心因性頻尿の原因はトイレトレーニング?
以前、うちのユウが6~7歳の時に苦しんでいた心因性頻尿をいかに克服したかを書いた。心理的な問題ゆえに、「一体何が悪かったんだろう?」とどうしても考える。
心因性頻尿になってしまってから原因を知ったって後の祭りでどうしようもない、と思うかもしれない。でも、ユウが心因性頻尿になってしまった時、子育て全般について深く考えなおすきっかけとなった。また、原因を知ることは、似たような失敗をしないという反省材料になる。
この記事は、
- 子どもの心因性頻尿で悩んでいる人
- 子どものトイレトレーニングを始めようと思っている人
- おむつなし育児をやっている人
に向けて書いていこうと思う。
心因性頻尿の原因
直接のきっかけ
心因性頻尿の原因は、多くの場合「トイレに行かれないシチュエーションで、猛烈にトイレに行きたくなってしまった経験」が引き金になっているという。例えば、大事な会議中や、電車の中などである。
ユウの場合は、いくつかそういうシチュエーションがあった。
- 順路通りに移動しながら見る展示形式の博物館。最後まで行かないとトレイがないので不安に。(4歳)
- 車の移動中。次にどこでトイレに行かれるか分からないことが不安材料に。(5歳)
- 飛行機に搭乗し、シートベルトサインが消えるまでトイレに行かれなかった経験。(7歳)
こうしてみると、4歳というかなり早い時期から長きに渡って心因性頻尿を誘発する不安材料があったことが分かる。しかし、本格的に慢性的に悩むきかっけとなってしまったのは7歳の時の飛行機での経験だった。
根本的な原因
上に挙げたのは、心因性頻尿の「きかっけ」(trigger)にすぎない。そういうことは、ユウに限らずどんな子どもでも経験しそうなシチュエーションばかりだ。でも普通は頻尿問題にまで至らない。
では、なぜユウが心因性頻尿で苦しむことになってしまったのか?そこにはもっと根本的な原因、温床となるような問題があったはずだ。
問題は、トイレトレーニングにあったのではないか、と霧立は思っている。
トイレトレーニング
「おむつなし育児」
霧立はユウが10か月くらいの時から、「おむつなし育児」にならってトイレトレーニングを始めた。
「おむつなし育児」:
「おむつなし育児」と聞くと、「おむつを外して垂れ流しで・・・」と想像されがちですが、実際はそうではありません。「なるべくおむつの外で自然に排泄させる機会をつくる育児」と言う方がより正しいでしょう。「おむつなし育児」は、昔から実践されてきた、赤ちゃんにとって健康的で気持ちのいい排泄ケアです。布おむつ、パンツ、そして、紙おむつを上手に使いながら、なるべくおむつの外で排泄する機会を増やしてあげるのが「おむつなし育児」です。
「オムツは『トイレ』ではない」、「オムツに邪魔されない気持ちの良い自然な排泄をさせてあげたい」という考え方に共感した。また霧立は初めから布おむつを使っていたので、この「おむつなし育児」を取り入れやすい状況だった。
今でも、「おむつなし育児」は素晴らしい排泄方法だと思っている。しかし、霧立の性格には合っていなかった。いや、もっと正確に言うと理解不足であり上手に取り入れられなかった、と反省している。
我が家が実践した「おむつなし育児」
我が家の場合、10か月くらいの時からオマルを用意して、排泄をしそうなタイミングを見計らってオマルの上に座らせてあげた。
やりやすかったのは、朝いちばんのオシッコ。また、ウンチの前は赤ちゃんの様子でだいたい分かるので、成功率が高かった。
「おむつなし育児」の結果
- ウンチは1歳前にオマルで出来るようになった。
- オムツが取れたのは2歳になる前だった。
驚くほどはやくオムツが取れて、トイレトレーニングが終了した、はずだった。
トイレトレーニングの失敗
ではなぜ、トイレトレーニングが心因性頻尿の原因になったのか?
簡単に言うと、霧立が真面目すぎて一生懸命やりすぎたからだ。
ユウの排泄のタイミングを逃すまいと、一生懸命だった。もちろん、失敗しても怒ったりしないようにとても気を付けていた。
ただ親があまりに一生懸命だと、たとえ失敗したときに怒らなかったとしても、子どもは「失敗してしまった」と感じていたはずだ。もちろんゼロ歳児にとっては言葉にはならないし、「失敗」という概念すらぼんやりしたものだったと思う。
でも、排泄しかかった時、電光石火のごとく親に抱かれて毎回オマルに急行させられたら、子どもは排泄は「緊急事態!」と感じてしまって当然だ。親の緊張は必ず伝わる。
霧立は、こう書いていても悪い夢を思い出すような苦しい気持ちになる。自分がやってしまった取り返しのつかない失敗を思い出すからだ。
心因性頻尿でかかりつけの医師に相談した時、このトイレトレーニングが原因だったと思っている、と話した。医師は、「そうとは思いませんよ」と言ってくれた。
医者は霧立が罪悪感に苛まれないように否定してくれたのではないかと思っている。もちろんトイレトレーニングの失敗と心因性頻尿の関係は、霧立がそう思っているだけで実証は出来ない。しかし、トイレトレーニングが唯一の原因だとは思わないが、大きな原因の一つではないかと疑っている。
トイレトレーニングをしている人へ
どんなトイレトレーニングだったとしても、焦りは禁物。いつかオムツは必ず取れる。もちろん、トイレやオマルに急行しなければならない場面は必ずあるだろう。のんびりしていたら漏らしてしまう。
でも、「排泄サインを見逃すまい!」といった緊迫感を四六時中持っていたら、頑張りすぎだ。子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ってしまう。
トイレトレーニングは、どこででも言われてるようだが「焦らずおおらかに」が一番!早くオムツを取ることより、子どものメンタル・ヘルスのほうが重要。
また、布おむつを使っていると洗濯が大変。でも、その苦労から逃れたいからと早期トイレトレーニングに走ってしまうのは霧立の二の舞となる恐れがある。それは親のエゴに他ならない。子どもの成長は子ども自身のペースを尊重してサポートしてあげたいものである。
「おむつなし育児」をしている人へ
重ねて言うが、それ自体はとてもいい排泄教育だと思っている。自分の失敗から反面教師を買って出ているのだが、次のことを忘れないで欲しい。
① 「おむつなし育児」はトイレトレーニングではないということ
「おむつなし育児」の良さは次の3点だと思う。
- 自然な排泄を幼児期から体験できること
- 親子のコミュニケーションの向上
- 赤ちゃんの育とうという気持ちに依拠したサポートであること
このことをいつも大事にする。
② 真面目な「頑張り屋さん」にはあまり向かないかも
これは後ろ向きなアドバイスで申し訳ないのだが、自分がそうだったから。これは2人、3人子育てした人にすごくいいやり方かもしれない。きっと、おおらかな気持ちで取り組めるからだ。
心因性頻尿から学んだこと
さりげないサポート
子育て中の親は誰だって一生懸命になる。「あまり一生懸命にならないように」と言っても多分、それは難しい。自分の「頑張り屋さん」な性格を変えることも簡単ではない。
でも、「さりげなくする」ことは出来る。頻尿の問題だけでなく、子育て全般について親としてもちろん全力でサポートしたいと思う。でも「全力サポート感」が全面に出たら、子どもは(特に一人っ子は)息苦しいだろう。
さりげなく、でも全力でサポートすること。
これが霧立が学んだことだ。
メンタル・ヘルスが一番大事
「何かが早く出来るようになること」よりも、その子の人生を長い目で見て「メンタル・ヘルスが一番大事」と考えるようになった。
いくら勉強やスポーツ、音楽が出来たって、メンタル・ヘルスに問題があったら幸せにはなれない。メンタル・ヘルスは健全な自己評価、人生観、良好な人間関係を築く上で欠かせない。
もちろん「何かが出来るようになること」も大事なのだが、それをどうサポートするか、メンタル・ヘルスにどのような影響がありうるのか、ということに注意を払うことを忘れてはいけないと思っている。
トイレトレーニング失敗の代償(心因性頻尿)は高かったが、これは育児に対する反省の機会として生かすしかないと思っている。
これを読んで霧立の失敗から何か学んで頂けたら、私の失敗も少しはお役に立てたことになり幸いだ。
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