
エディンバラのオールドタウンにあるJKローリングの手形
ハリーポッターファンが、作品の背景を味わう方法は3つある。
- ロケ地を訪れる。
- ロンドンにあるハリーポッター・スタジオに行く。
- JKローリングが着想を得た実際の場所を訪ねる。
スコットランドの首都エディンバラは、JKローリングが愛した街。『ハリーポッター』のイマジネーションの泉となった街なのです。
今日は、実際にハリーポッターツアーに参加したわたくし霧立灯が、どのようにして『ハリーポッター』の世界が生まれたのかをレポートしていきます!
ではさっそく、一緒にエディンバラの古い街並みを歩いてみましょう。
JKローリングの視点でエディンバラを歩いたら…そこはハリポタの世界に満ちていた
グレイフライヤーズ教会の墓地
グレイフィライヤーズ教会(Grayfriars Kirk)は、エディンバラで歴史的に一番重要な教会。またこの教会の墓地は「世界で一番薄気味悪い墓地」ともいわれているそうです!
問題:「この墓地は、映画の中のどんなシーンのモデルになったでしょう?」
答え:『炎のゴブレット』でセドリックが殺され、またヴォルテモートが肉体を伴って蘇った墓場。
昼間だと明るいが、真っ暗な時を想像するとけっこう薄気味悪い。
ちなみに、ツアー参加者はここで「組分け帽子」(sorting hat)によって4つのハウス(グループ)に分けられ、ツアー中はクイズのポイントで競い合う仕組み。

ガイドのモニーが持っている「組分け帽子」から、カードを引きます。霧立はグリフィンドールでした!
さてさて、墓地の中を進んでいくと、なんとあの人の墓石が…?!誰の墓石だか、分かりますか?
そう!これは、”Thomas Riddell”(トーマス・リデル)の墓石。JKローリングは、ここからヴォルテモートの本名、「トム・リドル」を思いついたそうです。
問題:「なぜJKローリングは、”Riddell”ではなく”Riddle“とスペルを変えたのでしょう?」
答え:「アルファベットを並び替えた時に” I am Lord Voldemort”になるようにしたかったから。」
(トム・リドルの本名はミドルネームも入れると、Tom Marvolo Riddle。)
お次はこちら。
見覚えのある名前、見つけられますか?
そう!“Moodie”、「マッドアイ・ムーディー」と同じ姓ですね。
でもJKローリングは、ここでも末尾を”Moodie”から”Moody“に変えています。この方はエリザベス・ムーディーなので、女性。
これは英語の感覚的な話なのですが、末尾を”die”から”dy”にすることで、なんとなくデリケートな印象が抜ける感じがします。Mad-Eye Moodyを”dy”にしたのは、彼のキャラクターを考えるとしっくりくるような気がします。
最後の墓石はこちら。
そう、「マグゴナガル」という文字がすぐに見つかると思います。
実はこのウイリアム・マグゴナガルという人は、「スコットランドで一番下手くそな詩人」という不名誉を着せられているそうです…。
詩人としてはほとんど稼げず、貧しかったため、当初墓石に名前も彫られていなかったといいます。しかし、JKローリングが彼から「マグゴナガル先生」の名前を取ったことから一躍有名に!
「恐らくこのあたりに葬られています」という表示の隣に、新たにこの墓石が作られたというわけ。全く売れない詩人の名前が、『ハリーポッター』を通じて世界中に知られるようになったとは、何とも不思議なものです。
ホグワーツのモデル
ジョージヘリオット・スクール
これは、エディンバラで一番由緒のある私立学校。先ほどのグレイフライヤーズ教会の墓地のすぐ隣にあります。
ホグワーツ同様、4つのハウスがあり、ご覧の通り4つのタワーがコーナーごとにあります。JKローリングはここからホグワーツのハウスタワーの着想を得ましたが、実際映画ではもっと複雑な作りになっていますね。
エディンバラ城
ホグワーツは岩山の上に建てられていますが、その構想はこのエディンバラ城からきているんですって!霧立はこのお城をしょっちゅう見ていましたが、実はこのツアーに参加するまで、全く気付かなかったことでした。

ロンドンのハリーポッタースタジオにあるホグワーツの模型。
『ハリーポッター』の中でもホグワーツのことを”castle”と呼んでいたのを以前は、
(なんで学校のことを「お城」って言うんだろう?)
と腑に落ちなかったのですが、エディンバラ城がモデルだったことを考えればとても合点がいきました。ガッテンガッテン!
ダイアゴン横丁
JKローリングがダイアゴン横丁の着想を得たのが、このヴィクトリアストリート。石畳の曲がりくねった通りが、確かにダイアゴン横丁みたいです。
このストリートには、ハリーポッターショップ2つと、ウィズリー兄弟のショップを彷彿とさせるジョークショップがあります。
ハリーポッターショップについてはこちらの記事で詳しく触れています。
この日はなんと、ロンとハリーが乗った「空飛ぶ車」が止まっていた!ちょっとしたオマケ?
知られざるJKローリングのウソホント
エレファントハウス

“birthplace” of Harry Potter(ハリーポッターの「生誕の場所」)と書かれたエレファントハウス・カフェ。
このエレファントハウス(The Elephant House)というカフェは、いつも観光客でにぎわっています。というのも、ここでJKローリングが第一話である『ハリーポッターと賢者の石』が誕生した、と言われているからです。
しかし!
なんとそれは真実ではないということが、今回ツアーに参加して分かりました。
このカフェが出来たのは1995年。しかし、『ハリーポッターと賢者の石』は、1993年の段階ですでに初めの3章は書き上げていたというのです。
うーん。このカフェは「ハリーポッター生誕の場所」ということで国内外からお客さんを集めているので、この事実は痛いかもしれませんね…。ま、最終原稿のチェックくらいはしてたのかもしれませんが。
暖房費の節約?
エレファントハウス・カフェに限らず、JKローリングはエディンバラの中の色々なカフェで執筆をしていたようです。そして、それはしばしば貧しかった時代に「暖房費を節約するためだった」と言われていますが、彼女はそう言われるのを実は嫌がっているということです。
実際は、当時まだ小さかった娘を外に連れ出したほうが執筆に集中できたから、ということらしいです。JKローリングが好んだのは、
- 適度に混んでいるが、テーブルをシェアするほど混んでないカフェ
- 大きなカフェの片隅
そのような場所で、こっそり人間観察をしていたらしいです。
最終巻はホテルのスィートルームで
ハリーポッターシリーズが空前絶後の大ヒット作となり、JKローリングは莫大な資産を築きました。彼女は、もうカフェで執筆するには有名になりすぎていました。
そこで、エディンバラに自宅はあったのですが、最終巻『ハリーポッターと死の秘宝』はホテルのスィートルームで書き上げました。
バルモラルホテル(The Balmoral Hotel)という、エディンバラでも屈指の高級ホテルのスィートルームを長期間借り上げていたそうです。1泊£1,000(約15万円)!
今ではその部屋には、”JKローリング・スィート”という名前がついており、実際に宿泊できるようになっています。経済的に余裕のある人は、JKローリングが過ごしたお部屋をぜひ体験してみてください!
お金がなくても、こちらからお部屋の様子は見られます!→JKローリングスィートルームの様子
クイディッチゲーム
クイディッチが激しいのは、JKローリングが元夫と夫婦喧嘩をしてカンカンになった時に思いついたスポーツだから、という事です。
確かに体当たりしたり、硬いボール(ブラッジャー)を相手チームにぶつけたり、相当な激しさ。
まとめ
このハリーポッターツアー。個人的には、ロンドンのハリーポッタースタジオ・ツアーより面白かったです!
スタジオツアーは、特撮技術などに興味がある人にはたまらないと思います。でも、スタジオというのは実際の映像よりはるかに味気ないもので、興ざめすることすらある、と思いました。
スタジオが作り込まれた「おもちゃ箱」であるのに対して、実際のロケ地やJKローリングが着想を得た場所は、「ホンモノ」。本や映画の世界に、もっと入り込める気がします。
エディンバラに来る機会があったら、ぜひ参加してみて下さい!ガイドのモニーはとてもフレンドリーな女性です。
- 1人£12(霧立が行った時は特別セールで2人で£10だった!)
- 所要時間2時間
- 歩きやす靴で参加してね!
やっぱり本が一番!まだの人はぜひ読んでみて下さい。子どもから大人まで楽しめること請け合いです。
ハリーポッターの本も読んだことなければ映画も見たことないものです。読書好きの娘もハリーポッターにはあまり興味を示していません。なんでなんだろう。大学時代にハウスメートが徹夜でハリーポッター読んでたのを覚えています。これだけ人気なのだから私も読んでみようかな。ただ英語で読むと時間かかりそうなので日本語学校の図書館から日本語版を借りてこようと思います。きりたちさんは何語で読みましたか?読んだ後にエディンバラに行く機会があるといいなあ。
エラ様
コメントありがとうございます。
読書好きで『ハリーポッター』に興味を示さないとは、珍しいですね!
イギリスではそんな子供や大人に出会ったことはありません!
1巻の冒頭はもしかしたら、ちょっととっつきにくいのかもしれません。
イギリス人は少なくても映画は見ているので、そこで本を置かないんでしょうね、多分。
でも、ひとたびストーリーに入り込めば、ハウスメートの人がそうだったように、一気に読んでしまいたくなりますよ。
私は英語で読みました。
英語であんな長編を読むのは初めてでしたが、内容が面白いので全然苦になりませんでしたよ。
エラさんなら英語で絶対大丈夫ですよ!
日本語で読んだことありませんが、絶対原語のほうが面白いと思います。
エディンバラ、美しい街ですよ。
ぜひお越しくださいませ!
霧立灯