検疫・税関関連の準備
イギリスに犬を連れて行くためには、書類の入念な準備が欠かせない。必要書類は代理店の方から知らされるので、自分で調べる必要はない。ここでは、渡英に必要な処置と書類の記入の仕方について説明していきたい。
マイクロチップ装着
普通の注射より少し太いもので首の辺りに埋め込む。一瞬で完了。うちのみかんは、「キャン!」とちょっとだけ悲鳴をあげた。
予防接種関連のデータは今後、すべてマイクロチップから読み取り可能になる。「マイクロチップ埋め込み証明書」を獣医に記入してもらうが、用紙は自分で持参。
正式なフォーマットがあるわけではないので、自分で作成しても可。動物の種類、品種、名前、年齢、飼い主名、動物病院名、
狂犬病予防注射
必ず①のマイクロチップ挿入後に接種する!そして、出発の21日前までに済ませ、獣医に「狂犬病予防接種済証明書」を発行してもらう。(これはその他の書類と違って、たいがいの獣医が所定の用紙を持っているはずですが、個別に確認してください。)
また農水省にも「狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書」を提出しなければならないので、この用紙も持参。
*ちなみに申請書内の「荷送人」というのは、飼い主さんのこと。「荷受人」も飼い主さんのこと。(他の人が受け取りをしない限り。)犬は「輸出」する「荷物」と考えられているからだ。
「健康証明書」(BA=British Airwaysを使う場合)
出国日より10日以内に獣医師に記入してもらう。用紙は持参。条虫駆除を行ってもらう時に同時に発行してもらうといいだろう。
「条虫駆除済証明書」
出国の48時間以内に獣医にて条虫駆除を行ってもらい、証明書を記入してもらう。出発直前で、最高にバタバタしている頃だが、ここまで来ればもうすぐ!!
C5 Form
イギリスの税関に提出する書類。あなたにとって大事な家族の一員のワンちゃんも、ここでは「イギリスに輸出する荷物」として取り扱われる。そのため、税関を通さなければならない。
その際に必要な書類が”Bringing your pet to the United Kingdom from outside the European Community“(C5 Form)というもの。簡単に言うと、「この犬はイギリスで売ろうとしている商品ではなく、私の持ち物です!」ということを証明する書類だ。
Urgent Request Form
ワクチン自体の消費期限が記載されていない場合にトラブルとなるので必ず提出を求められる。言ってみれば、「最後のダメ押し」的書類。ここまでくるともういい加減にして~っ!と叫びたくなるほどの重複ぶり!
霧立は何度ももたげてくるイライラの溜飲を下げて、「お代官様、どうかみかんを貴国に入国させて下さいませー!」と平身低頭お願いする気持ちで同じことを何度も記入。用紙は契約した代理店が用意してくれるはず。
(代理店については「犬と一緒にイギリスに引っ越す【その① 輸送手段とその費用】」を参考に。)
はぁ…。
いかがでしょうか?結構大変そうだと思いませんか?そうでしょう、そうでしょう。でも、本当に大変なのはこれからなのだ…!!
Annex Ⅱ
まず、用紙は代理店が手配してくれるので自分で探す必要はない。そしてAnnex Ⅱは言ってみれば、マイクロチップ装着や全ての処置の証明書。「だったら、Annex Ⅱだけでいいじゃん!」と思うかもしれない。
ところが、国が違ってもお役所仕事というのは万国共通なのか、重複する書類をいくつもいくつも求められるのだ。しかし、こればかりは文句を言っていても、どうにもならないので、とにかく書くしかない!
さらに悪いことに、このAnnex Ⅱは、ひどい悪夢のような書類で全く意味不明な欄ばかりなのである…。ネットの情報が氾濫しているご時世なのに、検索してもどこにも記入の参考になるようなサイトはない。
「犬と一緒の海外引っ越し」というカオスにやられた後、新天地で生活を始めた多くの人は詳細事項をアップデートする時間も気力も失っているのか、それとも血のにじむような苦労を思い出したくもない、というのがおそらくの理由だろう。
しかし、書類に不備があってはみかんが無事に渡英出来ないかもしれない!誰に聞けばいいのかも分からず、私はこの頃、毎日かなりのストレスにさらされていた。
余談だが、マナブ(夫)は人間のビザ申請担当で、私がみかん(犬)担当だったのだが、どうみても人間のビザのほうが10倍簡単な手続きだった!ビザ申請についてはウェブ上にたーくさん情報あるのだ!
閑話休題。
では、にっくきAnnex Ⅱの記入法を公開!!(難しそうな欄だけ書き出してみた。)
【Annex Ⅱの記入方法】
- “Consignor”(荷送人)=飼い主の名前
- “Consignee”(荷受人)=飼い主の名前
- “Certificate reference No”=代理店の担当の人が把握しているはずなので、問い合わせる。
- “Description of commodity”(荷物内容)=”Live dog” (「生きている犬」!)
- “Quantity”(数)=一頭なら”One Head”。
- “Identification of the commodities” (荷物内容)なので”Species”(種類)の欄に”Dog”と記入。
- “Identification System” (認識する方法)=”Microchip”と記入。
- 狂犬病予防注射の欄の、”Validity”というのは打った注射が犬の体内で効力を持っている期間のこと。たいがい1年の有効期間を持っている注射が多いので、接種した日を”From”の欄に、その日から1年後を”To”の欄に記入(必ず獣医師に確認してください)。
- “Batch number”=獣医さんに聞く。使用したロットの「使用期限」(Lot Expiry)も記入してもらう。
- 条虫駆除欄は薬品メーカーの名前が必要になるので、獣医に頼む。それから獣医師のサイン欄には、サインと同時にその動物病院のスタンプも押してもらう。
後で分かったことだが、Annex Ⅱは書き方が分からない欄が多くあるが、代理店の担当者が思いのほか事情に詳しかったので、「分からない時は担当者に聞く!」が一番の近道だった!
お分かりのように、これらの書類はかなり記載事項が重複しているので、全てを獣医さんにお願いするのは難しいかもしれません。分かる項目はどんどん自分で、書こう!
さて、ここまでが【検疫と書類の準備】について。
記入法が分からなくて四苦八苦するのはここまで!ひとまずはお疲れさまです!
次は、【その③ 適切なケージ・クレートの選び方】について書きたいと思う。
初めまして、犬の輸送の件について参考にさせて頂いてます。
さて、我が家の犬は日本の実家に預けたままになっていて離脱前にイギリスに連れてくる予定です。しかし、業者に頼むの恐ろしいほど高いので、我が家はフランスまで飛行機で連れてきて、EU ぺットパスポートを取得し、陸送で入国しようかと考えています。うちの子も、細身の中型犬なのに、背が高い。ケージだけ見れば完全に大型犬ようです。
ANNEX IIの書類が必要とは、、これはイギリスに入庫に限りでしょうか?
フランまでなら、書類は3種類ほど。
うちは、念の為マイクロチップ、狂犬病ワクチンは済ませてあります。あとは書類のみです。何か気をつけなければならないことがあれば教えてください。
本当にイギリスは何もかもめんどくさいですね。
KAZUYOさま
コメント、ありがとうございます。
犬の渡英は本当に神経すり減りますよね…。分からないことだらけで!!
しかも今はBrexitで何もかも流動的で、頭を抱えておられることでしょう。
私たちがフランスにみかんと行って帰ってきた時は、フランスで条虫駆除の処置をしてもらってペットパスポートにサインをしてもらっただけです。
ユーロトンネルを渡る前のコントロールゾーンで、パスポート見せて無事にUKに帰ってこられました。
条虫駆除は渡英24時間から120時間前までの間に済ませておきます。
ただ、KAZUYOさんのうちのワンちゃんの場合、そもそもは日本からの出国となるので同じ扱いになるのかちょっと私には分かりません。ごめんなさい。
ちょっと調べたのですが、あまり詳しいリソースにはたどり着けませんでした。一応、こちらに少し書いてありますね。
https://www.gov.uk/take-pet-abroad/pet-passport?step-by-step-nav=9c8e6e6d-29f7-41d3-bc31-efcf20ee0d69
フランス経由だとAnnex2は要らないような気がしますが、間違いがあってはいけないので、直接問い合わせするのが、一番だと思います。
Pet Travel Scheme helpline
pettravel@apha.gsi.gov.uk
Telephone: 0370 241 1710
Monday to Friday, 8.30am to 5pm (closed on bank holidays)
フランスまでなら書類は3種類でいいんですね。それは全然違いますね!
フランスからは車で移動ですよね?その場合は、ケージの大きさなどは問われないと思います。
旅行の時、うちはケージにも入れていなかったので。
3月29日をまたぐと、もっと大変になりそうなので、早くイギリスに入れるといいですね。
霧立灯