
新型コロナウィルスで、学校は軒並み休校。
前代未聞のこの事態、もはや夏休みより長い休みに突入したわけだ。
しかし、勘違いしてはいけないのは、コロナ休校は夏休みと違って「休み」ではないということ。休校中も子どもたちは学習を続けることが前提となっている。
ところが、ほとんどの日本の学校ではオンライン授業の体制が整っておらず、子どもたちの「学力」は3月からストップしたまま…。かたや、これまでも日常的にオンライン学習を取り入れてきた諸外国では、オンラインで授業を続けている。
今日は、イギリスの小学校を例に、オンラインがどのように学習や子供たちの交流を支えているかを書いていきたい。
Microsoft Teamsを使ってのオンライン授業
コロナウィルスで急激に利用者が増えたのが Zoon(ズーム)。しかし、セキュリティー面が脆弱だということで、ニューヨーク市の教育委員会は、Zoomのオンライン教育を禁止し、Microsoft Teamsに切り替えた (Geek Wire)。
霧立家の息子、ユウがつい最近まで通っていたエディンバラの小学校でも、このMicrosoft Teamsが使われている。Microsoft 365のパッケージの一つなので、オフィス(ワードやエクセル、パワーポイント)をそのまま使って学習できるという利点がある。
Microsoft Teamsでどうやって学習するの?
マイクロソフトチームズでは、次のようなことが出来る。
・教師が課題を出す。
・分からないところは、教師や他のクラスメートにオンラインで質問出来る。
・教師は動画やパワーポイントを使って説明できる。これは録画でもライブでも両方可能。
・オンラインでディスカッションも出来る。
・生徒は、クラスのフィードに自分の取り組んだ課題を写真にとってアップしてシェア出来る。
・自分のアカウントからは、提出した課題の評価もチェックできる。


課題に取り組む時、ときどき保護者の手助けも必要になるが、Microsoft Teamsの操作方法じたいは子どもは教えられずともすぐに習得できた。
学校に行かなくても友達とつながれる

また、Microsoft Teamsを使って友達にメッセージを送ったり、ビデオチャットをすることが出来る。我が家のユウが使っているのは、もっぱらこの機能…。特にまだ日本の学校で友達が出来ていないので、海を隔ててもイギリスの学校の友達とつながれるのは本当にありがたい。
メッセージのやり取りに関しては、クラスで公開されているので、担任や校長も内容を把握している。実名なので、SNSにありがちな陰湿なイジメの心配もない。オンラインチャットに関しては、事前に教師が「オンラインマナー」を教えていた。
オンライン授業のメリット
学習を進められる
オンライン授業のメリットは、なんといっても学校に行かなくても新しいことが学べるということだ。
日本の学校では、休校中はたまに登校して課題プリントをもらってくるが、ほとんどは「復習プリント」。それもそのはず。授業で教えていないことを課題として出せないからだ。新しい学習は漢字くらいが関の山。
孤独でない
また、「復習プリント」を一人コツコツやるのと違って、オンライン学習は孤独でない。分からないことはすぐに誰かに聞けるし、顔を見ながら意見交換も可能なのだ。
オンライン授業のデメリット

コロナ休校がこうも続くと、家族はみんな疲弊してくる。そんな中、誘惑となるのが子供をオンライン漬けにしていまうことだ。
「別にオンラインゲームをやっているわけではない」「Microsoft Teamsだから…」と時間を区切らずにやらせておくと、子どもは何時間でもチャットや通話で遊んでいる。(学習で何時間もオンラインになっている子どもはまずいない。)
中には朝の5時からチャットをやっている子どももいた。イギリスでは小さな頃から自分専用のiPadやタブレットを持っていることが珍しくないので、もしかしたら自室に持ち込んでMicrosoft Teamsにログインしているのかもしれない。
子どもがオンライン学習をする場合、次のようなことに気を付けた方がいいだろう。
・時間を決めてログインさせる。
・子ども部屋ではなく、リビングなど保護者の目の届くところでやらせる。
・勉強と関係のないチャットや通話は、課題が終わってからにする。
私も、イギリスで子育てをしていた時は正直オンライン学習に否定的だった。「小学校1年生からタブレットで勉強させる必要などない」と思っていた。今でも、学習は基本的に紙やノートの上でやるのがいいと思っている。
しかし、今回休校中のイギリスの学校の対応を見ていると、これまで平常時でもオンライン学習を授業に取り入れていたおかげで、何の混乱もなくオンラインで学習を進めている。これまでオンライン学習が全体の学習の20%だとしたら、今回それが100%になっただけのことだ。
教師も、子どもたちもオンライン授業に慣れている。
日本では、オンライン環境の整っていない学校、家庭もまだまだ多いという。特に日本の学校現場は超保守的で、なかなか変わらない。
オンライン学習に対する賛否両論はあるにしても、これからはオンライン学習スキルは絶対必要になってくる。テクノロジーは、諸刃の剣。マスク着用やマスクの色に(!)目を光らせるより、テクノロジーのよいところを取り入れる知恵と柔軟さが、今の日本の教育には早急に必要だ。