「本と私」:霧立灯がおすすめする5冊の絵本&童話
本と私
霧立は子どもの頃から本が大好きで、文字が読めるようになってから、常に何かの本を読んできた。
自分が子どもの頃から抱いている夢や理想は、実は読んできた絵本や児童文学と深く関係していることに最近気が付いた。一人の人間の人生観に本がそこまで関わっているとは、驚きである。
また、絵本や童話は親と一緒に読んだ思い出としても強く残っている。母親の膝の上で読んでもらった本は、ストーリーだけでなく母の温もりや声と混ざり合ったやさしい世界として残っている。
感受性の強い子ども時代に読む本が、その人の人生観や世界観に影響するのは、「その本がどのような環境で読まれたか」ということとも深いところでつながっているのかもしれない。
だからこそ、子どもには良書を紹介したい。
今日ここで紹介する本は、時代を超えても色あせない美しさ、ワクワク感、楽しさ、悲しさや切なさ、が詰まった本である。
挿絵もイマジネーションをふくらませてくれる大切な要素なので、こだわって選んだ。
では、霧立灯が選んだ子どもと大人のための絵本と童話を紹介していこう。
霧立灯のおすすめする絵本&童話
1.「わたしと あそんで」対象:3歳~
内容紹介(アマゾン)
原っぱにやってきた女の子が、ばったや、かえるや、うさぎやしかと遊ぼうと、みんなをつかまえようとします。でも、つかまえようとするとみんな逃げていってしまいます。誰も遊んでくれないので、女の子はしかたなく池のそばにこしかけて、水すましを眺めてじっとしていました。すると、逃げていったみんなが女の子のそばにもどってきてくれました。しかは女の子を頬をぺろりとなめてくれました。女の子はとってもうれしそう、みんなもとっても楽しそう。
霧立にとって、これは小さい頃に読んでもらった本の中で一番好きな本かもしれない。この本のもっている「静けさ」にとても惹かれた。
子どもはうるさいし、にぎやかなことが好きだと思われがち。しかし、子どもの中にも「静けさ」「静謐さ」に対する憧れがあるんだと、自分の経験から思った。
主人公の女の子が動物が集まってくるのをじっと待っている時の静けさを自分も体験し、最後にしかが女の子の頬をぺろりとなめてくれた時の、ひんやりとした冷たい舌の感覚まで自分の頬に感じたのを覚えている。
霧立が動物好きで、静かなのが好きなのは、この本に影響されたのかもしれない。
2.「ぐりとぐら」 対象:3歳~
内容紹介(アマゾン)
ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
このよで いちばん すきなのは
おりょうりすること たべること
ぐり ぐら ぐり ぐらお料理することと食べることが何より好きな野ねずみのぐりとぐらは、森で大きな卵を見つけました。目玉焼きにしようか卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることにしました。でも、卵があまり大きくて運べません。そこでフライパンをもってきて、その場で料理することにしました。カステラを焼くにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきます……。
霧立に料理の純粋な楽しみと喜びを一番初めに教えてくれたのが、この本だと思う。カステラを焼いているときの甘い匂いを想像して読むたびにうっとりした。
森の動物たちは、「あさから ばんまで たべても、まだ のこるぐらいの おおきい かすてら」によじ登り、すきなだけカステラを頬ばる。これぞ料理の醍醐味。
最後に卵の殻で車を作ってしまう「ぐりとぐら」の楽しいアイデアも、子ども心をわしづかみにすること間違いなし!
3.「かいじゅうたちのいるところ」 対象:3歳~
内容説明(アマゾン)
主人公のマックスは、オオカミの着ぐるみを着てやったいたずらの罰に、夕食ぬきで寝室へ追いやられる。ところがびっくり、部屋はいつの間にか森になり、マックスはそこで思う存分あばれ、遊びはじめる…。不格好なパーツをそなえた体、大きすぎる目、といった野生の生きものたちは、かたや震え上がるほど恐ろしげに見えると思えば、とてつもなくユーモラスで快活な姿でページに登場したりもする。…読み終わった後には、「我が家に勝るものなし」とあらためてうなずかせられるのである。
霧立が子ども心に一番ワクワクしたのは、自分の部屋がジャングルに変わっていくところ!誰でも親に叱られて部屋に放り込まれた経験はあるだろう。くさくさした気持ちで、「どこかへ行ってしまいたい!」と思っても、現実には狭い部屋に閉じ込められている状況は変わらない。
しかし、物語の中では部屋がジャングルになって別世界への扉が開かれる。冒険のはじまりだ。非力な子どもが想像力によって自分を解放し、別世界を旅して戻ってくる。自分の部屋に戻ってきたときに夕ご飯がちゃんと用意されていたことで、ほっとする。
親に対する反抗心と愛着の絡み合いが、どんな子どもにも広く共感を呼ぶ本だと思う。グロテスクな「かいじゅう」の挿絵も最高!
4.「ふたりはともだち」、「ふたりはいっしょ」、「ふたりはいつも」対象:3歳~
内容紹介(アマゾン)
“モッコ”とは、山に住むふしぎな生き物たちのこと。天狗に雷、河童に雪女に化け狐……。やまんば山には、個性豊かな仲間たちがいっぱいです。パワー満点の山姥、ぴちぴち元気なその娘まゆ、それに里村の男の子啓太がくり広げる冒険の数々が、いろどりにみちた季節の移りゆきを背景としてダイナミックに展開します。
特別な本との出会い
上で紹介した5冊は、霧立の世界観、人間観に強い影響力を持った本。「やまんば山のモッコたち」以外の本は、時代や国境を超えて多くの人に愛されてきた本でもある。
そういう定評のある本は、どちらかと言うと親が選んでくれる場合が多い。しかし小学生にもなると、自分で図書館で本を借りる機会も増える。
この「自分で選ぶ」というのが、実は本との出会いで大切な気がする。自分で選んだ本がとびきり素晴らしかった場合、その本と自分との間に特別な絆が生まれるからだ。
「宝」を見つけたような喜び-。
霧立は、「やまんば」を見つけた時、数年間誰にも教えなかった。正確に言えば教えたくなかった。自分の大切な世界を他の誰かに壊されたくなかったからだ。
子どもが小さいうちから図書館に通う習慣をつけてあげられるといいと思う。いつか、その子が特別な本と出会えるように。
そのためには、幼児期に親が読み聞かせをして、楽しい読書体験をたくさん積むことだ。霧立のおすすめした5冊の本が、そのような楽しい読書体験の一つになれば幸いだ。
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