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私がコンクールや検定試験を子どもに受けさせない理由

ヴァイオリン

28 1月

コンクールでストレスを受ける子ども

クラシック音楽界は、一見華やかだ。しかし、実はトラウマとか劣等感を生みやすいブラック体質があると霧立は思っている。

そのブラック体質の根っこには「コンクール」や「検定試験」があるのではないだろうか?と秘かに思っている。

【今日の登場人物】

  • サマンサ(大手証券会社勤務のバリバリキャリアウーマン)
  • アビー(サマンサの一人娘10歳。真面目な優等生。ユウと同じピアノ教室に通っている。)

コンテンツ

  • コンクールや検定試験の弊害
    • イギリスの音楽事情
    • 検定試験の重圧
    • コンクールや検定試験のメリット・デメリット
    • まとめ

コンクールや検定試験の弊害

イギリスの音楽事情

ピアノやヴァイオリンの「コンクール」というと、日本では特別音楽に力を入れている子ども達が出るというイメージがある。しかし、イギリスではちょっと出来る子は先生にコンクールを勧められる。

また、イギリスには「グレード試験」(Grade exam)というものがある。こちらはピアノやヴァイオリンを習っている子どもはほとんど受ける。ユウ(うちの8歳児)のピアノ教室でこの試験を受けていないのはユウだけ。

ABRSMという団体がこのグレード試験を実施しており、イギリス国外でも受験することが出来る。

グレードは1~8まで。

【試験内容】

  • スケール
  • アルペジオ
  • 初見
  • 課題曲3曲
  • 聴音のテスト

【合否の目安】

満点は150点

  • 合格:100点~
  • Merit(良い):120点~
  • Distinction(大変良い):130点~

因みにグレード8を”Distincion”で合格できると、大学入学の選考が有利になる。別に音楽専攻でなくても、数学でも古典学でも優遇されるのが面白い。

検定試験の重圧

アビーの場合

昨日、サマンサに会った。何やらピアノの先生との間で意見の違いがあって悩んでいるらしい。

サマンサ:「3月にアビーがグレード1を受けようとしてたんだけど、先生がこれじゃあDistinctionはもらえないって言うの。私は別にDistinctionにこだわってないの。Meritでも受かればいいのよ。合格証書を人に見せるわけでもあるまいし。でも、先生はMeritじゃダメだっていう感じなのよ。だから試験は6月に延期することにした。」

 

霧立:「え?6月って発表会もあるでしょ?忙しくない?」

 

サマンサ:「だから6月の発表会は出ないよ。試験も発表会もやってたら大変すぎるもん。」

 

霧立:「…。あの先生はいつも生徒に自主的に目標を立てさせる人なのに、distinctionにこだわるなんて、なんか変だね。」

 

サマンサ:「お弟子さんがDistinctionとった方が、先生のよい評判につながるからなんじゃない?」

いつもは穏やかなサマンサだけど、この日はちょっと不満気だった。

アビーは、レッスンの水曜日になると朝から

「今日はレッスンだ~。イヤだな~」

となるらしい。そして木曜日は、

「あぁ~良かった。レッスンは昨日終わったもん!」

となる。どうやらレッスンが厳しいらしいのだ。頑張り屋さんで素直で、思いやりのあるとてもいい子なだけに、心が痛んだ。

アビーは、明らかにピアノが楽しくなくなってしまっているのだ。

ユウの場合

一方、試験とは無縁のユウは楽しそうだ。純粋に、どうやったらもっと上手に弾けて楽しくなるか?を追求しているからだ。

家でも昔は「最低30分はやってね」と言っていたが、今では一人で練習していると1時間くらい平気でやってしまう。最近は、練習時間のことを言う必要は全くなくなった(練習時間のわりに上達が遅いのだが…)。

先生は、以前ユウにコンクールや検定試験、マスタークラスの受講などをさかんに薦めてくれた。でも、そのたびにお断りしていた。

「本人がどうしてもやりたいなら別ですが、うちはコンクールの順位とか検定試験には興味ありません。音楽は弾くことの喜びこそが大事だと思います。」

と言ったら、それ以来勧めなくなった。

コンクールや検定試験のメリット・デメリット

もちろん、コンクールや検定試験を楽しく受けている子どもたちがいることも知っている。イギリス人は音楽の基礎がしっかりついていることに驚かされる。

メリット

  • 練習のモチベーションが上がる。
  • 段階的に取りこぼしなく音楽の基礎を積み上げていかれる。
  • 目標が常にある。
  • 成功すれば自信につながる。

デメリット

  • どれだけ音楽の愉しみを人と共有できたかではなく、得点や順位で達成感や劣等感を感じがちになる。
  • 失敗したら自信を失う。
  • 人前で演奏するのが怖くなる。
  • 人の演奏を聴くときに、自分との優劣で比べがちになる。(競争原理)
  • 親や先生からのプレッシャーが強い。

霧立の姉は、実は小学生の頃から毎年大きなコンクールに出ていた。生まれながらに絶対音感がり、才能もあったから、周囲からピアノの道に進むことを小さい頃から期待されていた。

夏休みは毎日朝から晩までピアノの練習。林間学校が小学4年~6年生の間、毎年夏にあったのだが、コンクールが忙しすぎて一度も参加できたことがなかった。

コンクール会場

レッスンは家でも先生のうちでも厳しかった。先生は平気で怒鳴る。小さい頃、姉のレッスンに連れていかれるのが、怖かった。

結局、姉はカギとなるコンクールで大きな結果を残すことが出来ず、精神的に破綻をきたし、別の道に進んだ。今ではピアノは全然弾かなくなってしまった。

こうして一番身近で見てきたからこそ、私はコンクールにアレルギーがあるのだ。

それから、これは最近気づいたことだが、私が人前でヴァイオリンを弾くと極度に緊張するのは、もしかしたら姉の経験と関係しているかもしれない。

「人前で緊張せずにヴァイオリンを弾くための4つの知恵」

姉がいつもピアノでうまく弾けないと怒鳴られ、泣いていた姿を幼い頃からずっと見て私は成長した。姉が怒られていると心臓がドキドキしたし、とても怖かった。

今から考えればれっきとした「面前DV」だ。

「音楽は楽しい」というより、「うまく弾けなければ大変なことになる」という強迫観念が私の中にも内面化されてしまったとしても不思議なことではない。

まとめ

検定は英語とかそろばんにもある。霧立は、そういった検定を全て否定しているわけではない。検定があったほうが目標を設定しやすいし勉強のモチベーションも上がる。

でも、ことが音楽となると話は別だ。なぜなら音楽は、技術ももちろん大事だがもっと精神的なものであり、突き詰めればコミュニケーションだからだ。

音楽はその人の内面がすごく出る。知らない人でも、その人の音楽を聴けばその人の内面が透けて見えてくる。

だからこそ、そこに点数や順位を持ち込んで、プレッシャーを感じながら練習するのはいかがなものかと思うのだ。

世界的なヴァイオリニストの五嶋みどりさんのジュリアード音楽院の教師、ディレイもコンクールに批判的だった。彼女は「失敗の危険があり、生徒に挫折感を与えかねないコンクールより、長年つちかった人脈をフルに生かした成功のルートを持っていた」と言われている。母と神童―五嶋節物語 (小学館文庫)

プロでなくとも、音楽を心から楽しみ、音楽を通して人とコミュニケーションが出来たら最高だな、と霧立は思っている。

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Comments

  1. 柴犬モンスターエラ says

    2019-02-01 at 3:17 AM

    プロになるためには、コンクールなどで、実績を作っておかないといけないのが、普通のプロの道なんでしょうね。でも、クラッシック音楽でもスポーツでも他の芸術でも、プロになれるのはほんの一握り。しかもプロになっても、プロ一本で食べていくのには相当の実力がないとできないことでしょう。

    うちの娘も、コンクールやショウなどが将来選択肢に出てくるダンスと乗馬を習っています。同じくらいの年齢の子でも、上手な子は、カンパニーと呼ばれるクラスに属し、ダンスコンクールで競っています。幸い(?)、うちの子はそんなにダンスが上手なわけではないので、カンパニーへのお誘いはまだ来ていません。体を動かして、自分の体を誇りに思い、自分の体を使って表現することに誇りを持ってくれればいいなと思って、ダンスを始めさせたのが、2歳9ヶ月の時。もちろん本人がやりたい!って言ったから教室に送りました。しばらくは、地元のバレエ団でくるみ割り人形のクララ役を踊りたいと言っていたので、真剣にバレエをさせることも考えました。今は、ダンスが楽しいから続けたいって思っているみたいです。先週末の発表会後は、バレエ、ジャズ、ヒップホップをしたいと言っています。あまり子供のスケジュールを忙しくしたくないですが、自分がやりたいのなら、できる範囲でやらせてあげたいと思います。

    乗馬は、まだまだショウに出るようなレベルではありません。一回のショウに莫大なお金がかかると聞いたので、ショウに出るのは現実的でないと思っています。

    子供が何をしたいにせよ、”私はこれが好きなんだ。” ”私はこれが得意なんだ。”って自分が誇れるものを持って欲しいです。誰々ちゃんと比べて上手とかではなく、自分のなかでの好き、得意という気持ちが大事だと思います。霧立さんに賛成!

    • Akari says

      2019-02-01 at 10:53 AM

      柴犬モンスターエラ様

      いつもブログを読んで下さり、コメントも残して下さりありがとうございます!

      バレエも乗馬も確かにcompetitiveになりやすいですね。でもエラ様(ごめんなさい省略して…)がおっしゃるように、「プロになるのは一握り」。相当の才能はもちろんのこと、経済的な援助、カギとなる人との出会いなどが必要ですね。一流ソリストは、成長段階で財団や企業からよい楽器を貸与されているし(高くて個人では買えないから)、テニス選手もスポンサーがついたりしてますよね。

      でも大多数の子はそうはなりません。私は習い事は、「人生をより豊かにするもの」と考えています。「これをするのが好き」っていうのを持っていると、人生何倍も楽しくなりますよね。親の務めは、それをサポートすることかな…。

      大人になって趣味がないってなんだか寂しいです。しかも小さい頃から一生懸命やっていることって、単なる趣味を超えて、その人の人生の重要な一部になりますよね。そういうの持っている人は魅力的だなあと思います。

      霧立灯

A little about me…

こんにちは。霧立灯(きりたち あかり)です。夫(マナブ)、小学生の息子(ユウ)と愛犬(みかん)とイギリスで暮らしています。家にいるのが好きなので、家を心地よい空間にしたいと思っています。 Read More…

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