霧立は、うるさいのがとにかく苦手。そんな私にとって日本の都会は騒音地獄だっだ。
駅の構内アナウンス、お店から大音量で流れてくる音楽、店頭での必死の呼び込みを浴びて帰ってくると、もうぐったりだった。クリスマスの時にうるさいのは、なおさら嫌だ。
幸い、イギリスのクリスマスは静かだ。エディンバラの街中でさえ、聞こえてくるのは人々のやさしいざわめきとバグパイプの音くらい。
今日は、イギリスで霧立灯が実践している、静かなクリスマスを過ごすヒントを書いてみたい。
静かなクリスマスを過ごす7つのヒント
「静けさ」の意味
静かというのは、まったく音がしないという意味ではない。「静けさ」というのはむしろ心の状態だと思う。
クリスマスは、人と過ごしたり街に出かける機会も増える。しかし、心が多くのことにとらわれずに落ち着いていたら、それだけでかなり静けさが保てる。
1. 大切な人たちと過ごす
ある種のパーティーが騒がしくなるのはなぜか?それは、盛り上がりを必要とするパーティーだからだ。
盛り上がらないと楽しくない、お酒の力を借りて酔っぱらわないとリラックス出来ないのは、ある意味無理しているのではないだろうか?
もちろん、そうやって人間関係を深めていくというやり方もある。でも、クリスマスを静かに過ごしたいなら、大切な人たちと過ごすに限る。
なぜなら、そこにカラ騒ぎは必要ないからだ。高らかな笑い声があったり、子どもが騒いでも、そこには自然体のおだやかな穏やかな時間があるはずだ。
2. 森を家の中に連れてくる
森の中を歩いていて心が静まる経験をした人は多いと思う。森林の香りや緑の色、鳥のさえずりなどは実際にリラックス効果があるらしい。
霧立家は毎年クリスマスに、本物のもみの木を飾る。本物を知ってしまうと、もうプラスチックのクリスマスツリーには戻れない。
本物のクリスマスツリーの一番の魅力は、清涼な森の香り。部屋がまるで森の中のように感じられる。クリスマスツリーのこの香気は、心を静めてくれる。
また、太陽の光にもみの木の葉が輝く美しさも本物ならでは。本物の木の美しさ見とれている時間は、とても静かな時間だ。

張りのあるフレッシュなもみの木の枝は芳香をゆたかに湛えている。
【クリスマスツリーを長持ちさせるコツ】
- 12月9日より前に飾らない。(←イギリスで聞いたルール)
- それ以前に買った場合は、水を張ったバケツにツリーを入れ、外に出しておく。
- スタンドに固定する前に、3~5センチ根元をカットして水揚げする。
- 暖房に直接当たらないところに設置する。
- お水が少なくなっていたら足す。
3. クリスマス・アロマ
人にもよるのだが、私は精神状態が香りに影響されやすい。だから、アロマには結構気をつかう。
先日友人宅に行ったら、リビングがクリスマスの香りに包まれてそれだけで幸せな気分になった。彼女はとてもセンスのいい人で、クリスマス用に自分でブレンドしたアロマをディフューザーで使っていた。
これまでキャンドル・バーナーでアロマはやっていたが、ディフューザーの方が芳香が強いような気がした。さっそくアマゾンでディフューザーを注文。
デザインも自然で、カーブがやさしいニュアンス。操作も簡単で、1時間~3時間のタイマーもセット出来るので、寝室で使えばアロマの香りに包まれて寝入ることも可能。なんという贅沢。
日本ではまったく同じものは売られていないが、こちらは機能とデザインの点で似ているし、評価もなかなかのようだ。
エッセンシャルオイルの品質はピンキリだが、どうせならオーガニックのちゃんとしたものを使いたいと思った。
Neal’s Yard(ニールズ・ヤード)のマンダリンとクローブを買った。イギリスだと日本の半額だが、それでも高級オイル。でも、し好品だからこそ品質にはこだわりたいと思ってしまう。
マンダリンは、オレンジより甘めの香り。クローブはクリスマスの香りには欠かせないスパイス。
【クリスマスのアロマブレンド】
- マンダリン2滴 × クローブ1滴
- マンダリン1滴×クローブ1滴×シナモン1滴
- マンダリン1滴×クローブ1滴×フラキンセンス1滴
これをディフューザーにかけるだけで、部屋中がクリスマスの香りに。出来るだけ高い位置にディフューザーを置くと効果的。
4. キャンドルを灯す
イギリスの冬の日暮れは早い。
午後3時には日が暮れる。不思議なもので、日が暮れると落ち着く。
「ああ、今日も一日が終わる」という気になる。でも、実際はまだまだ夜ではない。だからゆったり感じられる夜の時間が増えるような気がする。
薄暗い時間帯にキャンドルを灯すのが好きだ。薪ストーブの炎もそうだが、昔から人間は炎を見ると落ち着くようだ。
キャンドルを楽しむためには天井の照明ではなく、間接照明をつけるようにする。暗いところとほんのりと明るいところの濃淡があるほうが、落ち着くのだ。
5. クリスマスキャロルを聴く
静けさというのは、音が全くないことではない。むしろ、小さな音で音楽を流すと静けさが引き立つように感じられることがある。
ポイントは、ボリュームを絞るということだ。ボリュームを絞ることで、音楽を聴こうとして静かにするという効果が生まれるのだ。
イギリスでは伝統的に、ケンブリッジ大学キングズカレッジの聖歌隊のキャロルが有名だ。(イギリスだけでなく、このキャロルサービスは毎年世界中で放映されている。)
キャロルだけのCDも出ている。我が家ではこのCDを聴くと、「ああ、クリスマスの季節だ…」という気分になる。
また、ケンブリッジのキャロルサービスでなくても教会ならこの時期はどこでもクリスマス礼拝なるものがある。大勢の人とみんなでクリスマスキャロルを歌う経験もまた素晴らしいものだ。
霧立も毎年、教会のキャロルサービスでヴァイオリンを弾いている。
6. クリスマスカードを書く
メールやSNSでいつでも連絡が取れる現代では、誰かに手紙を書くという機会が一気に減った。でも、大事な人のことを思いながらクリスマスカードを書くのは、静かな豊かな時間。
霧立は、今年は思い立って昔のヴァイオリンの先生にカードを書いた。元気だったら80歳以上なはず。自分の人生に絶大な影響を与えてくれた先生に、どうしても感謝の言葉を伝えたかった。
7. クリスマスの本や映画
クリスマスの本を読んだり、映画を見るのもおススメ。イギリスではチャールズ・ディケンズの『クリスマスキャロル』がやはりクラシックだ。
我が家では、数年前からクリスマスの時期になると“The Polar Express”の絵本と映画を子どもと見るようになった。
サンタクロースの神秘が、甘く切なく描かれている。「ドタバタコメディー」でないのが好感が持てる。挿絵も落ち着いていて美しい。
日本でもアマゾンで手に入る。
まとめ
「クリスマスを静かに過ごす」というのは、何も禁欲的に過ごすことではない。むしろ、視覚、味覚、嗅覚、聴覚全てを使って、クリスマスを多面的に心から味わうことだ。
そのためには、スケジュールを詰め込みすぎないでスローダウンすることは大事だろう。しかし、日本では年末まで仕事があり忘年会も立て込む時期なので、なかなかそれも難しい。
そのような場合でも、アロマ、キャンドル、クリスマスキャロル、カードを書くなど小さなことを一つでも生活に取り入れるだけも違うはずだ。
大都会では、放っておいたら静かなクリスマスは過ごせない。それだけ「静かな時間」はこの時代では「贅沢品」となってしまった。
でも、願う心さえあれば、誰にでもこの小さな贅沢は味わえると霧立は思う。生き方は、日々の小さな選択の積み重ねだ。