティックなスタート!」という設定だったはず。ホグワーツの、あの見る者全てを圧倒させるほど素晴らしいダイニングホール。しかし…
あれ、あれ…??こんなにちゃちいの…?
というのが第一印象。
暖炉の火はニセモノだし、長テーブルの木も古くみせているけれど古くない。しかも、
この紫色の照明は一体なんなのヨ?!
と戸惑ってしまった。
というのも、このたった数時間前、霧立一家はオックスフォード大学のクライストチャーチ・カレッジでホンモノを見てしまっていたのだ。違いは歴然としすぎていた。
ね?一目瞭然ですよね?
しかし、「そりゃ、16世紀のホンモノと21世紀のじゃ違って当たり前だよね…。次いこ、次!」
と霧立、自らを慰める。
期待値を下方修正して臨んだら、それなりに面白かったセット
出鼻をくじかれた形だったが、期待値を下方修正したらそれなりに面白かったものもたくさんあった。これはハリーたちのグリフィンドールの部屋。
ハリーにとっての「家」。意地悪な伯父さんの家では、こんな階段下のカップボードに住んでいたからなぁ。
お次はロンの家のキッチン。あの家は家事を魔法でやっちゃうからうらやましいなぁ~と霧立はいつも憧れていた。魔法にかけられたブラシがフライパンを洗っており、包丁はニンジンを切っている。
「どうやってうごいているんだろ?!」とユウは夢中。「そりゃ、魔法でしょ」と疲れてきた母のやる気ない返答。
これはグリフィンドールのコモンルーム前にあった”Fat Lady”の肖像画。
いつかユウが、
「ぼく、Fat Ladyはけっこうprettyだとおもう。みんなヘンな顔だって言うけどね。」
と言ったことがあった。それ以来、ユウが霧立のことを
「おかあさん、prettyだね!」
と言っても彼の美的感覚を疑うだけになってしまった…。
お次は”4 Privet Drive” のダズリー家。
実際は中には一つしか部屋がなくて…。こんな感じ!
ホグワーツからハリーのもとに、入学許可の手紙が何千通も届いた、あのシーン。これは、1枚1枚の手紙を透明のワイヤーで天井から吊り下げていた。「映画を撮るのって大変だなぁ、魔法はないからね…」と思ってクスっと笑ってしまった。
がっかりの原因は紫色の照明?
これはダンブルドアのオフィス。あのオフィスも映画では神秘で満ちていた部屋だったから、このセットにはちょっと幻滅。
と、ここでちょっと気付いたことがある。「紫色の照明は要注意!」ということだ。紫色の照明があるところでは、たいがい自分が違和感を感じることに気付いた。
映画の中で特に素晴らしく感じられた場所(ダイニングホールやこのダンブルドアのオフィスなど)は、どうしてもセットだと見劣りする。古さや荘厳さが感じられないのだ。紫色の照明はそのカモフラージュなのか?だいたい、紫色の空間って、普通ないし…。違和感を感じて当たり前な気がする。
こ、これも紫色にライトアップされたホグワーツエクスプレス。この車両は撮影で実際に使われたもの。カモフラージュする必要は全くないんだけど、なぜかまた紫色の照明。もーヤメテーっ!!
実際、春にこの機関車に乗って映画に出てきたシーンを旅した霧立一家にとっては、動かない展示用のホグワーツエクスプレスは、そこまで迫力がなかった。
やっぱ、断然こっちでしょう!
「トゥットゥー!」と蒸気を上げてこの橋を渡るのは最高だった。
ハリーポッター・スタジオがガッカリだった原因は?
映画のイメージが壊れる
本や映画の楽しみ方は人それぞれ。霧立は、ほとんどの場合、映画より本が好き。特に先に本を読んでいる場合、映画を見るとイメージが壊されてがっかりすることが多い。
でも、ハリーポッターの場合は出会い方が逆だった。映画を全部見てから本を読んだから、映画のイメージが初めからしっかり脳裏についていた。
だから言うなれば、今回は映画のイメージを安っぽいセットで壊されてがっかりした、ということかもしれない。
特撮のタネあかしは必要か?
それから、特撮のタネあかしはある人たちにとってはきっとすごく興味深いのだと思う。ほうきに乗って空を飛ぶシーンは、緑色の背景のセットでほうきに乗って、あとで実景の背景を付けるということらしい。
「役者はそんな無機質なセットの中で、あたかも嵐の中クイディッチのゲームをやっているようにみせなきゃいけないんだから、本当にすごいや。」
と役者の演技力に感心した。しかし、次映画でそのシーンを見たら、特撮の様子を知っているだけに映画の世界に入り込めないような気がする。
「どうせ、緑のスクリーンの前でほうきにまたがっているだけでしょ。」
ときっと思ってしまうからだ。
JKローリングは、ハリーポッターの本の中で、ロンドンの「ミレニアムブリッジ」に代表されるような現実の場所をしばしば登場させる。それは、
魔法の世界が、私たちの生活のすぐ近くにある、ということを示したかったから。
といつかJKローリングが言っていた。もっともだと思った。だからこそ、「ハリーポッター」はエキサイティングだと思う。
しかし、そうだとしたらワーナーブラザーズがこの「ハリーポッター・スタジオ」でやろうとしていることは、JKローリングの意図と逆行しているのではないだろうか?
せっかっくJKローリングが融合させた「私たちの世界と魔法の世界」から「魔法」の力を引き離し、言い方は悪いけれどハリーポッターの世界を色あせたものにしてはいないか?
もっとハリーポッターの世界に浸りたい人のために
ハリーポッターの世界に浸りたいなら、もっとイマジネーションを働かせられる場所に行った方が断然面白い、と霧立は思う。
これまで霧立が行ったことのある場所で、おススメなのは
- ヨークの街(「ダイアゴン横丁」そっくりの雰囲気が楽しめる。)
- ジャコバイト蒸気機関車でハイランドを旅する(詳しくはこちら。)
これからぜひ行きたいなぁと思っている場所は
- Alanwick Castle(イングランド中部。ほうきに乗る練習をした場所)
- Durham Cathedral(北イングランド。ホグワーツの廊下を撮影した場所)
やっぱり作ったセットでなく、撮影に使われた実際の場所はイマジネーションがぐんぐん広がって面白い!
ハリーポッター・スタジオは、ディズニーランドを楽しめる人ならきっとすごく楽しいと思う。それから、唯一ハリーポッター・スタジオでイマジネーションに勝ったものがあったのを思い出した。それは…
Butter Beer!!
すごい美味しかった!これ、調べたらなんか作れるらしい…。家でこれ作って、ハリーポッターの本を読みながら飲んだら、それこそハリーポッターワールドにどっぷりつかれて結構オツかも…。