私が10年間も石鹸を手作りしている3つの理由
私が石鹸を手作りし出してから、かれこれ10年。
石鹸作りを始めたきっかけは、多忙な東京の生活を離れたことだった。自然豊かで、夏でも涼しい高原に引っ越した。とても美しい場所だった。
都会生活にはない、自然と向き合う「暮らし」がそこにはあった。花屋さんに行かなくても、散歩のついでに野の花を手折って活けるようになった。自分でハーブを育てて料理に取り入れるようになった。
高価なファンデーションを買うより、健康な肌を目指すようになった。石鹸づくりへの関心は、そんなところから始まった。
今日は、手作り石鹸の魅力と、その作り方について書いていきたい。
1. 肌がモチモチになる
市販の洗顔フォームで洗顔していた時は、洗顔後すぐに保湿をしないとつぱった感じになってしまった。しかし、手作り石鹸で洗顔している今では、お風呂上りもゆっくり着替えてから保湿するので全くつっぱった感じがない。
ついでに言うと、化粧水すら使っていない!使っているのは、これ一本。
2. 枝毛ゼロの髪へ
これは【これで枝毛にさようなら!】「市販のシャンプーをはるかに凌ぐ手作り石鹸」にも書いたが、本当に髪質が変わった。それまでは、枝毛だらけだった。枝毛を探すのが癖になってしまうほど。(あの「枝毛探し」は、なんだかみっともない姿だったと振り返る。)
それが手作り石鹸を使い出してから、ロングでパーマをかけていたのに枝毛が全くなくなった。美容師さんにはいつも驚かれた。
枝毛がなくなっただけでなく、髪の毛にこしが出て、切れ毛も減った。昔は抜けた毛を両手で左右に引っ張るとすぐに「プツッ」と切れたが、今は強く引っ張っても全然切れない!「ピョンピョン」という音がするだけで、本当に切れない!
かと言って「剛毛」なわけでは全然ない。霧立の髪の毛は小さい頃から細くてサラサラしていた。さすがにアラフォーになった今は「天使の輪」はないが、今でも柔らかい。
3. 自然のセラピー
霧立が石鹸を手作りする最後の理由は、なるべく自然の近くにいたいからというもの。「オイル」と一口に言っても、自分の肌に合うオイルは人それぞれ。
どんな植物からとれるオイルが自分には合っているのかを知るのは、植物や自分の体を知ること。霧立の肌はアーモンドオイルと相性がいいから、アーモンドには親しみを感じる。
それに、市販のシャンプーや洗顔フォームは合成界面活性剤で汚れを落とす。合成界面活性剤は、皮膚が持っている油分まで奪ってしまうほど強力だ。
しかし、霧立の作る石鹸は、天然のオイルだけの力で汚れを落とす。だからとてもマイルド。苛性ソーダは石鹸を作るには欠かせないが、これは石鹸を熟成させる自然乾燥の時点でなくなるので心配無用だ。
自分で作った贅沢な天然オイルだけの石鹸を使って髪を洗ったり、洗顔するのは、それだけでセラピー効果がある。
また、石鹸を作るプロセス自体も生活のペースをスローダウンさせて、「暮らし」そのものに目を向けさせる効果がある。何しろ1か月もかかるから、石鹸のペースに合わせてゆっくり待ってやらねばならない。
石鹸を熟成させている時、部屋の中はアロマオイルの素晴らしい香りで満たされる。霧立の場合、ベッドルームで熟成させているので、特に作り立ての時はアロマの香りに包まれて眠れるという至福の贅沢もついてくる!
さて、それでは後半は「最高に贅沢な石けん」のレシピを紹介したい。これは、前田京子さんの『オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る』を参考にしている。
手づくり石けんは、保湿力が高い分、柔らかく溶け崩れしやすい。最後までしっかり石けんを使うためのコツは、「手作り石けんの溶け崩れに効果的だったのは、意外なものだった!」を参考に。
- 瓶の蓋部分に、錐などで穴を2つあける。シンクに水の入ったボールを用意する。水の高さは、用意した瓶の高さの7分目くらい。
- ゴム手袋をして瓶の中に苛性ソーダを慎重に入れ、水を静かに注ぎ入れる。ステンレスのスプーンなどで、素早く苛性ソーダを完全に溶かす。苛性ソーダは水と反応すると、高温になる。瓶の蓋はまだしない。 *ガスが発生するので、換気をする。
- 2の瓶を、1で用意した水の中にそっと置く。水が瓶の中に入らないように!高温になった苛性ソーダ水を38~40℃になるまで水の中で冷ますのが目的。
- オイル類は計量して、一つのボールに入れる。パームオイルとココナッツオイルは、低温では固まっている場合があるので、まずこの2種類のオイルを湯煎にかけて先に溶かすと作業しやすい。全てのオイルをボールに入れてかき混ぜ、湯煎にかけて38~40℃になるように調節する。40℃を超えると、オイルの中のビタミンが破壊されるので、注意!またオイルは加熱が遅いので、35℃になったら火を止めて様子をみる。(40℃になった時点で火を止めても、オイルの温度は上昇し続けてしまうため。)
- 苛性ソーダ水とオイルが38~40℃になったら、苛性ソーダ水の瓶にしっかり蓋をする。オイルを泡だて器でかき混ぜながら、苛性ソーダをボールの中に入れる。穴が2つ開いているはずなので、1つの穴から少しずつ注ぎ入れる。この時、ホイップクリームを泡立てるように勢いよくかき混ぜてはダメ!苛性ソーダはまだまだ危険な物質なので、飛び散らないように静かに慎重にかき混ぜる!ハンドミキサーはタネが飛び散るので、絶対に使わないように。
- 最低20分はかき混ぜる。これは結構大変なのだが、ここで一生懸命かき混ぜないと、ムラのないきれいな石けんに仕上がらない。オイルの中の脂肪酸と苛性ソーダは、かき混ぜることで結びついていく。これが「鹸化」。
- 泡だて器を入れたまま、ボールにラップをかけてしばらく放置。泡だて器を持ち上げた時にタネが「リボン状の硬さ」になるまで待つ。水分と油分が分離していたら、その都度ただかき混ぜればOK。「リボン状の硬さ」になるまでに大体一晩はかかる(12時間前後)。
- 待っている間に、型を作る。牛乳パックを二つ組み合わせて作るのが一般的。お菓子の入っていたしっかりした紙箱でもよい。霧立はタネを取り出すときにラクしたいので、お菓子の空き箱に、ベーキングシートをきれいに敷き詰めて型にしている。
- さて、タネが「リボン状の硬さ」になったら、お好みでエッセンシャルオイルを入れ(約120~150滴)、用意した方に流し込む。温かいところで1日ほど寝かせる。段ボールや、発泡スチロールの箱に入れて、ブランケットなどを掛けておくとよい。
- 2,3日経って型をひっぱったときに石鹸がきれいに離れるくらい固まったら(写真参照)、タネを型からだして切り分ける。牛乳パックの場合、四隅をカッターで切るとよい。霧立のようなお菓子箱の場合、ベーキングシートごと取り出せるので、簡単!石鹸にはまだ苛性ソーダが残っているので、ゴム手袋か軍手 をして作業。
- 包丁で切り分け、風通しのよい直射日光の当たらないところに約4週間置いて熟成させる。
- 出来上がった石鹸は、一つずつベーキングシートや紙にくるんで乾燥した場所に保管。天然のグリセリンをたっぷり含んだこの石鹸は、水分を寄せ付けてしまうので、乾燥材を入れて冷暗所に保存するのがベスト。
【アロマオイルについて】
柑橘系のアロマオイル(レモン、オレンジ、レモングラスなど)は、香りが飛ぶのが早いです(トップノート)。
ラベンダー、ローズ、ゼラニウムなどのミドルノート、あるいはローズウッド、イランイラン、ジャスミンなどのベースノートと組み合わせて使うのがいいでしょう。
またエッセンシャルオイルは、単体で使うより複数混ぜたほうが香りに奥行きが出ますし、効能も広がります。
アロマオイルの種類や効能はこちらを参考に。
【道具について】
必要な道具はこちらでも買えますので、どうぞ参考に。温度計は、苛性ソーダ水につけるので、ガラス製がおススメです。ボールも、ステンレスかガラスのものをお使い下さい。
私が使っているのはこちらです。メモリも読みやすく、シンプルな作りなので洗いやすく、付属のケースもあるので安全に取り扱い出来ますよ。
はじめまして
わたしも手作り石鹸をつくっています
きれいにできたと思っても
使い始めると、すぐにとけはじめ
今回はあまりにどろどろになってしまったので
水を足し、液体石鹸として
ポンプに入れて使っています
溶けないようにつくるこつはありますか?
教えてくださると嬉しいです
お願いします
鈴木奈美子さん
メッセージありがとうございます。
鈴木さんも石けん、手作りしているんですね!
溶けやすいとのこと。
どんなレシピで作っていますか?
前田京子さんのレシピを参考に作っているこのブログ記事の「最高に贅沢な石けん」ですが、私は慣れてしまっているのか(?)、そこまで使いずらさを感じていません。
私が気を付けていることは、次のようなことです。
・熟成期間を経て、すぐ使い始めると溶けやすいので、かなり置いてから使っています(精油の香りはその分残りにくい欠点はあります)。
・水をしっかり切る。私は海で拾ってきたすべすべの石の上に置いています。石って種類によってはすぐに乾燥するんですよね。
本当にこんな簡単なことくらいなんで、参考になるか分からないのですが。
あとは、パーム油は石けんを固める作用があるので、パーム油を増やすのも一つの方法だと思います。
あと、オリーブ石けんは溶けやすいですね~。
溶けやすいというのは、それだけ保湿力があるということなので一長一短です。
どこかで自分の肌質に合った、ギリギリの妥協点を探っていくのも、また奥深いですね。
私も、色々試してみます。
何か発見があったらまたブログにアップしますね!
霧立灯
ありがとうございました
私は100%オリーブ油で作っています
たしかに保湿力のよさは実感しています
熟成期間は3ヵ月以上はおいています。
しかし溶けやすいです
パーム油が固める作用があるのですね
今度パーム油をつかってみます
石の上に置くというのも興味深いです
ぜひ真似したいとおもいます
鈴木さん
鈴木さんの質問のおかけで、石と水分について調べたら興味深いことが分かり、記事にまとめることが出来ました!
よろしかったらぜひご覧ください。
参考になりましたら嬉しいです。
霧立灯
石と水分について、読みました‼️
なんと都合の良いことに我が家は海のそばです。明日早速海に散歩にいってさがしてみます。
明日が来るのが楽しみです
ありがとうございます
鈴木さんへ
こちらこそ、鈴木さんのおかげで石のことを勉強できました!
どうもありがとうございます。
ご自宅が海のすぐそばなんて、素敵ですね。
よい石が見つかりますように。
そして、石けんの溶け崩れが少しでも改善することを願っています。
霧立灯