ガーデニングをやっている人なら、自分の庭で育てたお花を家の中で飾ったり、人に贈る機会があるはずだ。これは、ガーデナーの特権であり、豊かな暮らしを実感する時である。
しかし、自分の庭から切ったお花はすぐだめになってしまたたり、飾ってもいまいち恰好がつかない、ラッピングが上手く行かないといった悩みもあるのではないだろうか。
霧立家のお庭は今バラが最盛期。先日は友人宅に行く時にバラのブーケを作って持っていったので、その時のものを参考に、私なりの「ブーケの作り方」をお伝えしたい。
お庭のバラで素敵なブーケを作るコツ
早朝にまだ8分咲きのものをカット
お花をカットするのに最適な時間は早朝。特にバラの場合、その芳香は太陽の光に当たると揮発して弱まってしまう。ベストな時間は日が昇る前だが、イギリスの夏は朝3時代には日が昇ってしまうので、そこはおおらかに。とにかく気温が上がりだす前、日射しが直接バラに当たらないうちに取るようにする。
また花が完全に開いてしまっているものは、香りも弱く、花持ちも悪いので8分咲きのものを選ぶ。数種類のバラを混ぜる場合、開花した時のお花の大きさも考慮して選ぶ。
色のコーディネイト
同色系のグラデーションは失敗がない。今回私が選んだ色は、
アプリコット×オレンジ×黄色
スポーツジムに通うのが大好きな友人のことを思い浮かべながら選んだ。贈る相手やシチュエーションを考えながら色をコーディネイトすることは、私が大好きなプロセス。
クラシカルで清楚な雰囲気が欲しい場合、真っ白なアイスバーグだけでまとめることも。

たった数本でも小ぶりの花瓶を選べばきれいに飾れる。クラシカルなベースが気品あふれるアイスバーグを引き立てている。
他におススメなゴールデンコンビネーションは、ピンク×ホワイト×紫。
赤は主張が強いので難しい。色々試した結果落ち着いたのが、赤×うすいブルー×白。
濃いブルーだと赤と色が勝ち合ってしまうので気を付けて。うすいブルーはバラではなく、小さな花を選ぶ。それによって、主役の赤いバラが引き立つ。
花の種類のコーディネイト
主役の花を決める
今回私が作ったブーケの場合、主役は淡いアプリコット色のバラ。
理由は、開花した時のお花の大きさが一番大きかったから。脇役の花の方が大きいと、バランスが崩れてしまう。
脇役の花を決める
主役の次に目立ってほしい花。今回で言えばオレンジ色のバラ。本数は主役の花と同じか少なめに。特に今回のように主役の花より色が強い場合は、アクセント程度で十分。
フィラー
花と花の間をつないでくれる役割を持つ植物がフィラー。昔から一般によく知られているのは、「カスミソウ」。しかし必ずしも花である必要はなく、全く違ったテクスチャーの葉っぱなどでもナチュラルな雰囲気を作り出せて素敵(詳しくはこちら)。
また主役、脇役の花が少ない場合にボリュームを出してくれるフィラーは、ブーケ作りの強い味方。
今回使ったのは「アルケミラモリス」(俗称”Lady’s mantle”) 。半日陰でもぐんぐん育ってくれるこのアルケミラモリスは、フィラーに最適。

重たげなバラの花を下で支えてくれるアルケミラモリス。
水切り
バラのトゲを取り除く
特に人にプレゼントとして贈る場合、トゲは出来る限り取り除く。先のとがっている部分をハサミでカットすれば大丈夫。
よく切れるハサミで!
花束の長さを花頭からそろえて、大きなボールやバケツの中で水切り。よく切れるハサミで切る。切れ味の悪いハサミだと、茎の導管がつぶれてしまい、植物が上手に水を吸い上げられない。
斜めに切る
花茎は斜めにカットすることによって、水を吸い込む断面が大きくなり、水揚げが効率的に行われる。また飾る時に水に浸かる部分の葉っぱは全部取り除く。
水揚げ
3時間~4時間ほど深い水の中で花茎に十分水を吸い上げさせる。水の深さで圧力がかかり水があがりやすくなる。

水揚げ中の花たち。
束ねる
上から見た時に全体が丸みを帯びた形にするために、一本一本放射線状に重ねていく。中心の軸となる部分を常にふんわりと、でもしっかりと押さえておくとバラバラにならない。
ラッピング
<用意するもの>
麻紐などの紐
新聞紙やナチュラル色のラッピングペーパー
ブーケの色に合うリボン(天然素材がおススメ)
⑥で押さえていた軸の中心部分を紐で固定する。花を支えるようにラッピングペーパーや新聞紙でブーケをくるみリボンをつける。しっかり水揚げがされていれば、30分くらいはこのままの状態で持ち運び可能。
出来上がり!
お店で買うのもいいけれど、自分の庭で丹精込めて育てたお花を贈るのは特別。特に気の置けない友人を訪ねる時は、カジュアルなプレゼントとして粋。いつもとても喜ばれる。
自宅で飾る場合は、以下のことに気を付けると長持ちする。
*直射日光の当たらない涼しい場所に置く。
*水揚げ後は水は深くなくてよい。(水に浸かっている茎の部分が多いと、水が汚れやすくなるため。)
*面倒でも花瓶の水は毎日取り換え、2日に1回は④の要領で水切りをする。
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