
ヴァイオリンの持ち運びが多い人にとって、ヴァイオリンケースは軽さが重要!もちろん丈夫であることは大前提。
ついでに飛行機の機内持ち込みを考えるなら、多くの人が行きつくのが「BAMか、GEWAか…」という最終選択ではないだろうか?
今日は、実際にBAMとGEWA両方を使ってみたわたくし霧立が、この2つのケースを細かく比較してみようと思う。
フランスらしき、BAM
圧倒的な美しさ
霧立が持っているのは、BAMのエトワールで色はコニャック。ひょうたん型。

エトワールシリーズで目を引くのは、なんと言ってもそのデザイン!カラーバリエーションはどれも素敵な色で、目移りしてしまいそう。
エトワールシリーズは、上部がレザー。霧立はもうかれこれ8年くらい使っているが、全然劣化した感じはしない。たまに、革製品用のワックスでお手入れをしている。
驚きの軽さ!
さて、デザインは申し分ないのだが、このエトワールのすごいところはその軽さ!たった1.6㌔(ストラップは含まず)。ヴァイオリンケースでは、「2キロの壁」というのがあって(?)、持ち運ぶことが多い場合、2キロ以下のケースを選ぶことは結構重要。
何しろ多くの場合、持ち物はヴァイオリンだけでない。ヴァイオリン以外にもバッグなどを持つことを考えると、やはりヴァイオリンケースは軽い方がいい。ちなみに霧立は、このBAMのエトワールをしょって、ハイキングもしたことがあるヨ!(車の中に楽器を放置するのは絶対ダメだから。)でも、全然疲れなかった。
楽器はフカフカのベッドで…
さて、では次はケースの中を検証してみよう。
ヴァイオリンが、直接ケースに接触しないように、フカフカのクッションがしつらえてある。まずは、ヴァイオリン様の「座布団」、「ネックピロー」(1枚目写真参照)はもちろんのこと、サイドにも「ショルダークッション」(2枚目写真参照)まで用意されている!
これだけフカフカの王座に鎮座して頂ければ、小走りしてもヴァイオリン様がケース内でガタゴト音をたててケースにぶつかる心配は無用である。(ヴァイオリンをもって、全速力で疾走することはないだろうし、霧立もそんな猛ダッシュはしたことはないが…。)
断熱素材!
このBAMのシリーズは、「ハイテック」というだけあって断熱性まで兼ねそろえている!他社のカーボンファイバー、グラスファイバーケースでは全く実現されていないとのこと。
結露や乾燥からも守ってくれるとは、気温や湿度の変化の多い日本ではとても心強い。霧立も、小雨の中持ち歩いてしまったことがある(←イギリスでは傘を持たずに歩くのが習慣になってしまった)が、ケース内に水が入り込んだということはなかった。まあ、でもケースはレザーも使っているし、雨が降っているときは傘をさすべきだとは思う。
インテリア

このようなコンパクトなひょうたん型ケースの場合、「肩当が入るのか?」というのが気になるところ。霧立の使っているピラストロのコフカ―レストは、脚の部分が折りたためないが、それでもこのように収まっている。
アクセサリーの部分は、松脂とミュートと、楽器を拭く布が入る程度。残念ながら鉛筆は入らない。
最大のデメリット
これだけ素晴らしいBAMのエトワーレ。でも、欠点もある。それはケースを開閉する金具部分。
一見、何も問題ないように見えるのだが…。2枚目の写真は、実はちゃんと閉まっていない状態なのだ。見た目では分かりにくいのが、問題なのである!!
ケースの蓋がちゃんと閉まっていない状態でこの留め具部分を下に降ろすと、閉まっていないのに閉めたと勘違いしてしまうことがあるのだ。
慌てている時に「パチン」と閉めて、ケースを持った時に「ぱっかーん!」とケースの蓋が開いてしまったことがあった。幸い、ヴァイオリン様のネック部分は留めてあったので、楽器が落下することはなかったが、肝を冷やす出来事だった。
2つの留め具のうち、1つだけしか閉まっていないことも何度かあった。まあ、どちらかが閉まっていれば楽器は落下しないが、でも安全とは言えない。そこで霧立は、本当に閉まったかどうか、毎回確認するようにしている。
また、以前日本からロンドンへヴァイオリンを買いに来た立花さんも、同じような冷や汗経験をしたという。彼女は、お弁当箱などにつけるバンドをケースにはめて、安全対策をしていた。グッドアイディア!
さすがはドイツ製!GEWA
さて、お次はGEWA。

エコなケース
霧立が持っているのは、GEWAのBio。環境に配慮した製品となっており、表面は生物分解できる亜麻布で作られている。さすが環境先進国、ドイツのなせるわざ!
手触りは、亜麻布特有の心地よいざらざら感。霧立はグレーだが、とてもシックな色合い。
重さはストラップなしで、約1.6㌔。BAMと同じだ。
弓ホルダーの回転ネジが優秀!
このGEWAのケースでもっとも霧立が気に入っているのは、作りの良さ!表面は亜麻布だが、とっても頑丈!特に、弓を固定するネジがすんごいしっかり作ってある。

安いケースだと、この部分がすぐに取れてしまう。しかも安く作りの悪い製品ほどパーツを別売していないので、結局ケースごと買い替えなくてはならなくなる。「安物買いの銭失い」とはこのことよ。
だから、弓をホールドする回転ネジがしっかりしていることは、ヴァイオリンケースを選ぶうえでかなり重要だったりするのだ。
このパーツに関しては、BAMより作りの良さを感じる。さすが、絶対壊れなさそうなドイツ製。
留め金が安心!
また、先ほどBAMの留め金の問題点を指摘したが、GEWAの留め金は非常によい。ケースの蓋を確実にロック出来る。
こうやって… 「カッチン」としっかり閉める。
この仕組みだと、しっかりロックされていることが確認できるのがお分かりいただけるだろうか?
コスパ抜群!
実は、GEWAのBioはお財布にもとても優しい。£80という安さ!日本でも15,000円前後で出ている。
1.6㌔(ひょうたん型)という軽さを実現させてこの価格、というのは他ではまず見られない。また、作りの良さもこの価格帯では望めないほどしっかりしている。おまけにエコ!
BAMのシリーズでこの価格帯はない。シリーズによって価格に幅があるGEWAは消費者にとってありがたいと言うべきだ。
インテリア
インテリアは、BAMほどフカフカではない。せいぜいネック部分にクッションがあるくらい。ミニマリスト、質実剛健のドイツ…。
肩当ては、脚を折りたためないタイプでも収納可能。アクセサリー入れは、BAMより少しゆったり目なのが嬉しい。
まとめ
【BAMエトワール vs GEWA Bio】
このガチンコ対決は、まさにフランスとドイツの対決だ。
BAMエトワール
・見た目がおしゃれ!
・1.6㌔で軽量
・楽器がケースに直接当たらないような設計
・断熱性に優れ、乾燥や湿気からも楽器を守ってくれる
・ケースは開けた時に上の蓋は180度開く。楽器が挟まる危険性はなし
・価格は約12万円
GEWA Bio
・エコ素材
・1.6㌔で軽量
・弓ホルダーの回転留め具が超しっかり!
・ケースの留め具がしっかりかかって安心
・ケースを開けた時、上の蓋は全開しない。「簡易譜面台」に使えるが、楽器が挟まれないように要注意
・価格は15,000円ほど
BAMエトワールはなんといってもおしゃれ!見た目で選ぶなら、まっさきにBAMだ(GEWAでも明るい色のケースは沢山あるが↓)。
また、BAMは断熱素材を使っており、乾燥にも湿度にも強いというのは大事な楽器を入れる上でポイントが高い。GEWAの断熱効果は低い。
しかし、GEWAのコスパも見逃せない。15,000円前後で手に入る最も優秀なヴァイオリンケースなら、絶対GEWAだと思う。
ちなみに霧立は、Ettore SiegaはBAMのエトワール、昔使っていた楽器はGEWAのBioに入れている。
自分の楽器の価値のよってケースも選ぶものだと思う。あ、BAMを選んだ場合、くれぐれもケースがちゃんと閉まったか、確認してくださいね!