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イギリスの小学校教育が「チープ」になっている理由

子育て&教育· 文化の交差点

28 11月
Last updated on 2018/12/21

ジャンクスイーツのようなイギリスのチープな教育

コンテンツ

  • イギリスの小学校教育が「チープ」になっている理由
    • 子どもに合わせすぎる教育
    • モンテッソーリ教育との違い
    • まとめ

イギリスの小学校教育が「チープ」になっている理由

「欧米の学校教育は、日本の一斉式授業と比べて個性を尊重し、考える力を養う」と評価されることが多い。確かに、日本の学校より校則も少なく、自由だと思う。

私はイギリスの小学校事情しか詳しくは知らないが、イギリスに関して言えば実情はそこまで褒められたものではない。というか、正直な話、疑問を感じることも多い。

イギリスの学校教育は、日本ととにかく正反対。日本の教育がいいと言っているわけでは決してないのだが、簡単に言ってしまうと、イギリスの小学校教育は子どもに調子を合わせすぎて、教育の質が低下している感が否めない。

今日は、イギリスの小学校教育を通して、教育の本質について考えてみたい。

子どもに合わせすぎる教育

最近のイギリス社会は、もっぱら”Child-centered society”(「子ども中心の社会」)になったと言われている。親も社会も子どもに優しく、子どもは優遇される。それ自体は悪いことではないのだが、ちやほやし過ぎ、子どもに合わせ過ぎていないか?と思うことがある。

モンテッソーリアンを自称している霧立がこんなことを言うのはおかしいのでは?と思う人もいるかもしれない。しかし、モンテッソーリの「子どもに寄り添う教育」と、現代の「子どもに合わせる教育」は、全く似て非なるものである。

ゲームで勉強

子どもにとって刺激の強いスクリーン

ユウ(8歳)は、地元の公立小学校に通っている。そこでは、算数の時間に1週間に1度“Sumdog”というゲームアプリを使って学ばせている。一人1台タブレットが渡され、それぞれ問題に取り組む。

アプリを開始すると、まず現れるのはゲームの画面だ。算数とは全く関係のないゲームを1、2分する。そうすると、画面の上1/4ほどの部分に算数の問題が現れる。それを解くと、ゲームはまたフルスクリーンに戻る。(答えは合っていても間違っていても関係ない。)

ゲームを1,2分する→問題を数問解く→ゲームをする…この繰り返しで、算数とゲームの両方で得点を稼いでいき、他の「学習者」と競わせるという仕組みだ。

しかし、「347-89=?」という問題が画面に出ても、普通は暗算で瞬時にこの答えを出すのは難しい。しかも、同じ画面でゲームが続行されているめに、相当気が散る(ゲームの効果音も出ている)。ユウは紙の上でなら簡単に出来る計算も、このゲームになると慌ててしまい、途端に正解率が下がる。

学校は「子どもが宿題をしている時は、集中出来るように、テレビやラジオを切ってください」と親に言う。もっともなことだ。しかし、だったらこの”Sumdog”は一体何なのだ?!

難しい問題はじっくり考える忍耐が必要だが、解けた時の喜びがある。それが算数の醍醐味ではないだろうか?それを”Sumdog”は、ゲームや人と得点を競わせるという安っぽい楽しみにすり替えてしまっているのだ。

だいたい、”Sumdog”のようなゲームアプリでは、算数の問題をじっくり考えることは出来ない。子どもたちはさっさとゲームに戻りたいので、問題をじっくり考えるようなことはせずに、適当に選択肢から答えを選ぶ。

霧立は、先日ユウが宿題として”Sumdog”をやっているのを見た時に、嫌な気持ちを通り越していまいましい気持ちになった。そして昨日は担任と二者面談だったので、このことを伝えた。そうしたら、ユウは宿題で”Sumdog”をやらなくてもいいということになったので、少しほっとしている。しかし、他の子どもたちのことを考えると、やはりやるせない気持ちになる…。

ロックでポップな音楽の授業

最近、ユウが家でさかんにノリノリで歌っている曲がある。Katy Perryの”Roar”(「動物のうなり声」を意味する)という曲だ。

音楽の授業で習ってきたということで、霧立も聴いてみた。コレがソレ。

もう一度言っておくが、ユウは8歳、日本で言えば小学2年生。高学年やローティーンの子どもたちならまだしも、小学校低学年の音楽の授業にKaty Perryを使うというのが、霧立にはよく分からない。

また、ポップスだけではなく、なんと、ハードロックも習ってくるのだ!日本では「うーさぎおーいし、かのやまぁ~♪」と歌っているのを考えると、そのギャップに頭がクラクラする。

ほとんどの子どもが「ウサギ追いし」を「ウサギ美味し」と勘違いしてしまうほど古い歌を歌わせる日本の小学校教育にもビックリするが、イギリスの音楽教育も子どもに合わせすぎ!と思ってしまう。本当に日本とイギリスは両極端もいいとこなのだ!

ポップスやロックは、放っておいても子どもはいつか勝手に聞き出す。どうしてわざわざ小さな子どもに学校の音楽の授業で教える必要があるのか?

音楽は色々なジャンルがある。でも、音楽の授業ではもう少し質の高い音楽を扱って欲しいと思ってしまう。別にクラシック音楽だけが素晴らしいとは思わないが、親がクラシックを聞かない場合、音楽の授業で扱わなければ子どもたちは一生きっとクラシック音楽に触れずに終わってしまうかもしれない。

モンテッソーリ教育との違い

「子どもの目線に立って考える」という点では、現代のイギリスの小学校の教育とモンテッソーリ教育は一見同じに思える。しかし、両者は根本的に全く違う。

上質な本物を

モンテッソーリ教育では、子どもを尊敬(Respect)するからこそ本物を、良いものを与える。例えば、モンテッソーリ幼稚園や学校で子どもたちが食べる食材は、出来る限りオーガニックで糖分の少ないものだ。また、どんなに小さな子どもにも、プラスチックではなく陶器やガラスの食器を使わせる。そのことを通して慎重に物を扱うことを教えるのだ。

モンテッソーリでは本物の陶器のお皿でオーガニックフルーツを食べる

ユウが通っていたモンテッソーリの幼稚園・小学校にはヴァイオリニストの先生やダンスの先生がいて、子どもの親しみやすさに配慮した上で、上質な芸術体験の機会を与えてくれた。

学び本来の中にある喜び

モンテッソーリ教育では「学習=最高に好奇心を刺激するもの」と考えるため、学習にゲームなどの外的刺激を必要としない。子どもは本来、学びそのものの中に喜びを見出すと考えているからだ。

実際、小さな子どもは驚くほど知的好奇心に満ちている。モンテッソーリ幼稚園に通う子供たちは5歳までに、公立小学校の3年生までに学習することを、自然な形でほとんど学び終えている。

これは、嘘ではない。大人は「子どもにはまだ難しい」と考えがちなことも、好奇心に満ちた小さな子どもたちは夢中になって取り組む。モンテッソーリは、子どもの可能性を見抜いていたのだ。

一方、公立小学校などでは「学習=つまらないもの」と考えている。残念なことだ。だからご褒美やゲームで子どもを「釣る」必要が出てくるのだ。また、「子どもには上質なものは分からない」と考えているから、砂糖たっぷりでアドレナリンが過剰分泌されるジャンクフードのような音楽を聞かせる。

一見子どもに優しい(“Child-centered”)イギリス社会は、子どもをモンテッソーリのような仕方で「尊敬」しているのではなく、むしろ子どもの真の能力を「過小評価している」と言えるのではないだろうか?

まとめ

なかなか理想の教育というものはないものだ。だからこそ、いつの時代も教育方法は試行錯誤が続いている。その結果、教育方法は数十年のスパンでかなり様変わりする。

現代のイギリス社会がここまで「子ども中心主義」なのも、かつて子どもを奴隷のように労働させ、学校や家庭では鞭を振るい問答無用の服従を強いていたことの反動だと思う。

日本でも、詰め込み教育の反省にたって90年代以降「ゆとり教育」が取り入れられたものの、またその見直しが迫られた。まったく振り子のようなものである。

だからこそ、流行に振り回されるべきではない。色々な教育方法に目移りするのではなく、子どもをよく知ることだ。教育のカギは子ども自身の中にあるのだから。

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