イギリスが「お犬様天国」である3つの理由
みかん(14歳・ラブラドール)と一緒に大変な思いをしてイギリスに引っ越してきたが、本当に連れてきて良かったと思う。なぜならイギリスは「お犬様天国」だからだ。
今日はイギリスが犬にとって「地上の楽園」である理由ついて、さっそく書いていきたいと思う。
1.気候が最適
イギリスの気候は一年を通じて涼しく、暑さが苦手な犬にとって快適この上ない。霧立一家の住むスコットランドは、夏の平均最高気温は19℃。石造りの家の中はもっと涼しく、夏でも肌寒いくらいだ。クーラーのついている家はない。
これが、東京だと夏の平均最高気温は30℃だ。犬は毛皮をまとっているので、暑さにはめっぽう弱い。酷暑の中、毛皮のコートを着ていることを想像すれば、どれだけ犬にとって日本の夏が過酷かお分かりいただけるだろう。
日本の都会に住む犬は、特に厳しい環境を強いられている。コンクリートジャングルで森も木陰も少ない。霧立はあるとき、日本の都会に住む犬が実年齢より老けて見えることに気が付いた。
国別に犬の平均寿命を計算したら、日本とイギリスでは差が出るはずだ、と個人的には思っている。
2.犬に対して寛容なイギリス社会
イギリスでは、犬は時に人間並みかそれ以上(!)の扱いを受けることがある。霧立が実際に経験したいくつかの事例を挙げてみよう。
ゲストとして招待される
イギリスに引っ越してきて間もない頃のことである。お隣の家に、みかんの散歩のついでにご挨拶に行った。玄関先で済ませようとしたら、
「どうぞ、お入りになって!」
と勧められた。犬が一緒だからと遠慮したら、
「もちろん、ワンちゃんもどうぞ!」
と言われた!きれいに掃除の行き届いたカーペットの上を、足も拭かずに大型犬のみかんがドスドス無遠慮に(当たり前だ)入っていくのに、お隣さんは全く気にする様子もない。
リビングルームに通され、みかんと一緒にお茶まで頂いたが、こんな経験初めてだったので、みかんだけでなく霧立もとてつもなく落ち着かなかった。
「イギリスってどうなってんの?!」
「お犬様天国」の洗礼を浴びた体験だった。
それ以降も、友人宅に食事やお泊りで招待される時は、よくみかんも招待される。みかんはお城に住む友人宅にも何度か行ったし、泊ったことすらある!
公共の交通機関に乗れる
バス、電車、フェリーなど、ほとんどの公共の交通機関に犬は乗れる!みかんは、ノスタルジックな観光用の蒸気機関車に乗ったこともある。
初めは子ども運賃くらい払うのかな?と思ったが、まさかの無料。みかんのような大型犬も問題ない。みんなニコニコ笑って、撫でてくれたり、大歓迎ムードだ。

「ちょっとそこまで…。」ダブルデッカー・バスに乗って散歩に行ったある日。
「ペット可」の宿泊所
イギリスは「ペット可」の宿泊所がとても多い。イギリス人は休暇好きの国民。毎年夏には家族で2週間の旅行に行くのが標準だ。当然、ペットも連れて行く。
日本だと、宿泊地を決める前に、「ペット可」の宿泊施設をまず検索しなければならない。しかし、イギリスでは「ペット可」という宿泊所はとても多いので、困った経験はない。

先月霧立一家がイングランドで泊った「ペット可」の宿泊施設。

ダイニングキッチンも広々。みかんはここで寝いてた。ちなみにペットは無料で泊れた!
カフェやレストランにも入れる
ユウがまだ赤ちゃんだった頃、あるカフェ・レストランに入ろうとしたら店員が急いで出てきて、
「すみません、7歳以下のお子さんはご遠慮いただいています」
と申し訳なさそうに言った。
店内をチラッと見渡すと、犬が食事をしている飼い主の足元でごろんと横になっているではないか…!「犬はOKだけど、子どもはダメ!」というわけだ。みかんを見ていても、犬が子どもよりよっぽど静かで行儀がいいのは分かるけれど、これにはたまげた。
イギリスでは子どもより犬の方が「文明的」(civilized)と見なされ、手厚く扱われることがあるのだ。
「お水をどうぞ」
スパーやカフェなど、犬が入れない場所ではお店の前に犬用の水皿が置いてあるのをよく目にする。
ある日、ガーデン・センターに散歩の帰りに寄った。みかんは出口のところにつないでおいた。しばらくしてお店から出てきたら、誰かが(おそらく店員)がみかんにお水を持ってきてくれていたのだ!これには感動した。

「ガーデンセンターの人にお水もらいました!」のみかん。
日本では、真逆の経験をしたことがあった。あるスーパーの、出入り口からかなり離れたところにみかんをつないでよく買い物をしていた。他の飼い主も、そこに時々犬をつないでいた。
そうしたら、ある日
「ここに犬をつながないで下さい。」
と張り紙がしてあったのだ。他人の家でもなく、人の迷惑にならないスーパーの端っこだったのに。
犬をカフェやレストランに入れてくれるイギリス。スーパーの端にもつながせてくれない日本。この扱いの差は天と地ほどの違いだ。
3.ノー・リードで散歩出来る!
イギリスでは、犬がリードなしで散歩するのは当たり前の光景だ。田舎だけではない。街中でもノーリードが珍しくない。
犬は車の危険性も分かっているような顔をして、マナー良く歩いている。(やはり人間の幼児より「文明化」されているのだろうか?)
しかし、霧立は車の通るところでは怖いのでリードを付けて歩き、公園に付くとリードを外す。みかんが元気な頃は、リードを外すと喜んで公園や森を駆け回ったものだ。小川に飛び込んで遊ぶこともよくあった。

バスに乗って向かった先。ここは昔毎日2時間歩いた渓谷。ノーリードの犬だらけ。まさに「お犬様天国」!
そんなイギリスで、愛犬家必須のお散歩アイテムがある。「ボール投げ」。といってもただのボール投げではない。これは、ひょいっと一振りするだけで、ボールが100メートルは余裕で飛ばせる道具。しかもボールを拾う時に手で触らなくていい。(犬とボールで遊んだことがある人ならお分かりになるだろうが、ボールはヨダレでネチャネチャになっているのだ!)
百聞は一見にしかずなので、動画を見てもらいたい。とにかく面白いくらい簡単にボールを遠くに投げられる。
公園ではどの犬も楽しくノーリードで遊んでいるので、リードを付けている犬は、
「何か事情や問題がある犬」
とみなされる。
まとめ
イギリスは、
- 気候が涼しくて犬に最適!
- 犬に寛容な社会!
- ノーリードで散歩が出来る!
という3つの理由で、「お犬様天国」と言える。イギリスの犬が生き生きとしているのは、このことと関係しているのは間違いない。
しかし、犬が苦手な人にとってはあまり住みやすい社会ではないかもしれない。(イギリス人で犬が苦手な人はとても少ないが。)特に公園は…。
次回は、犬嫌いな人のイギリスでの「サバイバル術」について書きたいと思う。
`
日本で高校受験用の英語の模擬試験を作っている者です。イギリスの犬事情を問題に生かしたいと思い,イギリスでイヌはどう飼われているか。ペットスクールでしつけとかをしっかり教育しているのかとか,費用は高いのかとか,などを知りたくてネットを調べていて,ここに行きつきました。
読んでいて,イギリスの事情がよくわかりました。ありがとうございました。
Kaz Tanakaさま
コメントをありがとうございます!
イギリスの犬事情は中学生にとっても読みやすい内容でしょうね。
あまり関係ありませんが、私は大学入試の英語の長文が犬に関する文章だったんです。
犬の事なら読まなくても手に取るように分かったので、ラッキーでした(笑)。
(しかも、その学部の英語試験は、超長文が1問でるだけだったんです。)
さて、Blog内で触れていないこともいくつかありそうなので、補足しておきます。
‐ ペットスクールについては、あまり聞きません。犬を飼うのが初めての友人は、講習を何度か受けていましたが、イギリス人はたいがい犬を飼ったことがあるので、自分で躾が出来るのだと思います。
‐ イギリスの犬が吠えないのは、実はノーリードで小さな頃から自由に遊ばせてもらっているからです。仔犬の頃から他の犬と遊んでいるので、社交性が高いです。犬が吠えるのは結局、他の犬を警戒しているからなんですよね。
‐費用(獣医、餌代等)は日本とあまり変わらないと思います。
ご参考になれば幸いです。
霧立灯