高校生の頃から憧れだったウィンブルドン。
20年越しの夢かなって、ついにテニスの聖地・ウィンブルドンへ行ってきた!
しかもいつも応援している錦織選手の試合を間近で見ることが出来て、最後にサインボールまでもらっちゃって、本当に夢みたいな1日だった。
今日は、どうやってわたくし霧立灯がウインブルドンの当日チケットを入手したかを詳細にレポートしてみたい。
ウィンブルドンでキャンプして当日チケットを入手した!
チケットを入手する方法
(せっかくイギリスに住んでいるし、今年こそウインブルドンのチケット買いたいなぁ~‼!)
そう思ってネットでチケットを見てみた。
£1,400
(約20万円)
センターコートのチケット代。一瞬にして、夢を粉砕された霧立であった。
「1人£1400?!家族で行ったらどうなるの?一夜にして霧立家破産決定!」
このように、ウィンブルドンのチケットを通常ルート(?)で入手するのは一部のセレブを除き一般庶民にはまずムリ!ちなみにチケット代はファイナルに近づくほど跳ね上がり、最終日は2人で£7,830(100万円以上!)という、もう「非常識」と言ってもいい程の価格にまでふくれ上がる。ビルゲイツ出ない限り、ムリムリ。
しかし、テレビに映っているウィンブルドンの観客の中には、とてもセレブとは思えないような…庶民的な人もたくさんいるではないか!一体どうなっているのか?
Ballot
このBallot(バロット)というのは、要は抽選。
年末(12月31日)までにBallotにエントリーし、2月頃に抽選結果が知らされる。しかし、これは「タダでチケットが当たった」という話ではないのでご注意を!
あくまで、「チケットを買える権利が当たった」ということ。しかし、この場合のチケット代は公式ホームページに出ている価格なので、そこまで高くはない。庶民にも払える金額だ。
しかし、試合の日付や試合、コートは選べない!そのため、都合が合わなかったり希望がかなわなかった人はチケット購入権を棄権することもある。
そうなるとその権利は再びBallotに戻され、7月まで抽選は繰り返される。つまり最後の最後まで希望はあるということだ。
Queue
しかし、Ballotに当たる確率はものすごく低い。申し込みが毎年殺到するからだ。
だから、一番現実的で確実なのはQueue(キュー)である。Queueというのはイギリス英語で「行列」を意味する。つまり、当日券を並んで買うということだ。
チケットも庶民プライス。センタコートになるとさすがにちょっとお高いけれど(£64~£225)、ファンにとっては決して出せない金額ではないだろう。
Queue必勝法!
さて、それでは庶民のみなさんにむけてQueueの攻略法をお伝えしたい。ウィンブルドンのQueueは当日、数時間早めに行ったくらいでは絶対ムリだからだ。
いつから並べばいいのか?
Queueはロジャー・フェデラーによって大きく左右される。フェデラーの試合日のためのQueueの長さが明らかにのびるのだ!恐るべし、フェデラー…。
結論から言うと、フェデラーの試合を観たいなら、2日前から並んだ方がいい。つまり、オーバーナイトになるのでテントを張ってキャンプをしながら並ぶのである。
霧立一家は友人家族と、第一週目の土曜日の試合に向けて並んだ。錦織選手がプレーするからだ。しかし、その日はフェデラーもナダルも出場予定ということで、かなりの混雑が予想された。
センターコートであろうフェデラーの試合は2日前から並ばないとムリなので、お目当ては錦織戦。それでも、前日の金曜日からテントを張ってキャンプして臨まなければならない。
友人はその日、会社や学校を早退し(!)、私たちは大荷物でWimbledon Park(テントを張って並ぶところ)にタクシーで乗り付けた。
Queueの最後尾の目印は紫色の旗。

“Q”と大きく書かれた紫色の旗を目指して行こう!
金曜日(試合前日)の午後2時。
最後尾に到着し、ドキドキしながら私たちがもらったQueue cardは…、
1000番以上…。
ガーン…
いきなり両家族にただようどよーんとした暗雲ムード。というのも、センターコート、No.1コート、No.2コートに割り当てられている当日券は、それぞれ500枚。
錦織選手は、おそらくNo.1コートの可能性が高いと予想していたので、1000番以内に入らないとダメなのだ。はるばるスコットランドから錦織を応援するためにテントをかついてやってきただけに、落胆の色は隠せなかった…。
しかしその後、錦織選手はNo.3コートで試合と分かった!!みんなの元気が一気に復活!!この日は他にイギリス人プレーヤー(エヴァンス、コンタ、アンディーマレー)がいたので、錦織がNo.3コートに回されたのだ。
コートの割り振りは、最後にならないと分からない。開催側にとっては、その試合がどれだけ集客できるかが全てなので、開催国選手がいる場合は、ランキングが下でもより大きなコートになる場合も多い。
やれやれ、これで錦織選手の試合は見られることが確定。しかもNo.3コートなら、かなりいい席が取れるはず。一気にお祭りモード全開!やったー!!
しかしQueue card「1番」の人は一体いつ来たのか?きっと誰もが気にあることである。そこで霧立取材に行ってきた。
ながーいQueueの先頭で涼しい顔してあたりを見回していたのは50代らしき女性。一体いつ到着したのかと聞いてみたら、土曜日の試合のために水曜日の朝6時から並んでいるという!!つまり、3日前の早朝からということだ。
彼女は、どうしてもフェデラーとナダルが観たかったとのこと。
「この番号だったら好きな席が選べるわ。最高の気分よ!今朝はシャワーも浴びて久しぶりにすっきりしたわ。」
センターコートの一番いい席でフェデラーやナダルの試合を観られる、というのはテニスファンにはたまらない。夢のまた夢。しかし、チャンスは誰にでもある。3日前からキャンプして並べば、この極上の体験が現実となるのだ。
テントは本当に2人用までしかダメなのか?
Queueで使えるテントは2人用が最大です。このサイズを超えるテントは認められません。
ウィンブルドンの公式見解には、このようにハッキリとテントサイズが明記されている。しかし…霧立家の持っているテントは4人用。わざわざこの時のためだけに小さいテントを買うのは無駄が多い。
だいたい、イギリスではこのような建前のルールと現実がかなり乖離していることが多々ある。イギリス人が真面目にそんなルールを守っているとは考えられなかった。(これがドイツやオランダだと、おそらく本当に認められない)。
それでも、「4人用のテントなんて規定外です!」と言われることを最後まで不安に思いながら、賭けに出た。そうしたら…
なんてことない!!やっぱりネ~。
リビングスペースまでついている我が家のテントだが、どの係員も一向に気にしていなかった。中にはもっとドデカいテントを臆することなく広げている人たちも。
周りを見渡すと、オランダ人や日本人はきっちり規定サイズを守っている。国民性である。
「2人用」というテントサイズの公式ルールは、イギリス特有の「建前」である。
家みたいに大きなテントでない限り、スペースのことは気にすべからず。

イギリスの夏の夜は明るい。美しい夕焼けのもと、ワインを飲んでのんびりしていた。同じ目的で世界中から集まったキャンパーたちは、とてもフレンドリーで和気あいあいとしてる。
Toilet Queueを侮るな!
朝は5時には係員に起こされる。
「おはようございまーす!至急、テントを畳み荷物をまとめてくださーい!!」
勘弁してよ…。なんちゅうモーニングコールだ。
かなりうんざりしながらも、寝ぼけ眼でテントから這い出した。すると、朝日の中でシルクの白いワンピースをまとった友人が優雅にキャンプチェアに座って、眉毛をかいている…。
ハリウッドの早朝ロケ現場かと思った。
霧立も洗顔をすべく、いそいでトイレに行ったら長蛇の!!なんと、30分は待ったねばならなかった。しかもメイク道具は持って行かなかった(準備悪すぎ…)。仕方がないので帰ってきてから鏡もない中、芝生の上でメイク。
先ほどの友人はもうバッチリメイクも決まっていた。彼女は「私は4時に起きてトイレに支度に行った。ガラガラだったわよ。5時じゃ遅いわよ」。さ、さすが女優。
長蛇の列を避けるには、係員に起こされる前に起きてトイレに行くべし!
その時は、洗顔、歯ブラシなどを忘れずに。
現金を持っていく!
テントを畳んで荷物をまとめたら、大きな白いテントに荷物を預けに行く。ここでも行列になるので、とにかくさっさと動くこと!もうホント、何をするにもQueue, queue, queueですワ…。

どこへいくにも、行列行列。
【預けられる荷物の大きさと料金】
- テント(キャンプ用品)£5
- 60㎝ x 45㎝ x 25㎝(飛行機で手荷物に出来るスーツケースの大きさ)以内の荷物£1
- 5点まで
キャンプチェアなどがスーツケースに入れられない場合、COSTCOやIKEAなどの大きなバッグに入れれば大丈夫。しかし、規定の大きさ以内のスーツケースなら£1で済むので、入るなら大きなバッグを使わない方が節約になる。
ここで注意しなければならないのは、ここでは現金しか使えないということ。普段現金を使わない霧立のお財布には、30ペンスくらいしかなかった。
友人から借りられたから良かったようなものの、そうでなかったらATMに走らなければならなかった…。
現金は必ず持っていくべし。
30分ルール
公式ガイドには、30分以上Queueから離れていると最悪Queue cardが無効になる、というオソロシイことが書いてある。しかし、係員がチェックにきたのは1回だけだった。
このルールもそこまで厳しくないということが分かった。しかし、テントだけ張って長時間その場を離れるのはリスクであるので気を付けるに越したことはない。
その他の持って行ったほうがいいもの
- どこでも座れるように、新聞紙や薄い座布団のようなものがあると便利!
- 日焼け止め(サンクリーム)
- 帽子
- 扇子
空気入れ、ワインオープナーなどは、誰かが絶対持っているので必須ではない。キャンパーはみんなフレンドリー。お互い物を融通しあって、助け合おう!
荷物は最小限しか持って行かれないので、いつものような優雅なキャンプにはならなかった。でも、世界中から集まったテニスファンのキャンプもとっても楽しかった!
いかがでしたか?
結果的に私たちは1070番前後のQueue cardでしたが、No.1コートの権利までは手に入りました!しかし、錦織選手の試合(No.3コート)を観たかったので、No.1 とNo.2コートのチケットを買う権利は行使しませんでした。(なんか、もったいない気もしますが…。)
結果的に、チケット代は1人£25(!)と格安で済みました。これは「グランドパス」と呼ばれているもので、センターコート、No.1 、No.2以外なら、どのコートの試合でも観戦できます。
ただ、グランドパスは指定席ではないので、一度でも席を外すとまたQueueに並び直さないとコートに戻れませんのでご注意を。