
手作り石けんは、保湿力が高く肌によい反面、溶け崩れやすいというデメリットがある。先日、読者の方からも、こんなご質問をいただいた。
使い始めるとすぐにとけはじめ、あまりにどろどろになってしまったので、水を足してポンプ容器に入れ、液体石けんとして使っています。溶けないようにするコツはありますか?
わたくし霧立も、過去に石けんの溶け崩れが激しくて、最後の方はぐちゃぐちゃになった記憶がある。相談者のように、液体石けんにして使ったことも、確かにあった。
しかし、最近は石けんの溶けくずれで悩むことはなくなっていたことに気付いた。はて?一体なにが変わったのだろう?と考えた。すると意外なことに心当たったのだった。
もしかして…石?!
数年前、ビーチで拾ってきた石。薄っぺらく平らなため、「石けん置きにいいかも!」と思って石けん置きとして使い始めた。
そうしたら、以前と違って最後まで石けんの形が崩れずに使えるようになったことに気が付いた。というより、相談者の方から相談されて、初めて気が付いたことだ。
(まさか…あの石?)と思った。そして、(確かに、石の種類によっては乾燥が早いものもある気がする…)と考え、石に注目してみた。
石は水分を吸水する!
調べてみると、ナント石は水分を吸収するということが分かった。石というと、固くて水を吸収するイメージとかけ離れているので驚きだった。以下の引用は墓石を扱っている会社のサイトから。
石には目に見えない細かな穴や隙間が表面にあり、石の種類によって程度の差はありますが、水を吸う素材です。
「石の吸水率とは?」
確かに墓石に使われる御影石は表面がツルツルしていて、いかにも水分を吸収しなさそう。吸収率の高い石材だと、冬場の凍結などによりひび割れの原因になってしまうのだ。
霧立がビーチで拾ってきた石を見ると…。確かに小さな穴だらけっ!!調べてみると、石を拾ってきたスコットランドのCanty Bayというビーチ周辺には砂岩(Sandstone)がとても多いということが分かった。

拾ってきたのはこの石。表面に小さな穴がプツプツとあいている。
そして、砂岩の水分吸収率はとても高い!花崗岩や大理石より5倍も水分を吸収することが分かった。
水をぐんぐん吸ってくれる石を拾ってきて石けん置きにしていたなんて、なんだか屋根裏でとてつもないお宝を発見した思いではないか!
市販の石けん置きvs拾ってきた石
そうは言っても、どれだけ自分の石がスゴイのか、もっとちゃんと知りたかった。そこで市販の石けん置きと、霧立がビーチで拾ってきた石を実際に比較してみた!
【実験方法】
市販の石けん置き、拾ってきた石をそれぞれ水でしっかり濡らす。市販のものは水受け部分は濡らさずに、上の部分だけ濡らした。ささっと水を切ってビショビショのまま30分放置。30分後、目視と実際に指で触ってみて、乾燥具合をチェック。
① 水で濡らした状態
② 30分経過
ほおぉお!!
これには霧立もビックリ!乾燥具合の差は歴然だった。市販のステンレスの石けん置きは指から水滴が滴るほど濡れたまま。
一方の拾ってきた石。縁の部分はすでに乾いた色になっていた。中心部はまた水分を含んだ濃い色をしていたが、その中心部を指でこすってみると、ひんやりするものの水分は全く指についてこなかった。
拾ってきた石の勝利!
ステンレスやプラスチックは水分を吸収しない。また今回のように受け皿が付いているタイプは、どうしても下に水がたまりやすく、手作り石けんとは相性が悪いことが分かった。一方吸水率の高い石は、表面の水分が残りにくく、石けん置きとしては最適!
吸水率の高い石はどこで見つけられるのか?
自然の中から見つける
一番吸水率が高いのは、凝灰岩。火山灰が堆積してできた石だ。身近なところでは、軽石がそれにあたる。確かに水に浮いちゃうという軽石は、そうとう密度が低く吸水率が高い。
しかし自然の中で軽石を見つける可能性は、火山地帯でない限り難しい。だから「密度が低く、吸水率が高い石けん置きに適した石」を探すとなると、次のようなことがヒントになるだろう。
【こんな石を探そう!】
- 大きさの割に軽い
- 表面がツルツルではなく、ザラザラした感触
- 表面に小さな穴が無数にある
- 平らで薄い石(海や川で見つけやすい)
次にビーチや川に行く時は、石けん置きとなる石をぜひ探してみては?市販のものと違って世界に一つしかない自分だけの石けん置きは、その土地の思い出も呼び起こしてくれる、素敵で素朴な石けん置きになるだろう。
市販品を買う
「自然の中に出かける時間は今はない」、とか「もう冬だよ…(泣)」と言う場合、手っ取り早いのはやはり市販のものを買うことだ。
吸水率の高い石は、石けん置きとして商品化されていた!大理石は見た目はいいが、吸水率は低いので手づり石けんにはおススメしない。
こちらは、「珪藻土」という海や湖に生息していたプランクトン類が堆積されて出来た土が含まれている石けん置き。やはり無数の小さな穴が吸水力の秘密だとか。その保湿性と吸収性から「呼吸する土」と呼ばれているとのこと。
お次はナント軽石の石けん置き!吸水率ナンバーワンを誇る軽石だから、その効果はかなり期待できそう。また大人の和風ビビッドカラーがとても魅力的。
いかがでしたか?
なにげなく拾ってきて使っていた石のソープディッシュ。驚いたことに、石は科学的な根拠に基づく、石けん置きとしてもってこいの素材だったんですね。
石けんの溶け崩れを防ぐには、他にも換気をよくしたり、それでもダメな場合はお風呂場に放置しないという方法も。石のソープディッシュと併せれば、かなり溶け崩れは改善されるはずです。ぜひお試しください!