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ヴァイオリンの購入予算が400万円だった理由

ヴァイオリン

28 6月
Last updated on 2018/08/01

他の人のヴァイオリンを弾いてみる

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  • なかなか弾けない他人の楽器
    • サラちゃんの楽器
    • 富田さんの楽器
    • 母にお願いした楽器 
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なかなか弾けない他人の楽器

長年ヴァイオリンを弾いていても、案外他の人の楽器を弾かせてもらう機会は少ないものだ。オーケストラなどで弾いていても「あなたの楽器、ちょっと弾かせて」とは言いづらい雰囲気がある。

ひとつに、やはりヴァイオリンが高価であることと関係しているかもしれない。気軽に貸してもらうにはちょっと気がひける。

それから、自分の楽器がありながら他人の楽器を弾くという場合、それは「その楽器の性能を試してみたい」ということに他ならない。自分の楽器との比較がそこには必ず入ってくる。そうすると、自ずと優劣を決める価値判断が生まれ、それは相手に失礼にあたる。

あとは、演奏者と楽器との間には特別な絆があるような気がして、そこに他人が入り込んでいくことに遠慮が働くのではないだろうか。アマチュアといえど何十年も一つの楽器で音楽に向き合ってきた人にとって、その楽器との間には特別な感情があって当然だ。ましてや、知り合いだったとしてもプロ奏者にはおこがましくて頼む気がしないのが普通だろう。

サラちゃんの楽器

しかし子どもには、そんなデリカシーは働かない。中学生くらいの時、サラちゃんという友人とヴァイオリンの合奏をして遊んでいた。サラちゃんは同じヴァイオリン教室に通っていた、小さいころからの幼馴染みである。

一緒に弾いていて、あまりにサラちゃんのヴァイオリンがいい音がするものだから、「ちょっと弾かせてくれる?」といって貸してもらった。まず、響きや音量が全然私の楽器とは違うことに驚いた。サラちゃんはその頃、めきめきヴァイオリンの腕を上げ、リサイタルも開いたくらいで、ご両親から新しいヴァイオリンを買ってもらったばかりだったのだ。

「すごいね、このヴァイオリン!いい音がするね~!!これ、いくらしたの?これイタリアのヴァイオリン?」

子どもは、時々こういったデリカシーのない質問を平気で口にする。今考えると、我ながら恐ろしいことだ…。

サラちゃんもサラちゃんだ。あけっぴろげに教えてくれた。

「200万円くらいだよ。それはね、フランスの楽器だよ。」

「へー。イタリアかと思ったぁー。フランスの楽器もすごいんだねぇ!いーなぁ~、私もいい楽器欲しいなあ~。」

何の知識のない私は、いい楽器は全部イタリアの楽器だと思っていたので、フランスと聞いて驚いたのをよく覚えている。

思えば、これが上質のヴァイオリンを弾いて、いい楽器が欲しい!と思った私の最初の体験となった。

「サラちゃんの楽器/200万円/フランス製」

中学生だった霧立だが、しっかりこのデーターを頭にインプットして、今に至るまで忘れないでいた。

富田さんの楽器

大人になってから、都内のあるアマチュアオーケストラでしばらく弾いていた。そこのオケはアマチュアとしてはかなりハイレベルで、音大出身の人もちらほらいたりして刺激があった。

中でもセカンドヴァイオリンのトップを務めていた富田さんの腕前とその楽器の卓越性は、傑出していた。音大を出て色々なプロのオーケストラでトラ(エキストラ)をやっていたと聞いた。

私はファーストヴァイオリンの後ろの方で弾いていたのだが、それでも彼女のヴァイオリンの音はキラキラと前の方がからこぼれてくる。ひときわ高く、澄み切った音。もちろん音程の話ではない。みんなの音を飛び越えて、高く舞い上がる、そんな感じの心奪われる音だった。

ある日、休憩時間に、声をかけた。

「富田さんの、ヴァイオリン。すごいいい音だね。後ろの方まですっごいきれいに響いてくるよ。」

霧立も少しは大人になっていたので、さすがにサラちゃんの時のようにズケズケ質問したり、「弾かしてくれ」とは頼むのは遠慮した。

「ははは!良かった、ありがとう。一応ゼロが7つついた値段だったからねー。でも今30年ローン必死に返済中だよ!」

富田さんは明るく笑って教えてくれた。

ゼロが7つ…。30年ローン…。

確かイタリア製と言っていた気がするけど、やっぱ、そんなに高いんっすか…。

驚きとともに、これもまた霧立のデータベースに加えられた。

「富田さんのヴァイオリン/1千万円以上/イタリア製」

母にお願いした楽器 

ずっと前に、名前は忘れてしまったが、あるプロのヴァイオリニストのインタビュー記事を読んだ。その中で、彼がこんなことを言っていたのを覚えていた。

「自分がヴァイオリンを買い替えるのは、もう自分の腕前がこの楽器を超えたと思った時です。そして、自分のレベルより上の楽器に買い替えます。そうして、また自分のレベルがその楽器に見合うようになるまで練習するのです。楽器が上達を助けてくれるからです。」

自分で言うのもヘンだが、私はもう自分の楽器を卒業していい頃合いだと感じていた。その楽器は、私が子ども用の分数楽器から大人用のフルサイズに変えてから、ずっと20年くらい弾いてきたものだった。E線のハイポジションの音が痩せていたり、バッハの無伴奏の重音が耳障りに聞こえたりして、弾いているとフラストレーションがたまってきていた。

しかし富田さんクラスの楽器は、霧立にとっては高嶺の華すぎた。第一、「ヴァイオリンのために、遺産を1千万残して下さい」なんて、言えるわけない。(このいきさつについてはこちら。)

そこでサラちゃんの楽器が出てくる。

サラちゃんの楽器を試したのは、25年くらい前の話。上質なヴァイオリンの価格は年々上昇している。サラちゃんクラスのバイオリンは、今はとてもじゃないけれど200万円では買えまい。下手したら400万円でも買えないかもしれない。

自分のレベル、欲しい楽器のクラス、母に言いだせる金額の微妙なバランスから出てきたのが、400万円という数字だった。その時は、大して考えもせず、とっさに出てきた金額ではあったが、結構妥当なセンだったのではないかと今では思う。

ここから私のヴァイオリン選びは始まったのだった。

 

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