大人になってから、友人のバースデーパーティーに呼ばれた経験がある人はいるだろうか?日本では、家族や親戚のバースデーパーティーに呼ばれることはあっても、友人のパーティーというのはあまりないのではないだろうか?
イギリスでは、時々大人でも節目の誕生日には大きなパーティーを開く人たちがいる。今日は大人のバースデーパーティーについて考えてみたい。
味わいのある、大人のバースデーパーティーのススメ
目が点になった招待状
今朝、メールをチェックしていたら友人のテレサからバースデーパーティーの招待状が届いていた。
「50歳を迎えるのは誰でしょう!?」
という目を引く書き出しと、微笑んでいる小さな女の子のセピア色の写真。テレサが幼い頃の写真らしい。どうやら彼女が50歳のバースデーパーティーを開くようだ。
しかし、読み進めていくほどに「?」「?!」「?!」な招待状となっていた。
まず、パーティー会場と記されているのが共通の友人クレアの自宅であること。クレアは霧立の友人の中で最も人格的に成熟している人の一人。
「お客さんが泊りに来たときは、自分のベッドを貸してあげて自分はソファーで寝る。お客さんには自分の持っている最高のものを貸してあげたいのよ!」
と言う人だ。
そんなクレアだから、テレサのために自宅をパーティー会場として開放することは、ありそうな話だなと思った。一瞬、クレアがテレサのためにバースデーパーティーを企画しているのかな?とも思ったが、メールの差出人はテレサ本人。クレアはあくまで場所を提供しているだけのようだ。
それから、「お越しいただけるだけでも大変嬉しいのですが、もしプレゼントを持ってきてくださるなら、次のリストを参考にして下さい」と続く。
- ギフト券
- ダークチョコレート(ジンジャーが入ってないもの。ミント味は絶対やめてください。)
- 本(料理本も含む。)
- ゾウのデザインのものなら何でも。
- 布製のバッグ、コットンのスカーフ
- フェアトレードやチャリティーショップからの商品。
- バス用品(ハンドクリーム、ボディーローション等。)
- 花は遠慮いたします。(テレサの夫はアレルギーがありますので!)
- パステルカラーは嫌いです。ロイヤルカラー(紫)が好きです。
……。
もう一度確認してしまった。これはクレアの企画ではないだろうか?
しかし、RSVP(出欠の返事)はテレサ本人の連絡先になっているし、メールの差出人も彼女だ。やっぱり、テレサ本人の企画であり、彼女からのプレゼントのリクエストリストだった。
霧立はいつもだったら「これはイギリスの習慣か?!」と驚くのだが、テレサがちょっと変わった人なのは薄々気付いていた。だから、これがすなわち「イギリスの習慣」だとは思わないし、第一彼女はオーストラリア人だ。(オーストラリアの習慣だともあまり思わないが。)
“No Gifts, Please!”(プレゼントは持ってこないで下さい!)というのは子どものバースデーパーティーでさえ聞いたことがあったが、大人のバースデーパーティーでプレゼントの詳細なリクエストをされるのは初めてだ。朝から目が点になった。
成熟を尊ぶ文化
テレサの招待状にはちょっと驚いたが、それは別として大人でもバースデーパーティーを開く習慣はなかなかいいものだなと思う。
年を重ねることにとてもポジティブな感じがするからだ。イギリスは成熟を尊ぶ文化がある。大人が誕生日を祝うのも、そこから来ていると思う。
日本にいたときは「誕生日が嬉しいのは子どもだけ!大人は毎年憂鬱になるね。」なんていうことをよく耳にしたものだ。
日本は「若さ至上主義」なのだ。特に女性は若ければもてはやされ、年を取ると芸能人などでも「劣化」などと表現される。まさにモノ扱いだ。それゆえ、アンチエイジングに対する取り組みも凄まじい。
しかし、年を取るのは当たり前。生きている限り、誰にでも日々起きていること。それに逆らおうとするのは、川の流れに逆流して泳ぐようなものであり、なんだか痛々しい。いつか、疲れ果てる。
霧立は、流れに任せてゆったりとカヌーで川を下るように年を取っていきたい。その時々の、周りの景色を楽しみながら。
味のある大人のバースデーパーティー
大人のバースデーパーティーは、イギリスだけの習慣ではない。去年、霧立はオーストラリアに住む友達の40歳のバースデーパーティーに招待された。高校生の時以来の大親友だ。
ゲストは全部で40人くらい。半分は家族や親戚で、残りは特別に親しい友人たち。高校、大学時代の特別な友人たちが、オーストラリア全土から飛行機に乗ってサプライズで駆け付けた。(霧立はイギリスから飛行機に27時間乗ってヘロヘロになって行った。)
本当に味のあるバースデーパーティーだった。子どもの楽しいだけのパーティーと違って、その人の歩んできた人生がにじみ出るようなパーティーだったからだ。ゲストは皆、私の友人(パーティーの主役)の人生に大きく関わってきた人たちであり、彼女もまた私たちの人生に大きな影響を与えてきた。
40歳という節目に、人生を振り返り、与えられてきた家族や友情を皆で喜び合う、本当に素晴らしいバースデーパーティーだった。大人になってからのバースデーパーティー、大きな節目の年にはやってみるのもいいかもしれない、と思わされた。
日本でやるとしたら…
場所
日本でやるとしたら、問題となるのはまず「場所」だろう。日本の住宅事情を考えると、スペース的に自宅では難しいケースが多いかもしれない。しかし、季節がよかったら庭でバーベキューパーティーなどにするのもいいかもしれない。
オーストラリアの友人のパーティーは、一軒家タイプの貸別荘で行われた(実際は彼女たちが所有している貸別荘だったのだが)。霧立一家も含め、遠方から来たゲストは3組ほどそのまま泊っていった。お料理は、ケータリングサービスの人が出張で来てくれて、とても豪華なパーティーフードを用意してくれた。

見た目も美しく、味も絶品だったケータリングのパーティーフード。
日本でも、霧立の義理の両親の金婚式を貸別荘でお祝いしたことがある。5家族が集まり、コテージは3棟両親がとってくれた。めったに会えない親戚とゆっくり温泉に入ったり、夜まで話したりと素晴らしいひと時だった。この時はお祝いの食卓は、ホテルのレストランだった。
日本でも、こんな素敵な一軒家が借りられるそうだ。東京から車で90分とアクセスもいい。広々としたプライベートガーデンでバーベキューも楽しめる。霧立のイチ押し高級貸別荘。
毎年では贅沢だけど、節目の誕生日を祝うにはふさわしい特別な場所ではないだろうか?
宿泊施設まで考えるとどうしても予算が膨らんでしまうので、レストランを予約するのでも十分だろう。
ゲスト
義理ではなく、本当に自分にとって大切な人をゲストに招待できるといいなあと思う。また、その人だけでなく、その人の配偶者も一緒に招待出来ると、さらに絆が深まるのではないだろうか?
ゲスト同士が知り合いでなかったとしても、本当に自分にとって大切なゲストというのはゲスト同士も似たところがあったりして、結構すぐ打ち解けられるものだ。
サプライズ
これは、ゲストが主役よりも先にパーティー会場に到着していることが求められるが、盛り上がること間違いなし!ゲスト同士も仲良くなれる。
オーストラリアの親友のバースデーパーティーは半年前から旦那さんが企画してくれて、隠すのがとにかく一大仕事だったが、彼女は
「ありがとう。一番の誕生日プレゼントだったわ!」
と彼に言っていた。(ちなみに友人の旦那さんは太っ腹で、霧立一家の旅費を半分負担してくれたのだった!)
まとめ
控え目な日本人にとっては、「バースデーパーティを自分で企画するのはちょっと…」と抵抗があるかもしれない。でも、本当に大切な人をゲストとして招待する場合、招かれる人は純粋に喜んでくれるのではないだろうか?それでも気が引けるという場合、配偶者に企画してもらうのもいい。
私たちは大人になって子どもが生まれると、とたんに人生の脇役、お世話係に徹してしまう。母親は特にそうでないだろうか?でも、私たちはいつまでも自分の人生の主役。人生の節目の誕生日ならなおのこと。自分の人生を大いに喜ぼう!と霧立は言いたい。
あ、でも、詳細なプレゼントのリクエストリストは送らないほうが、きっといいだろう。霧立はテレサのバースデーパーティーに行くか、ただいま検討中。