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プロはストラディバリウスより、新しいヴァイオリンを選んだ!?

ヴァイオリン

26 11月

プロは新しいヴァイオリンを選んだ

コンテンツ

  • プロはストラディバリウスより、新しいヴァイオリンを選んだ!?
    • 驚愕の実験結果
    • 実験の概要
    • 実験の問題点
    • 新作楽器のポテンシャル

プロはストラディバリウスより、新しいヴァイオリンを選んだ!?

ヴァイオリンに馴染みのない人でも「ストラディバリウス」の名前は聞いたことがあるだろう。300年ほど前、イタリアのクレモナでヴァイオリンの黄金時代を築いたヴァイオリン製作者の一人だ。彼とそのファミリーが作った楽器も「ストラディバリウス」と呼ばれている。

ストラディバリウスとそのファミリーのヴァイオリンは、現在数億~数十億円の価格でオークションで取引されている。ストラディバリウスとグァルネリ(クレモナのもう一人の巨匠)の製作したヴァイオリンは世界で最も高い楽器である。

ストラディバリウスの楽器の卓越性を探るべく、そのニスや木材の研究が数多くなされてきたし、後世のヴァイオリン製作家は、ほとんどがストラディバリウスやグァルネリのコピーを使い、レプリカを作ることに心血を注いできた。

また、多くのプロ奏者にって、ストラディバリウスやグァルネリを貸与されることは夢である(高くて個人ではなかなか買えないので、貸与されることが多い)。

しかし、「本当に今でもストラディバリウスが最も優れた楽器なのか?」という肝心な問題はあまり問われてこなかった。

今回は、「レジェンド」にメスを入れた実験の詳細について書いていきたい。

驚愕の実験結果

2014年のことである。ブラインドテストをしたら、「プロのヴァイオリニストはストラディバリウスよりモダンヴァイオリンを選んだ」という衝撃的な実験結果が、世界中を駆け巡った。

この実験結果を鵜呑みにすると、「ストラディバリウス<モダンヴァイオリン」という新しいい概念が独り歩きしてしまいそうなので、この実験の意味するところをもう少し丁寧に見ていきたい。

実験の概要

実験者

Claudia FritzとJoseph Curtinの率いるチーム。(複数の科学者、ヴァイオリン製作者、オールド・イタリアンヴヴァイオリンのソロ奏者、ヴァイオリンディーラーなどを含む。)

被験者

世界的に有名なソリスト10人

使用楽器

15本の新しいヴァイオリン、9本のオールド・イタリアンヴァイオリンが集められた。新しいヴァイオリンは、ヨーロッパと北米で製作されたものであり、数日(!)~20年の古さのもの。オールド・イタリアンヴァイオリン9本のうち、2本はグァルネリ・デル・ジェス(1740年以降の作品)、6本はストラディバリウス、残りの1本は18世紀の有名な製作者のもの。

この24本のヴァイオリンから、非公式のブランドテストによって選ばれた12本は次の通り。

  • 6本のオールド・イタリアンヴァイオリン(そのうち5本はストラディバリウス)
  • 6本の新しいヴァイオリン

実験では、この12本が使用された。

実験方法

75分ずつのセッション2つ。(ちょっと細かいので、興味のない人は読み飛ばしてください。)

【第一セッション】

パリ郊外に住む、プロの弦楽奏者宅のリハーサルルーム。12本の楽器はランダムにテーブルの上に並べられている。

(その1)

  • 初めの50分で、12本のうちから4本を選ぶ。
  • その4本を、気に入った順に並べる。

*実験中、被験者は自分の楽器を弾いて比べることが許されている。

(その2)

最後の12分、被験者は3本のヴァイオリンを提示される。

  1. 被験者自身のヴァイオリン
  2. 一番気に入ったヴァイオリン
  3. 一番気に入ったヴァイオリンとは反対の(オールドor新しい)グループの中で最も気に入ったヴァイオリン。(初めに選んだ4本が全て同じグループの楽器だった場合、最も気に入ったものと次に気に入ったもの。)

被験者は、3本の楽器をそれぞれ30秒ずつ弾いて、次の項目ごとに1~10段階の評価をする。

  • 耳元での音量
  • 予想されるプロジェクション(響き)
  • 楽器の性能(playability)
  • 音色のクオリティー
  • 反応、クラリティー(音の立ち上がり)
  • 全体的な好みとクオリティー

【第二セッション】

場所は300人収容可能な小ホール(パリ)。

被験者は、第一セッションで選んだ4本のヴァイオリン(順不同)と、それ以外の全てのヴァイオリンを再び提示される。

被験者は45分の中で、次の3つのオプションから一つ選ぶ。

  1. 自分で弾いて、他の人にフィードバックをもらう。
  2. 他の人に弾いてもらって、自分は聞く。
  3. ピアノの伴奏と一緒に自分が弾く。

最後に、30秒ずつ全てのヴァイオリンを弾き、その楽器が「新しい」か「古い」かを判断する。

全ての実験中、ソリストは、自分がいつも使っている弓と肩当てを使用する。またソリストたちは特殊なゴーグルをされているので、どれがオールドヴァイオリンでどれが新しいヴァイオリンかは分からないようになっている。

実験結果

  • 「もし、どれか一つのヴァイオリンをもらえるとしたら、どれを選ぶか?」の質問に対して、10人中6人は新しいヴァイオリンを選んだ。
  • 一番人気があったヴァイオリンは、ある1本の新しいヴァイオリンだった。
  • 楽器としての性能、響き、反応に関して、オールドヴァイオリンより新しいヴァイオリンが高得点を集めた。
  • ソリストたちは、オールドヴァイオリンと新しいヴァイオリンを、偶然の確率を上回る有意な確率では見分けられなかった。

総合的に、10人のソリスト達はオールド・イタリアンヴァイオリンよりも新しいヴァイオリンを高く評価した。また、彼らは新しいヴァイオリンとオールドヴァイオリンの区別を音からは判別出来なかった。

実験の問題点

楽器の選定

300年前に作られたオールド・イタリアンヴァイオリンは、健康状態で言えば新作には勝てない。初めに集められた9本のオールド・イタリアンの健康状態はどうだったのだろうか?

これは霧立の憶測に過ぎないが、ストラディバリウスやグァルネリを貸与されている現役のプロのヴァイオリニストが、自分の楽器をこの実験に貸し出すとは思えない。彼らは忙しく世界中を一年中飛び回っているし、大事な楽器をやすやすと人に触らせるとは考えにくい。

とすると、この実験で集められたストラディバリウスやグァルネリは、個人収集家や美術館に所蔵されていたものだったのではないか?と勘ぐってしまう。だとしたら、その楽器の性能、健康状態はもとより、「長期間弾かれていない」というだけで、音が鳴らなくなって当然だ。(ヴァイオリンは長い間弾かれていないと、音の響きが失われる。)

一方、新しい楽器は万全の調整で入ってきているはずだし、一流の製作者によって作られた楽器だから相当の腕前の演奏者によって弾かれてきた楽器と考えてよいだろう。(出来上がって数日のものは、弾きこまれていないが。)

また、新作は15本から6本、つまり半分以下にまでふるいにかけられているが、オールドは9本から6本に絞り込んだだけだ。楽器の選定段階で、新作楽器のほうが有利な条件になっていたのではないだろうか?

オールド・ヴァイオリンの難しさ

ストラディバリウスやグァルネリンなどのオールド・ヴァイオリンは、扱いが難しく、豊かな音色をちゃんと鳴らすまでに長い年月がかかるという。プロの奏者でも、数年かけてようやく楽器の個性をつかみ鳴らせるようになるとよく聞く。

たった2時間ちょっとの試奏で、オールド・ヴァイオリンの真価を知るのは、無理があるのではないか?

新作楽器のポテンシャル

新作ヴァイオリン

以上のような問題点は残るものの、新作楽器のポテンシャルは否定できない。霧立も、ロンドンで新作と旧作を弾き比べたことがあるが、若いだけあってそのパワーはすごかった。予想以上の楽器としての性能に驚いた。

ストラディバリウスやグァルネリは数億~数十億円。一方、新作はどんなに高くても600万円ほど。コストパフォーマンスから考えれば、どちらが優れているかは一目瞭然だ。

しかし、一流の演奏家によって弾きこまれている最高のストラディバリウスが、ベストな新作に劣るとは思わない。また、ありふれた新作がストラディバリウスやグァルネリより優れているとも思わない。

この実験で分かったことは、あくまで新作の一般的なポテンシャルであり、当たり前だがストラディバリウスはもはや新作にかなわない、ということではない。

霧立のブログを読みに来てくれている読者は、まさかストラディバリウスやグァルネリを買おうしているわけではないと思うので、良い新作楽器のポテンシャルは朗報と考えていいのではないだろうか?

ちなみに、実験で使用された楽器の製作者は明かされていないので、悪しからず!

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