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マイノリティーの疎外感はどこから来るのか?

文化の交差点

22 9月
Last updated on 2019/01/23

マイノリティーの疎外感はどこから来るのか?

コンテンツ

  • マイノリティーの疎外感はどこから来るのか?
    • はじめに
    • マイノリティーを科された子供時代
    • マイノリティーを受容した思春期
    • 大人になって初めて感じた疎外感
    • マイノリティーが自分のアイデンティティー
    • 疎外感はどこからくるのか?
    • おわりに

マイノリティーの疎外感はどこから来るのか?

はじめに

「学校給食とベジタリアン」について書いた時、「なぜそこまでマイノリティーのためにやらなければいけないのか?」「別に給食のメニューは一つでいい」と思った読者がいたと思う。

そこで、今回は、なぜ霧立がそこまでマイノリティーへの配慮にこだわるのかについて書いてみたい。それは霧立自身がマイノリティーとして生きてきたことと切り離せないので、個人的な記述が多くなることを初めに断っておきたい。

マイノリティーを科された子供時代

大人みたいな恰好をさせらていた幼児期

霧立は物心ついた時から「マイノリティー」だった。

周りの友達が持っているおもちゃは、家には一つもなかった。

友達が食べている駄菓子も、ほとんど買ってもらったことがない。

着る洋服も、他の女の子はピンクや赤なのに、霧立と姉だけベージュ、紺、グレー、ブラウン、カーキなどといった全く「子供らしくない」渋い色ばかり。

「また茶色。きったない色…。」と本当に嫌だった。上品なツィードのスカートはチクチクして大嫌いだった。

友達たちが履いていた「キャンディーキャンディー」(幼稚園の頃人気だったアニメ)のピンクの靴は憧れだった。しかし母は、

「あんなのはビニール靴。通気性が悪い」

と言って即却下。霧立姉妹が履いていたのは、なんとスエードの靴…。今自分で考えても信じられん…。

「すえーどっていやだな。かわいくないもん…色もまた茶色だし…」

と子どもながらかなり不満だった。

今から思えば、母はファッションセンスがあった。相当おしゃれな恰好をさせられていたんだと思う。でも、子どもの時は全然、そう思えなかった。

「みんなみたいに、ピンクのビニール靴やキャラクターのプリントの洋服が着たいな。あかりは、いつもきたない色の服ばかり着させられている…。」

とにかく霧立姉妹の恰好は、近所の子どもたちの恰好とだいぶ違った。幼心に、

(自分たちは、なんかみんなと違っていやだな…。)

と思っていた。

紺色のランドセル

紺色のランドセル

しかしこれは序の口。決定的だったのは小学校に入学する時だった。

「みんなと一緒ということで安心するような人間になってはいけない」

と母はいつも言っていた。

それから、

「赤が女の子の色だと決めつけるのは良くない」

言って、姉と霧立が与えられたのは紺色のランドセル。

今と違って当時は、学校中の女の子は全員、赤いランドセルをしょっていた30年前のことだ。

相当勇気が要った。でも、2年上の姉がまさに全校生徒の中でたった一人で紺色のランドセルをしょっていた。自分だけ嫌だと言えないし、言っても聞いてもらえないのは分かっていた。

男子トイレにランドセルを投げ込まれたり、「おとこおんな!」と後ろから上級生の男子にランドセルを飛び蹴りされたことも何度もあった。でも、負けん気の強かった霧立姉妹は屈することなく乗り切った。

一人だけ私服の校外学習

今はそんなことはないだろうが、30年前の公立小学校では、遠足や林間学校などの校外学習の時は、みんな体育着で出かけた。

母はそれにも反対だった。体育の時間でないのに、体育着で学校の外を歩かせるのかということが信じられなかったらしい。(確かにその後、私立中学に進学したら体育着で校外に出るのは「みっともないから」禁止だった。)

それに、洋服の素材にもこだわる母にとって「ポリエステル100%」のジャージを一日中着ているのは受け入れがたいことだったのだろう。

とにかく、毎年毎年行事のごとに担任に霧立姉妹だけ私服で参加させたいとの要望を出す。変わった親だと学校中で有名だったと思う。それが本当に恥ずかしかった。

集合写真ではいつも一人だけ私服だから、超目立つ。5年生の時、転校生が来て早々に修学旅行があった。体操着の注文が間に合わなかったその子が私服で参加したとき、「一人じゃない!」と本当に嬉しかったのを覚えている。

しかし、幸いなことに霧立は友達がたくさんいた。マイノリティーだったけれど、学校生活は楽しかった。

マイノリティーを受容した思春期

留学経験を経て分かったこと

そんな変わり者の母のおかげで、霧立は小学校時代までマイノリティーとしてとにかく目立っていた。その後、私立中学に進学し、母の価値観に合う学校だったので、初めて多少「普通の子ども」を経験。

しかし、高校と大学の一時期に海外に留学する経験をした。当たり前だが、海外では日本人の自分はマイノリティー。

外見も違えば言葉も違う。しかし、不思議なことに子どもの頃に経験した「絶対的なマイノリティー」という感覚と比べて、大したことがなかったのである。

自分の他にもいろんな種類のマイノリティーがあちこちにいたから、霧立の「マイノリティー度」は相対的になった。

いろんな価値観を持った人がいた。

いろんな意見を持った人がいた。

障碍者の人が驚くほどたくさんキャンパスにいた。

いろんな肌の色の人がいた。

LGBTの人がいた。

いろんな恰好の人がいた。

いろんなメイクの仕方をする人がいた。

いろんな年齢の学生がいた。

だから、日本人の霧立が特に目立つマイノリティーでは全然なかったのだ。誰もが「違う」ことに慣れていた。

言葉のハンディあったし、友達を作るのは簡単ではなかった。でも、日本にいた時ほど、みんなとの違いが全然気にならなくなった。これは、霧立も予想しなかったことだった。

初めて「違っていてもいいんだ」と心から思えた経験だった。

マイノリティーであることを受け入れる

それから霧立は強くなった。日本に帰ってからも「自分は自分でいい」と思った。人と意見が違っても、堂々としていられるようになった。

子ども時代に霧立がマイノリティーだったのは、いわば母からの押し付けだった。霧立はむしろ、みんなと同じ格好がしたかったし、赤いランドセルが欲しかったし、体操着で校外学習に行きたかった。

でも、思春期を経て自分の意見を持つようになってから、初めてマイノリティーであることを恐れなくなった。

大人になって初めて感じた疎外感

マイノリティーの疎外感

でも、大人になって社会に出てから、疎外感を感じるようになった。

就職の時の面接では、落ち着いて堂々としていると何度か面接官に驚かれた。「就活マニュアル」など、目を通したこともなかった。しかし、自分の意見を臆することなく話すので、面接は得意だった。

しかし、大手の企業の最終面接で、はっきり自分の主義主張を言ったら、面接官に残念そうな顔をされ落とされた。別にそれで良かった。自分の主義主張を押し殺してまで働きたいとは思わなかった。

企業は表向きは「個性のある人材」を求めておきながら、いざはっきり主義主張を言うとはじかれる。

学校教育では、金子みすゞの詩を教科書に載せて多様性を奨励しておきながら、実はいまだに集団行動主義から抜け出せないでいる。

「自分の意見は押し込めて集団に合わせること」が求められる日本社会は、時に息苦しかった。「違い」が受け入れられない経験をする度に、疎外感を味わった。

自分の国にいるがゆえに、強い疎外感だった。

結局、大学院に進学して、その後、自分が志していた仕事に就くことが出来た。その職場はとても自由で、風通しが良く、多様性に対して懐が深かったと思う。

マイノリティーが自分のアイデンティティー

イギリスに越してきて、6年目。

西海岸のリベラルな州で大学生をやっていた時より、多様性は少ないスコットランドに住んでいる。ロンドンのような大都市に比べて、ここでは白人がマジョリティー。

でも、幼稚園時代からマイノリティーとしての下積みがある霧立にとって、マイノリティーはすっかり自分のアイデンティティーになってしまった。

またスコットランド人は、イングランド人より外の者に対してフレンドリー。霧立の英語も留学時代よりだいぶラクになってきて、いい友達にも恵まれている。

疎外感はゼロといったらウソになる。自分はやっぱり「外国人」だと思うこともある。でも、皮肉なことに日本にいた時より疎外感はない。多様性を認めてくれる社会だからだと思う。

疎外感はどこからくるのか?

人間が疎外感を味わうのは、自分が人と違うという経験をするときではない。その違いを「ダメなもの」「非常識なもの」として否定されるとき、人は疎外感を感じるのである。

霧立が子供時代にマイノリティーでありがながら疎外感を感じなかったのは、友達が霧立の外面的な違いに目を向けずに、霧立自身を見て付き合ってくれていたからだ。(子どもってなんて素晴らしいんだろう…!)

また大学はリベラルな雰囲気の大学だったので、違う意見を持った人とも「気持ちよく」(←ここが重要)議論が出来た。

友人たちから教えられたことは、

  • 違いを超えてその人の内面を見ること。
  • 違いがあっても対話ができるということ。

おわりに

幼少の頃から親から無理やり科されたマイノリティー精神。子どもの頃は嫌で嫌でたまらなかったが、そのおかげで自然とマイノリティーの人たちに意識が向くようになった。

豊かな社会とは、多様性に寛容な社会だと思う。マイノリティーが縮こまって小さなコミュニティーでしか暮らせない社会でなく、みんなと一緒に暮らしていける社会になればいいのに、と心から思う。

多様性を受け入れることは、効率が悪くなる、コストがかかるという意見がある。それについては、またゆっくりじっくり考えて、いつか書いてみたい。

 

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Comments

  1. しば犬エラ says

    2018-10-09 at 12:40 AM

    日本にいた時には、灯さんと違って、私はマジョリティだったのかなと思います。海外生活も20年を超えても、自分がマイノリティであるということはいつも念頭にあります。私のようにアジア人で、英語も訛りのある外国人を、専門家として頼ってきてくれる、アメリカ人たちはなんて寛大なんだろうって思います。あかりさんのお母様が、そんなに画期的な考えを持って、子供達の教育をしていたこと、初めて知りました。マイノリティでいいのだって思って、育ててくれる親御さんなかなかいないと思います。

    • Akari says

      2018-10-09 at 8:39 AM

      柴犬エラ様

      コメント、どうもありがとうございました!
      初めてのコメントだったので、とてもとてもうれしく読みました。

      アメリカ人は多様性に寛容ですよね。でも、母語が英語でない柴犬エラさんが専門家としてアメリカで働いているというのは、尊敬に値しますよ。一生懸命な人に温かいのではないでしょうか?

      霧立の母は、確かにすごい変わっていましたね。当時は迷惑以外の何ものでもなかったのですが、今になってその意図が分かったという感じです。

      これからもよろしくお願いします。

      霧立灯

A little about me…

こんにちは。霧立灯(きりたち あかり)です。夫(マナブ)、小学生の息子(ユウ)と愛犬(みかん)とイギリスで暮らしています。家にいるのが好きなので、家を心地よい空間にしたいと思っています。 Read More…

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