はじめに
昨日の記事で自分がマイノリティーとして生きてきたことを回想していたら、急に昔の友達のことが懐かしくなった。
今年の夏、霧立とユウ(8歳)は、霧立の旧友を訪ねてデンマークへ行ってきた。普通の観光旅行は飽きてしまった人、母子(父子)だけの旅行を考えている人にぜひおススメの「友を訪ねる旅」について今日は書いていこうと思う。
親一人+子一人の旅=「悪夢」
今年の夏は、マナブ(夫)は博士論文執筆に追われて夏休みどころではなかった。だから、霧立とユウ(8歳)は、早くから母子だけの夏の旅行計画を立てていた。
「さて、どこ行こっか?!」
と考えて、次の瞬間、現実を悟った。
悪夢だ。
8歳の男の子と普通に二人旅をしても…
絶対ストレスがたまるだけ!
朝から晩まで、半分以上意味不明なギャグを聞かされ、「これやってみて!」とアホな踊りを強要される。その間に地図を片手に慣れない土地で移動…。
考えただけで、疲れた。そんなんだったら、まだ家にいる方がマシ…。
そこで考え付いたのが、デンマークにいる昔の友人家族を訪ねるという計画。
デンマークはイギリスから飛行機で1時間くらい。移動の待ち時間を合わせても、東京ー大阪くらいの感覚だ。
これが本当に素晴らしく、母も子もハッピー!のwin-winの旅になったので、今日はそのことを書こうと思う。
翠(せん)との出会い
翠とはアメリカ留学中、寮の部屋が隣同士だった。単に日本人だからということを超えて、彼女とは初めからすごく気が合った。
彼女は手織り機で織物を作ったり、アウトドアが好きだったり、なんとなく時間の使い方が自分と似ていて一緒にいてくつろげる人だった。
共通のドイツ人の友人(ヨナタン)がいて、翠はヨナタンと付き合いだした。長い年月を経て、翠とヨナタンは結婚して、ヨーロッパに住んでいた。子どもも二人恵まれた。
数泊出来る友人宅の見極め方
霧立は今回、4泊5日、翠のお宅にお世話になった。友人宅を訪ね数泊するとなると、訪ねる側も、受け入れる側もちょっとハードルが高くなる。それでも今回、霧立が翠を訪ねたいと思わせたのは以下の理由があったから。
- 沈黙が気にならないくらい親しい間柄であること。(留学生活はバトルである。翠はその「戦友」のような存在だった。)
- 配偶者をよく知っていた。ヨナタンも私にとって友人だったので気兼ねしないで済む。
- 同年代の子どもがいる。
この3つのポイントはどれも等しく重要だった。
お世話になりっぱなしはダメ!
1,2泊ならまだしも、4泊もするとなるとお世話になりっぱなしではダメだ。初めは空港から翠の自宅へも自力で行く覚悟でいた。でも、翠が親切にも空港まで片道1時間近くかけて来てくれて、本当に感激した。
食事の手伝いをしたり、ショッピングの会計をたまには負担したりするのは当たり前。それでも霧立とユウはだいぶお世話になってしまったが…。
今回はやらなかったが、以前お世話になったお宅では、霧立とマナブが買い物をしてきて、キッチンをお借りしてディナーを作った時もあった。それはとても喜ばれた。
観光なども自分たちで行かれるなら、その方がいいかもしれない。先方にもちょっと「休憩」が必要だ。たまたま今回は翠のうちの子どもが風邪をひいて、一緒に行くはずだったコペンハーゲン観光は、きゅうきょ霧立親子だけで行くことになった。基本的に「自力で何とかする」という自立したゲストになることは大切かもしれない。
帰国するときは、電車の最寄り駅まで車で送ってもらって、そこから先はユウと二人で空港まで行った。もうこれだけしてもらえただけで、本当に感謝な旅だった。
醍醐味
1.ゆっくり語れる
友人宅を訪ねる旅の醍醐味は、ゆっくりじっくり語り合えること。何年も会っていなくても、昔築いた関係の「土台」があるから、相手のスタンスをいちいち伺うことなく、ズバリと話題の核心に入っていける。
海外で暮らす日本人としての悩み、バイリンガルの子どもを育てている悩みなどたくさん共有できた。特に霧立は日本人のママ友が一人もいないので、翠との語らいの時間は本当に貴重だった。
また昔の友と話すのは、自分の人生を振り返る時でもある。昔追い求めていた夢や理想はどうなったか?これから自分はどう生きるのか?否が応にも考える。
友人の生き方も参考になる。翠は北欧雑貨のビジネスも手掛けていて、その話を聞くのもいい刺激になった。旅に出て人生の長期プランを見直すのは、とてもいいことだ。
翠とは物理的な問題でそうしょっちゅう会えるわけではないが、今回の訪問が友情の「ブースター」になった気がした。
2.子ども同士が仲良くなれる
自分の親友の子どもと自分の子どもが仲良く遊んでいるのを見るのは、幸せを感じるひと時。そもそも子育て方針が似ていることが多いから、安心して気楽に遊ばせられる。
今回は、フィヨルドや湖(?)で泳いだり、海でカニ釣りをしたり、池で魚釣りをしたり、木登りをしたり、ユウと二人だけだったら絶対に出来ないような楽しいことが満載の5日間だった。
子どもは子どもと遊ぶのが一番楽しい。母たちは彼らが遊ぶのを見守りながら、しゃべっているのが楽しい。
もうこれ以上楽しいことはない!!
ユウに「なにが一番面白かった?」と聞いたら、「カニ釣り!」と言っていた。ちなみに一番つまんなかったのは「コペンハーゲン観光」だったらしい…。(お金は一番かかったんですけどね…。)

竿に紐をつけて、洗濯バサミで餌を挟むだけの「カニ釣り竿」。釣った後はレースをさせて海に戻す。
「カニ釣り」は餌となる魚の切れはしを魚屋さんで貰えるので、基本的にタダ!!
(もちろん、ランチはお魚屋さんが経営しているお店で買ったが。)
いくらお金を使ったかは必ずしも満足度に関係しない。「お金をたくさん使えばより幸せになれる」というのは幻想かもしれない。
3.生活アイデアを学べる
翠も手作りが好きで、丁寧に生活している人。だから、霧立の知らなかったアイデアをたくさんもらった。
実は、ここ最近霧立が凝っているエルダーベリーも、翠から教えてもらったこと。夏だったので、春に作ったというエルダーフラワーのコーディアルを頂いた。
スーパーで買うエルダーフラワーのコーディアルよりずっと美味しくて、香り高く、絶対来年はエルダーフラワーの咲く時期を見逃さない!と思わされた。
ヨナタンはエリート銀行マンなのだが、いつもTシャツで出社!午後も4時には帰ってくる。
「ぼく、カイシャでお金を一度も見たことがないヨ~」
と流ちょうな日本語で話す。それで、天然酵母パンを作るのが彼の趣味(?)。ドイツから直接買ってきたオーガニックのライ麦を自分で製粉する。それから発酵器まで自分で作って酵母の世話をしている。
霧立のために焼き立て天然酵母パンを作るべく、「カイシャ」から翠に酵母の世話をメールで指示してくる銀行マン!しかし、私たちと遊びほうけていた翠はすっかり頼まれていた酵母の世話を忘れ、ヨナタンに帰宅早々呆れられた…。
4.ローカルのことが一番よく分かる
そこに住んでいる友人と一緒に生活することによって、実はその土地のことを一番よく知ることが出来るのではないだろうか?
デンマークの食べ物も、おススメの観光スポットも友達からの情報が一番だ。なぜかと言うと、友達はあなたの好みそうな物や場所を知っているからだ。ガイドブックは一般的なことに終始しがち。でも友達は、あなたの好みに合わせたおススメを提案してくれる!
コペンハーゲン観光に行った日、一応「人魚姫」の銅像を見に行ったのだが、帰ってきてからヨナタンに、
「あんなとこ行ったのー?!世界で一番おもしろくない観光スポットダヨ!」
と言われた。
ドーンっ…!!
これがあの有名な「人魚姫」。でも、本当に「…で?」って感じの銅像。
確かに、全然面白くなかった…。これは先に聞いておけば良かった…。ただ人が多くて暑いだけだった。
- 黒パン(シードがいっぱい入っている!)
- デンマーク産チーズ
- カニ釣り
- フィヨルドで泳ぐ!
- コペンハーゲン
コペンハーゲンの街では、運河添いにあったカラフルな建物が美しかった。ユウが「暑い暑い」うるさくなければ(北国育ちゆえ、25℃超えると耐えられないらしい)、おしゃれなお店をのぞきたかった。(一軒すら入らなかった…泣)
- チーズスライサー
- 黒パン
このチーズスライサーはイギリスでは見たことがなかった。デンマーク特有のスライサーらしい。翠のうちの食卓でも使っていたが、ナイフが置いてあるよりなんとなくスマートで、その上切りやすい。
デンマーク産のチーズは柔らかめなので、このスライサーにちょうどいい。イギリスのチェダーチーズはちょっとこのスライサーには固いかな、という感じ。
霧立はチェダーより、ゴーダチーズなどのソフトなオランダ系のチーズが好きなので、このスライサーは使えそう!と思ってお土産に買った。
おわりに
母子二人の旅は、友達を訪ねるというプランにして本当に正解だった!4泊までいかなくても、伴侶が出張などで不在の時、子どもと友人を訪ねるのはおススメだ。
もちろん、友達を呼ぶのもいいかもしれない。霧立家は狭い故、2人までしか人を泊めてあげられないのが残念だ。霧立の夢は、ちゃんとした広さのゲストルームのある家に住むこと!
やはり「家」は家族のためだけでなく、親しい家族を食事に招いたり、泊まっていかれる場所であったらなお素晴らしい。
最後に、翠とヨナタン、それから子どもたち、楽しい夏休みをどうもありがとう!!